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今日も今日とていつものように、ソルジャーズが集まる食事時。 「ー、腹減ったー!メシー!!」 「…………だああぁぁぁっ!!」 とんとんとリズムよく包丁を動かしていたが、いきなり大きな声をあげた。 がっしょんと包丁を流しに投げ入れ、いらだったようにザックスを指差す。 「ザックス!!食事が出てきて当然なんて、甘えすぎ!!」 「えええ、だってよ、の飯うまいんだもーん」 「だもーん、じゃありません!料理作るのがどれだけ労力使うか、あんたわかってんの?」 「無理無理無理。俺、料理てんで駄目だもん」 あっけらかんと言ったザックスの顔の横を、銀色の線が飛んでいった。 壁に刺さってびよんびよんしなる果物ナイフを見ながら、ザックスの背に冷たい汗が流れる。 「……スンマセン」 「一人暮らし長いくせに!今時ねえ、料理ができない男なんてもてないんだよ!?」 鼻息荒くそういったに、ぎくりと肩をゆらす男達。 そんな男共の様子には気づかずに、まな板から野菜をフライパンに投入しつつ、が眼差しを強くした。 「セフィロス。ザックス。あんた達、明日料理教えるからね」 「え、、俺は?」 「クラウドはまだいいよ、疲れてるだろうしね」 戸惑ったように声をあげたクラウドに、打って変わって優しい顔をしたを見て、ザックスがひでぇ!と悲鳴をあげる。 「ずりぃぞクラウド、お前だって男だろ!?」 「黙らっしゃい!こんな若い子にまで働かせなきゃいけないほど、私は疲れてないわ!!」 こんなに可愛いクラウドをいじめられない!! ぎゅうぎゅうと成長途中の身体を抱きしめながら叫ぶ。 クラウド、色々な意味で真っ赤。 えこひいきと私情入りまくりのに、セフィロスがおそるおそる首を傾げた。 「は……俺が、料理ができた方がいいのか?」 「その方がいいんじゃないかなあ。自炊も覚えないといろいろ大変だし、料理できるとかっこいいよ?」 「そうか」 俄然やる気になったらしいセフィロス、習う気満々だ。 その後ろでまだぶつぶつ言っているザックスに笑顔で無言の圧力をかけ、は明るく言い放った。 「それじゃあ明日、各自包丁とエプロン持ってきてね!」 と、いうわけで。 集まりましたソルジャーズ。 ついでに何故か、プラスワン。 「クラウドは別にいいんだよ?」 「いや、俺もやりたい。俺が料理できたら、が疲れて帰ってきた時に、作ってあげられるだろ?」 「……クラウド……!」 何とも健気なことを言ってくれるクラウドに、は感激しきりだ。 もう!もう!何なのこのいい子は!!とでも言いたげにクラウドの頭をぐりぐりとなで、ザックスに勝ち誇ったような目を向ける。 「どうだザックス、クラウドのいい子さをちょっとは見習いなさい!」 「うぐ……」 悔しそうに言葉をつまらせたザックスに苦笑して、クラウドが緑のエプロンをしめながらを見た。 「何作るんだ?」 「ん?初心者でも簡単に作れるものにしようかなあと」 魚をさばいて焼いて、スープを作って。 それでひとまずは完成だと聞くと、ザックスの表情が明るくなった。 「よっしゃ、やろうぜ!」 青いエプロンは、彼女からのプレゼントだろうか。 右肩にさりげなく刺繍された花が可愛らしい。 奥のセフィロスはシンプルな黒いそれで、慌てて買ってきたとは思えないほどセンスのいいものだ。 めいめい慣れていないと丸分かりなエプロン姿に小さく笑って、も白いエプロンをしめた。 「はいはい。それじゃあまず、魚の鱗を落とそうか」 頭をしっかりと押さえて、包丁の背を使ってがりがりと。 「できないのかよ!!」 「うわっ……」 「ヒィッ、刃が刺さる!刺さる!!」 「……」 「刃を持たない限り刺さらんわ阿呆!柄をしっかり握りなさい!クラウド、持つのは尻尾じゃなくて頭!顔鷲掴み!セフィロス、そんなに強くやったら魚がつぶれる!!」 大騒ぎの鱗取りをようやくなんとか(本当になんとか)終わらせて、次はさばく段階へ。 「ー、肉もげた!!」 「こらー!!骨に沿って包丁動かせって言ったでしょ!?」 半身が半身ではなくなっているザックスの頭をがすりと殴り、新たな魚(鱗処理済)を渡す。 「痛っ……」 「あっ、クラウド!指切ったの!?」 「大したことないよ」 「その傷口のどこが大したことないの!?ケアル!!」 親指のつけ根からだくだくと血を流すクラウドに悲鳴をあげ、が慌ててケアルをかけた。 傷はふさがったが念のためにと重ねがけをし、セフィロスを振り返ったの顔色が変わる。 「セフィロスー!!魚の頭を落としてどうするのー!しかも返り血!!」 「……面倒だったんだ」 「面倒じゃありません!ああもう、こんなにずっぱりいっちゃって!変なところ器用なんだから!」 まな板には傷一つつけていない包丁さばきに、笑いたいやら泣きたいやら(比率はおそらく1:9だ) 自主参加のくせに一番真面目なクラウドに、思わずほろりとなりそうになる。 どうにか3枚に下ろし終わった生徒達の魚に味付けをし終わった頃には、はぐったりとしきっていた。 「……後は焼くだけー。セフィロス、お魚用のガスコンロはいいね?」 「余熱は充分だ」 「オッケー。じゃあ、パンの水をこぼさないように入れてね」 本当は、うまくできたら煮付けにしようと思っていた魚だが、これで煮るとなるとさらに労力が半端ない。 味付けにも一騒動あったのだが、もう思い出したくもないほどだ。 この上スープ? 無理無理、ありえない。 「後は私がやっておくから、みんな座ってていいよ……」 「よっしゃ、ラッキー!」 さっきまで冷や汗だらだらで料理をしていたザックスが、弾むような足取りでソファーへと向かう。 セフィロスもそれに続いたあたり、弱音は吐かなかったが疲れていたらしい。 「、俺も手伝う」 何とも可愛いことを言ってくれたクラウドに癒されつつ、軽く笑ってその頭に手を乗せる。 「休んでていいよ。ご飯も炊けてるし、スープもすぐ作るし」 「でも、俺だって手伝いたい」 「クラウド……」 必死に言い募るクラウドに、も思わずきゅんときてしまった。 「……じゃあ、スープができたらよそってくれる?簡単に卵のやつにするから」 「うん!」 ぱっと顔を輝かせたクラウドに笑って、味見もせずにスープを仕上げる。 この程度ならば、味など見なくても身体が覚えてくれているのだから。 ご飯に焼き魚、卵のスープとまとまりのないメニューだが、初心者ながら美味しい出来だった。 が。 「……やっぱり、私が料理するよ……」 こいつらに包丁を持たせてはいけない。 しみじみ痛感した1日だった。 ----------------------------------- 主人公による「今日の料理」(違う)、本物とは比較にならないほどアクシデントが多発した模様です!(笑) 本当はセフィロスがなかなか魚をさばけなくてイライラして、サバイバルナイフで身をぶった切るとか考えたんですが。 さすがにうちのひでおは、そこまで悪い子にはなれませんでした…。 包丁のまんまで頭を切り落とすぐらいが精一杯。 多分、のんさんの想像とは全然違うお料理教室、これにて閉幕! ソルジャーズはあんまり料理ができないといい。 クラウドだけが真面目にヒロインに教えを請うて、将来的におさんどさんになってると思います。 というか、うちでは確かそんな設定だった気がする…(笑) セフィロスは不器用ではないんですが、細かい作業が苦手。 刃物持たせれば天下一品ですが、包丁は刃物には含まれないんだよ、みたいな。 のんさんからのリクエストでした。ありがとうございました! リクエスト品ということで、今回はフリーではありません。 お持ち帰りはご遠慮くださいー。 |