寒い冬はやっぱり、こたつにみかんが一番だ。
狭いリビングに無理矢理こたつを置いて、幸せすぎると息をついた。


、みかん」
「はいはい」
「へんじはいっかい!」
「はーい」


座布団を重ねて座っても、まだ籠に手が届かないユウに、むきやすそうなみかんを選んで渡す。
鋭い爪でヘタの部分から上手にむき始めたユウを見ながら、私も一つ手にとった。

実家から送られてくるこのみかん、段ボール一箱とか多すぎる……。
ご近所に配りまくってどうにかしたけれど、毎年これは何とかならないんだろうか。
それとも、ご近所との交流を大切にしなさいという隠されたメッセージだったりして。

とりあえず、別に特産地でもないくせに送ってくれるその心意気に感謝だ。


白い筋を丁寧に取っているユウに、そんなに神経質にならなくてもいいのにと顔がゆるんだ。


「ユウ、筋には栄養があるんだよ。そのまま食べちゃいなよ」
「やだ」
「なんで?」
「……もそもそする」


神経質なまでに筋を取りながら、ユウがぼそりと呟く。
私は別に気にしないタイプだから、ユウのその行動がおかしいながらも可愛くてたまらない。


「取ろうか?」
「いい。じぶんでできる」
「そう?」


爪で袋を破かないようにして、ユウがちまちまと筋を取っていく。
細いものまで取る念の入れようだ。
私が4分の1個を食べ終わるまでに、ユウは1袋しか食べられていない。
両手に持って満足そうに食べるその姿を見るだけで、もうこっちまで幸せになってしまえるのは、ある意味すごいことだろう。


ああもう、ユウったら可愛いなあ!


「おいしい?」
「まあまあだな」
「生意気!」


甘くてちょっぴりすっぱいこのみかん、おいしいにきまっているのに。
ふんぞり返って笑うユウの額を小突いて、思わず笑みがこぼれた。


「ユウ、こっち食べてみなよ」
「やだ」


筋つきのみかんを一房分けて差し出すと、即答で返される。
口をへの字に曲げて、大した嫌がりようだ。

そこまで嫌がられると、かえって食べさせたくなるのが人情というもの。
だって、農家の人も「なるべくなら筋も食べてほしい」って言ってたよ!


「ユウったら」
「やだ!」


もう少し近づけたら、そっぽまでむかれてしまった。
仕方がないので、こたつから一旦出てユウの方へ回る。
ひょいと抱き上げると、小さい身体が一瞬寒さに震えた。


、さむい。なにすんだよ」
「んー?」


睨みつける姿も何のその、可愛い材料にしかなりゃしない。
にんまりと笑って元の私の席に戻って、膝の上にユウを乗せた状態で座り直した。


「ほら、こうすればもっと暖かいでしょ?」
「…………」


頬をちょっぴり赤くして黙り込んだユウの髪をなでると、さらさらと指通りがよくて気持ちいい。
抱きしめても文句を言わないところが、可愛くて可愛くてたまらない!
ぐりぐりと頭に顔を押しつけていたら、さすがにべしりと腕を叩かれたけれど。


「やめろばか!」
「ちぇー……」


ユウが嫌がるから「可愛い」とは言わないけれど、可愛いからしたくなるのに。
嫌がるなら仕方がない……とは言いたくないけれど、ひとまず引き下がっておく。


「はい、ユウ。あーん」
「…………
「あーんは?」


筋つきのみかんを口元に持っていくと、ユウの眉間に深い皺ができた。
あらまあ、そんなに皺を寄せたら、元に戻らなくなってしまうんじゃなかろうか。
思わずその眉間を指で広げつつ、さらにみかんを差し出す。


「食べてみなって。筋があってもおいしいよ?」
「やだ。おいしくない」
「そういうのを食わず嫌いって言うんです」
「もうたべてみた!」
「まあそう言わずに、ほら」


口元にみかんを押しつけても、ユウは頑として開こうとしなかった。
何度試しても変わらなかったので、仕方なく一旦みかんを離すことにする。


「あのさ、今日のお夕飯なんだけど、お魚に棒棒鶏ってやっぱり駄目かな?」
「べつに、おれはいい」
「そう?それじゃあそうしよっかな。胸肉が余っちゃってて」


そんな会話をしつつ、左手をひそかにスタンバイ。


「きくらげいっぱい入れようねー」
、きくらげすきだもんな」
「うん。あのこりこりした食感がたまらないんですよ!」


気づかれないように、そーっとそーっと。




「ねえ、ユウ」
「なん   っ!!」




普通に呼びかけて、普通に返事をしてくれたユウの口に、ささっと例のみかんを放りこんだ。
思いっきりがぶりといってしまったユウが、涙目できつく睨んでくる。


「思ったより悪くないでしょ?」
「…………っ」


一回口に入れたものを吐き出すような躾はしていない。
何とか飲みこんだユウが、ばすんと私の膝を叩いた。


   のばか!おれ、きらいだっていっただろ!」
「ユウに栄養たっぷりとってもらって、早く大きくなってもらいたいっていう親心ですよ」
「うそつき!そんなこと、おもってないくせに!」
「まあまあ、確かにユウはそのままでも可愛   
「かわいいいうな!」
   格好可愛いけどね?」
「けっきょくいってるじゃんか、ばか!!」











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鳥乃さん、1周年おめでとうございます!
企画に便乗して、にゃんだを送りつけます。ぺいっ!


にゃんだはこういう変なところで神経質だといいと思います。
そして結構豪快なヒロインに酷いことをされて、涙目になってればいいと思います(笑)
どんな表情でも、にゃんだは可愛いんですもの!