そういえば、ユウの尻尾って、何のためにあるんだろう。
耳もそうだけど、別にいらないよね?
耳は人間と同じのがあるし、人間と同じ人体構造だから尻尾でバランスとる必要もないし。

ユウは邪魔じゃないんだろうか、すごく気になる。
気になる。


……よし、確かめてみようじゃないか。








フェイクファーで遊んでいるユウを手招いて、不思議そうに首を傾げている小さな頭を撫でる。


「なんだ?
「んー?ちょっとね」


ごまかしながらそろそろと手を伸ばして。


「ひぎゃっ!!」


尻尾の毛が逆立った。
ぶわわって逆立った。
おお、ちょっと楽しい。

にまりと笑ったら、べしりと力一杯叩かれた。


「やめろばか!なにすんだよ!!」
「ごめん、嫌だった?」
「ぞわぞわする!」


涙目で尻尾をさすさすするユウは、とんでもなく可愛い。
どうやら弱点だったらしい。

ごめんねと頭を撫でて、膝の上に抱き上げてご機嫌をとる。
ぴんと立っていた耳がへにょりとなるまで待って、飴で駄目押し。


「尻尾、痛かった?」
「……のばか」
「ごめん」


すべすべのほっぺたに私の頬をくっつけると、むっとした表情のままぐいぐいと押しつけてくる。


何なのこの子超可愛いんですけど!!
照れ隠しが余計に可愛いんですけど!!


内心でじったんばったん悶えながら、頬をすりつけて充分に堪能。
尻尾の付け根を優しくさすると、だんだん力が抜けてきたようだ。
よっぽど痛かったんだなあと反省して、今度は優しく包むように握ると、小さな身体がびくんと跳ねた。


「にゃっ!」
「あれ?」


これでも痛かったかとさすさすなでる。
ごめんねーと言ってたんだけれど、何だか今度は様子がおかしい。
押しつけられていたほっぺたが離れていって、くたりと力が抜けていっている。


「ちょっと、ユウ、大丈夫?」
「やだあ……」


ふるふると震える身体。
涙がたまった大きな目。

普段のユウからは想像もできない様子に、さすがにどうしたと慌ててしまった。
額に手を当ててみても熱はないようだし、変なものも食べていないはずだし。

さすさすとなでながら原因を考えていたら、紅葉のような手がぷるぷると震えながら私の腕をつかんだ。


「やめろばか……!」
「え?」
「しっぽ、さわるな」
「あら」


これが原因か。
痛かったみたいだから撫でていたんだけれど、どうやらこれも間違いだったようだ。


「ごめんごめん」
のばか!!」


涙目で怒られてもちっとも怖くないとわかってるんだろうか、この子。
可愛いだけなんですけど!


「ごめんって。今日のおやつ、ホットケーキにするから、許して?」
「…………あまいやつだぞ」
「もちろん」
「ぺしゃっていうの、やだからな」
「失敗しないしない」
「はちみつ、やだ」
「ちゃんとメープルシロップだよ」

ふくれながらもちらちらとこちらを見るユウは、もう怒ってはいなかった。
可愛いなあと頭を撫でながら、耳を触ってみて、また同じ騒ぎになったのは……まあ、うん、私悪くないよ。
ユウが可愛いのがいけないんだよ。











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狭由良さんに捧げます!