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朝起きると、何故か小さい生物が1匹増えていた。 え、何このドッキリ。 夢のまた夢 「あー!!」 さてどうしたものかと考えていたら、ぱちりと目を覚ましたラビが大声をあげた。 「ユ、ユユユユユウさー!!」 大きい目をさらに大きく見開いて、周りにこれでもかと花を飛ばして。 こっちの様子だけ見ていれば、どう考えても感動の再会だ。 「ラビ、知り合い?」 「ん!ユウはおれのしんゆ 「それいじょうみょうなこといったら、きりきざむからな」 「う、うううそ……さ……」 残念そうだ。 ものすごく残念そうだ。 猫のユウ(だと思う。ラビの言葉を信じればだけど)の方は、そりゃあもう警戒心もあらわに威嚇している。 「あいつ、どこだ?」 「あいつ?」 誰だあいつって。 むしろこっちが訊きたい、お前はどこから来た。 「ユウ、だれかとくらしてるん?」 「……まあ」 「いってみたいさ!」 「そのまえにおれをかえせよ!」 無邪気に笑うラビに、ユウが怒鳴る。 あーあー、ちょっぴり涙目だ、あの子。 「こら、そこな猫」 「ねこじゃない!」 「どこからどう見ても猫だって」 とりあえず、力一杯主張するユウに突っ込んで。 どうしたものかと腕を組む。 「私達もあんたがどこから来たのか全然わからないんだよね。何か心当たりはない?」 「……ない」 一生懸命考えたんだろう、だいぶ間を開けて答えた声は悔しそうだった。 「ユウ、ユウもここでいっしょにすむさ!、いいひとだから、きっといいよっていってくれる!」 ね、と見上げてくるラビの、きらきらと期待に満ちた目。 ついでにこてりと首まで傾げ、だめぇ?と甘えた声で駄目押し。 こ い つ は ! これで無自覚だから嫌なんだよ、このウサギ!! 「……帰るとこがどこかわかるまでだからね」 「ありがとー!、だいすきさー!!」 渋々言った途端に、大はしゃぎで抱き付いてきたラビを適当にあやしながら、こっちはどうかとユウを見てみる。 ……ものすごく呆れた顔でラビを見ていた。 そうだよね、この甘え方はさすがにちょっと変だよね。 身内の恥をさらした気分だ。 いたたまれない気分になりながらユウからそっと目をそらして、とりあえずこの後のことを考える。 何はともあれご飯だご飯。 ユウは何か苦手なものはあるんだろうか、知らないで出しちゃったらものすごく気まずいしなあ。 「ユウ、何か食べられないものってある?」 「べつになにもな」 「ユウ、からいのにがて!」 「ラビ!!」 ユウが真っ赤になって怒鳴る。 別にいいじゃない、辛いのが苦手なんて可愛らしい。 ユウが真っ赤になってラビにつかみかかる。 ラビは相変わらず何で怒られてるのかがわかっていないみたいだ。 「はーいはいはい、喧嘩はそこまで。朝ご飯……にはもう遅いから、ブランチにするよー」 何を作ろうか迷ったけど(当初の予定では昨日の残りの青椒肉絲を温め直すつもりだった)、無難にフレンチトーストにしよう。 砂糖は多めに、牛乳は少し少なめに。 「いただきまーす!」 「いただきます」 ナイフとフォークを両手に持って元気いっぱいのラビとは対照的に、ユウはきちんと両手を合わせてごあいさつ。 ……躾の仕方、間違えたかな……。 ラビに比べて、ユウはものすごくお行儀が良かった。 ちょっと自分の躾を後悔しながら食器を片付けていると、リビングの方で実に楽しそうな声が聞こえてくる。 「ユウ、あそぼ!」 「くっつくな!」 ぺし、と小さな音。 「ええええ、せっかくひさしぶりにあえたのにー!」 「うるさい!」 「ユウったらてれやさんさー」 「ちがうばか!」 そっと覗くと、ラビがユウにぎゅうと抱きついていた。 ユウは何とかラビを引き離そうと暴れているけど、うちのラビはそれくらいで離れてやるほど根性なしじゃない。 ひっしと抱きついたままの(しかもだらしなく顔が緩んでいる)ラビに、とうとうユウの方が諦めたようだった。 「ユウーユウー」 「…………」 ぶすぅ、とむくれるユウに頬をすり寄せて、ラビはすっかりご満悦だ。 ちまいのが2匹でじゃれあってるのって、ものすごくおいしい光景。 ユウは世に言うツンデレかしら、ラビは甘えキャラだけど。 あの子は飼い主にだけは甘えると見た! こっそり持ち出したデジカメでひっついている2匹を撮りながら、その光景を想像して小さく笑った。 嫌がるユウを無理矢理ベッドに押し込んで、3人で川の字(と言うにはラビの身長が足らなさすぎるけど)になって寝る。 ちょっと狭いけど、その分ラビがユウにひっついているから特に問題ない。 ユウがラビの体重で圧死しないように祈りながら眠りについて。 「ユウー!?」 ラビの大声で目が覚めた。 「ユウー!?ユウ、どこいったさ!?」 涙目で必死にユウを探すラビは、布団をひっぺがしたりゴミ箱を探したり、とにかく大慌てだ。 「ラビ、さすがにゴミ箱はないと思う」 「だだだだって、ユウがぁ……!」 ラビはまだ諦めきれないみたいだけど、何となくどこに行ったのかはわかる気がした。 「帰ったんでしょ、飼い主のところに」 何がどうしてあんな風になったのかはわからないけど、この子達の存在自体が万国ビックリショーみたいなものだから、もう何も気にしないことにする。 「そんなぁ……」 「我慢しなって。じゃあ、ラビがユウのとこに行く?」 「や!おれ、といっしょがいい!」 「んじゃ、これで我慢しようね」 ぐずるラビの前にぴらりと出したのは、昨日のほっぺたぴったりの写真。 たちまちラビの目が輝いた。 「ユウ!」 「そ。これでいいでしょ?」 「ユウ、あいかわらずびじんさんさー……」 ほう、と夢見る瞳で溜め息をついたラビに、ものすごく嫌な考えが頭をかすめた。 ……え、もしかしてこの子、相手が男でも関係なし? 「いやいやいやいや」 んな訳ないない、うちの子は普通の子です! |