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ユウは時々、思いもよらない行動力をみせることがある。 それは例えば、帰ってきたらリビングがとっても綺麗に片づいていたりだとか、爪研ぎの段ボールが薄くなってあまり効果がなくなると、代わりに食器棚の見えにくいところでがりがりと爪を研いでいたり。 ……あれを見た時は、冗談半分で買ってきてた爪研ぎは必須だったのかと、しみじみ思ったよ……。 そんなユウは今、何やら一生懸命に何かをしている。 覗きこもうとしたら、「みるな!!」とキシャア!!ってやられた……。 背中を向けて、ごそごそごそごそ。 「ユウー?何してるのー?」 「ないしょ!」 何回訊いても同じ答え。 ちょっぴり寂しい……。 さてさて、何をしているやら。 とか思いつつ、バイトの時間になったので、ユウに一声かけて家を出た。 バイトは小さな雑貨屋さん。 けれど侮る事なかれ、これが結構忙しいのだ。 特にこの時期は、プレゼント用のラッピングやらディスプレイの変更が重なって、気づけば上がりの時間という有様だ。 特にこの時期はラッピングの注文が多いから、余計に神経を使う。 ボックスに綺麗に沿うように、包装紙を無駄なく使うのは結構大変なのだ。 でも、お客さんの受け取ったときの笑顔は格別! さて、今年のユウへのプレゼントは一体どうしようか。 またたびをあげてみようかともしてみたけれど、即座に怒濤の勢いで怒り出すのが目に見えたからやめた。 もしまたたびでユウがにゃんごろ言ったら、滅茶苦茶可愛いのになあ……。 写真撮りまくってアルバム作る自信あるよ、私。 ああ、想像しただけで顔がにやける……。 まあ、そんなことを考えたとばれただけで、ユウに怒られることは必須なんだけれど。 「ただいまー」 ドアを開けて声をかけると、部屋の奥で慌てて何かを隠すような音がした。 「、きょうはおそかったな」 「ディスプレイのレイアウト変更をしてたからね。でも、可愛くできたから満足かな」 「けがするなよ」 「大丈夫大丈夫」 むむっと眉根を寄せるユウにひらひらと手を振って、キッチンに入る。 さて、今日のメニューは何にしようかな? クリスマスシーズンは、去年も経験していたけれど、本当に忙しい。 うっかりすると休憩をもらうのも忘れていたりして、タイムカードに「休憩なし」なんて書くこともざらだ。 好きでやっているからいいけれど、問題なのは最近ご飯が結構適当になってきていること。 せめてユウにはしっかりしたものを食べてもらいたいと思いながら、バイトのある日はちゃっちゃと作った料理で終了という現実、直視したくない……。 ごめんねユウ、クリスマス当日にはおいしいケーキ買ってくるから! 痛む心をこらえながら、ごそごそやっているユウに「もうすぐご飯できるよー」と声をかけた。 目まぐるしい毎日の中で、何とか時間を見つけて、ユウのために新しい髪ゴムを買った。 ユウには絶対に和風、しかも赤と青が似合うから、なかなか見つけだすのは大変だった。 ついでに、お金も結構かかった……。 和風の組み紐を使った物って高いんだね、今更学習したよ。 気に入ってくれるといいなあと思いつつ、迎えたクリスマスイブ当日。 クリスマスが何の日かは去年ユウに教えてるから、今年はスムーズにケーキまで食べられるだろう。 あれこれ説明づくしだった去年、本当に苦労した……。 どうやらユウは知らない物に対する知的欲求がとても強いらしく、気になったことはとことん追求してくるのだ。 奮発して買ったアドベントカレンダーを毎日こっそり楽しみに開けているのも、実はここ最近の密かな楽しみだった。 ユウもきっと楽しみにしているだろうと思いながら、ケーキ片手にドアを開ける。 「ただいまー」 「おかえり、」 ここ最近がさごそやっていて出迎えてくれなかったのに、今日は久しぶりに玄関まで出迎えてくれた。 「それ、よこせ!」 「はいはい、ありがとう」 ずずいと出された手にケーキを渡すと、一目散にキッチンに走っていく。 私が手を洗って食事の支度をする頃には、ケーキはきちんと冷蔵庫に安置されているだろう。 まったく、もったいないほどよくできた子だこと!(親馬鹿と言いたいなら言うがいい!) そろそろ色々な図鑑を実家から送ってもらってもいいかなあなんて思いつつ、ちょっと豪華に鳥足の照り焼き。 残念ながら、七面鳥を買えるほどの経済力はないし、私の料理の腕も食べ手も足りない。 それでもユウは瞳を輝かせて食べてくれて、私としても作った甲斐があったというものだ。 「おいしい?」 「うまい!」 「そ、よかった」 それから二人で小さな小さなホールケーキを半分こにして食べて、あれこれととりとめのない話をして楽しむ。 どうやら最近のユウは本を読むのにはまっているらしく、ついに辞書にまで手を出し始めたようだ。 頭が良くなっていくのは嬉しいけれど、語彙力が多くなるとそのうち言い負かされそうで怖い……。 日に日に口達者になっていくのだ、この子は。 一緒にお風呂に入って、きちんと歯を磨いて。 「お休みなさい」 「おやすみなさい」 仲良く一緒のベッドで挨拶をして、ここからがさあ本番。 ユウが完全に寝入ったのを確認して、そっと枕元にプレゼントを置く。 喜んでくれるといいな ところが、翌日目を覚ましてびっくりさせられたのは私の方だった。 「 夜寝る前に確認した時は、確かにユウの枕元にだけプレゼントがあったはず。 なのに、私の枕元にもあるのは何故だろう? まさかまさかと思いながら少しぶきっちょなラッピングをほどくと、真っ赤なマフラーが出てきた。 片方の端が少々ほつれ気味なのは、きっと何度も編み直しをしたから。 端の処理がちょっと甘いけれど、これは多分絶対ユウが編んだものだ。 ここ最近こそこそしていたのはこのためだったのかと納得がいくと同時に、隣で眠っているユウがとんでもなく愛しくなった。 起きている時は絶対にさせてくれないから、柔らかいほっぺたにそっとキスをして。 「……ありがとね、ユウ」 最高のプレゼント! ----------------------------------- というわけで、今年のクリスマス夢は大穴のにゃんだでした! にゃんだはヒロインが寝てから、こっそり起きてそっと枕元にプレゼントを置いてるんだよ。 自分のプレゼントも開けたかったけど、じっと我慢の子だったんだよ。 何だかんだいって、結局仲のいい2人でした。 髪紐は無事にユウのお気に入りになって、毎日どちらかを握りしめてはヒロインに「ゆって!」って言っていたりします(笑) クリスマス夢とかいいつつ、狭由良さんへのプレゼントも兼ねておりますので、お持ち帰りは狭由良さんのみとなります。 何卒ご了承ください。 |