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ミッドガルからチョコボを走らせること数十分、山間の中にそこはあった。 あの魔晄都市のすぐ側とは思えない、緑にあふれた穏やかな平原。 偶然発見してからというものの、そこはとセフィロスの密かな息抜きの場所として度々利用されていた。 日々執務に忙殺され、それに加えてソルジャーとしての任務もこなすセフィロス。 そのセフィロスの補佐をし、やはりソルジャーとしての任務を果たす。 彼女の場合はクラウドの教育も兼任しているから、忙しさという点ではセフィロスとさほど変わらないかもしれない。 そんな2人が誰にも邪魔をされず、ほっと一息つける場所。 ちょっとした平原の所々にちょうどよい木陰を作る木々があるその場所は、割と頻繁に利用されていたりした。 そして今日も、2人の姿が。 「いい天気だね、セフィロス」 「ああ」 「風も気持ちいいし、大地も元気だ」 「そうか」 「うん」 が指を宙に絡ませ、くるくると何かをもてあそぶ。 楽しそうに笑うその姿に、セフィロスの顔も思わずゆるんだ。 そんな彼の髪を梳いて、はゆったりとした声で続ける。 膝の上に乗った銀の頭は、心地よい重さをに伝えた。 命がある、証。 今ここにこの子がいると、重みが伝えてくれる。 成長期もとうに終わったそれは彼女にとって少し重かったが、それでも幸せだった。 「少しお休み、セフィロス」 「……そうだな」 とろりとろりとまどろみながら、セフィロスも素直に応じる。 こういう時の彼は本当に疲れているのだと知っているから、はそっと風に頼んだ。 優しさで包みこむような、そんな風を。 そうして、優しい優しいセフィロスのためだけの時間が始まる。 ゆったりと銀の髪を梳きながら、が透き通った声で歌い出した。 眠れや 眠れや 揺籠に風吹き 山の上にて マリアは嬰児 眠りに誘えど 「ああ ヨセフよ 我が腕を しばし支えませ」 ゆったりとしたメロディーは、まるで子守歌のようだ。 銀色の髪を優しく優しくなでながら、は歌う。 心地のいい手の動きと歌声に、セフィロスの瞼がとろりとまどろんだ。 「、それは 「……ああ、この歌?うーん、多分……子守歌だよ。祈りの歌でもあるけど」 「祈り 「うん」 愛しい我が子が、安からに眠れるように。 何も考えず、ただ心穏やかに眠りにつけるように。 自分の支える腕が疲れて震え、赤子を起こすことのないように。 母親の愛情と、救世主の預かり主としての責務と。 聖マリアは、一体どちらの気持ちを強くこめてこの歌を歌ったのだろう。 何の根拠もないけれど、きっと前者なのだろうと、は思っている。 愛しい子供。 たとえそれが愛しい夫との間の子供でなかったとしても、その幸せな眠りを願わない母親がいるだろうか。 彼女の目の前にいる、この大きな子供でさえ、こんなにも愛しいというのに。 「お休み、セフィロス。しばらくしたら起こすよ」 「だが、も疲れて 「私は大丈夫。だからセフィロス、ゆっくりお休み」 微笑んで髪をなでれば、切れ長の目が気遣わしげにこちらを見つめる。 それに大丈夫だとうなずくと、やがてとろとろとまどろみ始めた。 それを目を細めて眺めつつ、はまた歌う。 疲れし 白きその手に 峰の風は 厳しく 揺籠に風吹き 山の上にて 「眠れや」 丘に立つマリヤの 歌は優しく 風もさわやかに 御子はまどろみぬ 「 今よりもずっと幼い自分 手のひらは草の汁で濡れ、編み上がっていく花冠はやや不格好で。 それでも、できあがった瞬間に、自分は満面の笑みで走り出す。 「 「セフィロス、そんなに急いで走ると危ないよ 飛びつくように抱きついたのは 何もかもを包み込むような笑顔で、花冠を受け取ってくれた。 「もらっていいの?」 「うん、母さんに」 「ありがとう、セフィロス」 嬉しそうに笑ったは、不格好な花冠を頭に乗せて首を傾げる。 恥ずかしげに、はにかむような表情で。 黒髪に色とりどりの花が映えて、目にも鮮やかだ。 「……似合う?」 「うん!」 心の底から力一杯うなずくと、笑顔と共に優しい抱擁がやってきた。 「ありがとう、セフィロス。大事にするね」 柔らかで温かく、いい匂いに包まれる。 うっとりと目を細めた自分は、小さい腕を精一杯伸ばしての身体に回した。 「母さん、大好き!」 「私も大好きだよ、セフィロス」 セフィロスが目を覚ますと、はまだ小さな声で何かを歌っていた。 ゆったりとしたメロディーは、恐らく彼を気遣ってのものだろう。 髪を梳かれる、ゆっくりとした手の流れが心地よい。 「……」 「ああ、起きた?おはよう、セフィロス」 声をかければ歌声は止まり、柔らかい笑顔が向けられた。 よく眠れた?との問いにうなずくと、それはよかったと返される。 「、夢を見たんだ」 「どんな夢?」 「俺はほんの子供で、が母親で それを聞いたは、一瞬だけ泣きそうな顔になって 「 ----------------------------------- のんさんのリクエストで、「木漏れ日の下、ヒロインの膝枕で眠るセフィロス」でした。 ほのぼのすぎて、書いている私がびっくりしました(笑) セフィロスの見た夢は、こうあってほしかったという私の願望でもあります。 普通にお母さんがいて、子供らしくはしゃいで。 きっとひでおも、そういう夢を持っていたらいい。 無意識の願望が夢になって現れて、ヒロインはそれに気づいて泣きたくなって。 でも、自分の息子がそういう夢を持ってくれたことがとても嬉しくて。 お持ち帰りはのんさんのみとなります。 リクエストありがとうございました! |