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緊迫した2つの気配のせいで、周囲の空気まで切れそうに張り詰めていた。 「……こいつはタークスの獲物だぜ?随分前から探してたんだぞ、と」 「そんなの関係ないでしょ。私もこいつを探してたの、邪魔はさせない」 互いに武器を構えながら、一触即発の空気で対峙する2人。 その脇では、棒を飲んだように立ちすくむ男の姿があった。 「早くあっち行ってくれない?ストップが解けちゃうじゃない」 「ああ、やっぱあれ、がストップかけてたのか。妙な体勢だとは思ってたんだよな」 「あんたがこなきゃ、さっさと終わらせてたのに」 今にも舌打ちをせんばかりに忌々しい表情をしたが、その眼差しを一層鋭くする。 「邪魔するなら……容赦はしないからね」 「それはこっちのセリフだぞ、と」 じりじりと間合いを測りあって、仕掛けたのはほぼ同時だった。 「 「ふっ ロッドを突き出してきたレノの右手を横に避け、代わりに長剣を薙ぎ払う。 背後でレンガ塀が崩れる音を聞きながら、何もない空間を裂いた剣に舌打ちをする。 「ちょっと、避けないで当たりなさいよ!」 「無茶言うな阿呆!死ぬっつの!!」 「レノのくせに、私に口答えするわけ!?」 ヘタレのくせに!ヘタレのくせに!と呟きながら、情け容赦ない攻撃を与える。 レノも器用に避けては受け止め、隙を見計らって攻撃を仕掛ける。 「あれ、結構破壊力あるしなあ……」 警棒や十手と一緒で、軽く振るだけでスイカを粉々に破壊するくらいの力がある。 そんなものが全速力で迫ってくるのだから、避けるも結構必死だ。 眼前に突き出されたロッドを最小限の動きで流し、そのまま鍔競り合いの要領で一気にレノの顔面を狙う。 「ぅおっと!」 しかし、あと数cmというところで上に跳ねあげられた。 すかさず襲ってくる回し蹴りを腕でガードし、お返しとばかりに脚で急所を狙う。 「だあっ!!」 かなり必死に飛びずさって逃げたレノが、青ざめた顔で大事な部分をガードした。 「え……えげつねえだろ、……!」 「だまらっしゃい、このヘタレ。私の邪魔をするのが悪いんでしょ」 鬼気迫った表情で鼻を鳴らし、は再び剣を振るう。 と見せかけて、その剣をぶん投げた。 慌ててロッドで弾き飛ばしたレノに肉薄し、が鋭い拳を突き出す。 「やっ!」 「げっ!」 間一髪で首を傾けたレノの髪が、拳圧で妙な方向になびいた。 すぐに自身もロッドを捨てたレノも、全力で拳を突き出す。 「タークスをなめるなよ、っと!!」 「そっちこそ、ソルジャーをなめないでよ!」 「「そしてお前は逃げるなよ!!」」 ストップが解けて、密かに逃げ出そうとしていた男。 その男に向かって、2人同時に攻撃を仕掛けた。 がブリザドで足下を固定すれば、レノのサンダーが男を襲う。 見事なコンボで、男は1歩も動けないままに気絶した。 完全に撃沈した男に目もくれず、2人の攻防は続く。 拳を掌で受けて横にひねったが、顎を狙って下から突き上げると、レノもその手をつかんで蹴りを繰り出した。 もらった、とレノが笑う。 避けきれるはずがない。 「笑ってていいの?」 「は 笑いを含んだ声が聞こえると同時に、レノの視界からが消えた。 確かにつかんでいたはずの手からすり抜けた感覚に、思わず一瞬意識がそれる。 「甘いよ、レノ」 密やかなその声と同時に、うなじに強い衝撃。 「ぐ……っ!」 意識が飛びそうになるのをこらえていると、嬉しそうなの声がかかった。 「それじゃ、この人もらうねー」 「ま……待て、って……」 やばい。 このままの好きにさせたら、ツォンに始末書を書かされる。 青ざめながら顔を上げたレノの前で、がゆっくりと男に歩み寄る。 「ほれ、起きろ起きろ」 かなり乱暴に頬をはたいて男を起こし、拳を握りしめた。 みるみる顔を青ざめさせた男に向かって、最上級の笑顔を見せて。 「よくもジェンにセクハラしくさってくれたね、この外道!!」 「そんな理由かよ!!」 80cmほど綺麗に吹っ飛んだ男を視界の端に入れながら、レノが思いっきり突っ込んだ。 「てっきり、ソルジャー絡みのもんだと思ったってのに……!!」 「うるさいなあ、神羅とかソルジャーとか言う前に、こいつは女の敵なんだよ!?タークスにもってかれたら、もう殴るチャンスもないじゃない!」 ようやく回復して飛び起きたレノに、が握り拳で熱弁をふるう。 びしりと指を突き付けられて、レノは反射的に一歩後ずさった。 いつの間にやら手元に剣を戻していたは、無意味にひょんひょんとそれを振りながら口をとがらせる。 「美人は大切に、って昔から言うでしょ?」 「言わねえよ」 「言うんだよ。美人のジェンやらアンヌやらに泣いてすがられたら、男じゃなくても助けたくなるって」 だから黙って殴らせろ? 綺麗な笑顔と共に目の前に突き立てられた剣は、コンクリートのはずの地面に、いとも簡単にめりこんでいく。 その目がマジなことに気付いて、レノの背に冷たい汗が流れた。 微妙に引きつった笑顔を浮かべたレノに、は笑顔のまま首を傾げる。 「アンヌに聞き覚えはあったみたいだね、よかったよかった」 なかったらウッカリ召喚マテリアをつかっちゃうところだったよと言われ、レノの口元がひきつる。 やべえ、こいつ本気だ。 「……あー、、落ち着けよ……、と。な?」 「落ち着いてるよ?これ以上なく」 完璧な笑顔のまま、が一歩近づいた。 同じ分だけ後ずさりしようとしたレノの目前まで一瞬で移動し、力の限りに拳をうならせる。 「アンヌはねえ、バノーラから出てきたばっかりなんだよ!たぶらかすたぁいい了見じゃねえの!!」 口調変わってるし……!! 綺麗に吹っ飛びながら心の中で突っ込んだレノの視界の端で、が男にえげつないロープのかけ方をしているのが見えた。 動けば動くほどしまっていくそのかけ方に、一応捕獲はしておいてくれるらしいとわかる。 始末書はまぬがれそうだと思ったのを最後に、彼の意識がとぎれた。 「ツォンー、お届け物」 「か、どうし 「思いっきりこらしめてやってね、こいつ女の敵だから」 気を失っている間にそんなやりとりがされていたなんて、当の本人は知るよしもない。 ----------------------------------- どこまでもヘタレな男・レノ。 どうしてもACのギャグキャライメージが離れません。 他は皆シリアスなのに!(笑) ヒロインは基本的に、女尊男卑がモットーだったりします。 女の子は女の子であるだけで、十分に可愛くなれる素質があるんだよ!みたいな。 男は基本へタレキャラが多かったせいか、え?虐げてナンボでしょ、みたいな。 美人さんは大好きですが、ナンパ野郎はちょっと嫌い。 始めは真面目に戦闘シーンを書こうと思っていたんですが、レノ相手と決めた瞬間に、そんなことはアンドロメダ星雲ぐらいまですっ飛んでいきました! 元々戦闘シーンを真面目に書くと、ほんとしつこくなる性分なんで…。 さらりと。あくまで、さらりと。(さらりとしすぎだ) 紅さんからのリクエストでした。ありがとうございました! リクエスト品ということで、今回はフリーではありません。 お持ち帰りはご遠慮くださいー。 |