「ルカー。ちょっとおいで」
「あ、志崎先輩!どうなさったんですか?」


尊敬する先輩(だってあの三双萩先輩を簡単にあしらえるんだもの!)(三双萩先輩にはほとほと困ってたから、志崎先輩はもうメシアみたいなものだ)に呼ばれて急ぎ足で教室の入り口まで行くと、先輩は隣にもう一人連れていた。

白い肌に桃色の唇。
女の私から見ても、素直に可愛いと思える人だ。

この人がどうかしたのかしら?
首を傾げながらしげしげとその人を見ていると、先輩が私を示しながらその人の方を向いた。


「椿。この子、ルカ・ラインハルト。三双萩見つけるのにすっごく役立つから」
「ほんと!?   あれ、でも、この子外人さん?」
「私、ハーフなんです。ええと……椿、先輩?」


イギリスでは名前で呼ぶのが当たり前だったから、つい癖でそう呼んでしまった。
呼んでから、こちらでは名字で呼ぶのが一般的なのだと思いだし、そろりと上目遣いで椿先輩を見る。
その先では何故か当の先輩がふるふると震えていて、やっぱりまずかったかと謝ろうとしたその時、がばりと抱きつかれた。


「京子!何この可愛い生き物!!」
「あーうん、確かに可愛いよねえ。ってなわけでルカ、この子は椿。三双萩撃退の一番の特効薬。あと、私のことも京子でいいから」
「え……ええ?」
「あー、つまり、三双萩がらみで何かあったら、この子にメールすれば一発で大丈夫だから」
「……本当ですか!?」
「うーん……確かに三双萩君、私が呼びに行くと何だかんだで生徒会に来てくれるけど……」


その瞬間、私は確かに椿先輩が救世主に見えた。




   よろしくお願いします、椿先輩!!」




思わずぎゅうと抱きつき返すと、椿先輩がまたきゃあきゃあと私のことを褒めてくれた。
ふわふわと柔らかい先輩の身体に包まれながら、(これであのしつこい先輩から逃げられる!)と密かにガッツポーズをしたのは秘密だ。