救世主に見えたその人に、一瞬の隙をついて駆け寄る。


「たすっ……助けてください!!」


涙目になりながら美人の男の人の後ろに隠れると、かばうように手を回してくれた。


「会長!!あんたほんとに何をしているんですか!!」
「えー、だって、可愛いじゃん?それに頭も良さそうだし。手伝ってもらおうかと思って」
「……あなたという人は……!」


男の人がふるふると震えている。

あ、怒る。絶対怒る。
イギリスでの友達、リディと同じだ。

こっそり耳を塞ぐと、予想通りどかんと雷が落ちた。


見た目クールで綺麗な人なのに、さりげなく口が悪い。
綺麗な口から怒濤のように流れ出る声を聞きながら、この人だけは怒らせまいと心に誓った。
一通りのお説教(と呼ぶのがちょうどいいだろう、あれは)が終わった後、その先輩が初めてまともに私を見る。

凛とした瞳に、一瞬どきりと胸が鳴った。


「――あなたは?」
「え、ええと、ラインハルト・ルカです。1年です」
「このクソ会長に拉致される心当たりは?」
「ありません」


これだけははっきりきっぱり言える。




私 は 地 味 に 生 き た い の !




意気込みが伝わったのか、先輩は私の尋問をやめたようだ。
代わりに、じろりと三双萩先輩を睨みつける。


「…………会長」
「ちっこくて可愛いだろう?マスコット的な」
「何考え」
「それに、多分有能だぞ。いつも図書館で小難しい本を読みあさってるし、この間の考査でもトップクラスの成績だった」


怒鳴ろうとして額に青筋を立てた先輩を遮るように、三双萩先輩がとんでもないことを口走った。
口元はにやにやと笑っている。
この人、本当に余計なことしかしないんだから!!


「お前の補佐にどうだ?娘娘」
「にゃんにゃん……?」


猫好きなんだろうか、この先輩。
だとしたらちょっと可愛いかもしれないと思いながら見上げると、何故か迫力のある顔で訂正された。


楊 芳 桂 です。……あの馬鹿の娯楽に、申し訳ありませんが少しつきあってやってください」


……どういうことなの!?
何なのこの生徒会、何かすごく変!!