「っしゃー!!任務任務!!」


深夜とも言える時間帯、にもかかわらず大きな声を上げるザックスを、が遠慮なくはたく。


「うっさい!何時だと思ってんの」
「えー、だってよ、やっと1st初任務だぜ?正式なやつじゃないけどよ」
「だからって、ちょっとはしゃぎすぎだよ」

子供のようにきらきらと目を輝かせるザックスに苦笑し、は髪を一つに結う。




「さて。今日も気張って行きますか」




愛刀を従えてにやりと笑うと、そのまま大きく跳躍した。
その後を追って跳躍したザックスは、着地地点の思わぬ足場の悪さにぐらりとよろめく。
それをのんびりと見ていたは、けらけらと容赦なく朗らかに笑った。


「ザックスだっさーい」
「うっせ!」
「あははははは、どうでもいいけど頭下げた方がいいんじゃない?」


猫のように目を細めたがついと指した先を見て。


「うおぉっ!?」


ザックスがべたりと列車の屋根に張りついた。
間一髪でトンネルに入り、もう少しで首が吹っ飛びそうになったザックスは心臓がバックバクだ。


おっま……!!気づいてたならもっと早く言えよ!」
「だから教えてあげたじゃない」


器用に何やら足下をいじりながら、に悪びれた様子は一切ない。
ふてくされたザックスは放置してそのまま作業をしていたは、ほどなく屋根の一部をがこりと外した。


「さ、入ろうか。さすがにこれ以上いると、顔だけじゃなくて煤だらけになっちゃうよ」


言われてみれば、暗がりでよくわからないが、彼女の肌が少し煤けてきているような気がする。
するりと音もなく降り立った先は、ごちゃごちゃと荷物が置かれた貨物室だった。


「ICカードは持ってな……いよね」
「もち」
「……まあ、ドッグタグがチップ代わりにもなってるし、問題ないでしょ」


正規の任務でもなく、ましてやそう遠くでもなかった為、交通手段は用意してもらえなかった。
トラックなら余裕で寝られたんだけどなあと内心でぼやきつつ、ザックスはポケットから引っ張り出したハンカチでの顔をぐいぐいと拭く。


「ちょ、自分でできるってば!」
「いいからいいから。鏡なんて持ってないんだし、おとなしく拭かれろって」


意外にも丁寧な手つきに驚きながらも、化粧してたら絶対にはげていたと思う。
色気づいていないパートナーでよかったなと、はザックスを生温い目で見た。

簡易型のライトをつけると、なるほどザックスの顔はなかなか見事に黒く煤けている。
間違いなく自分も同じ状態なのだろうと思い、鏡で確認できないことをちょっぴり残念になる。
黒くなった自分の顔は、さぞおもしろいことになっていただろうに。


「他の奴らは?」
「別行動で現地集合。そんなことぐらい聞いときなよ」


呆れたような目を向けたに、ザックスは気まずそうに目をそらした。


「やー……それはほら、眠かったじゃん?」


にへら、と笑うザックスにずびしと手刀で突っ込みを入れて、はこれみよがしにため息をつく。


「後でセフィロスに言いつけてやろ」
「げっ!?それはマジ勘弁!!」
「んじゃ、食事3日間作ってあげない」
「それも勘弁!」


まったくもって頭の上がらないザックス。
そんなやりとりを続けるうちに、列車は終点まで到着していた。

やれやれと伸びをしたら、そこからは徒歩。


「てかよ、今回って本当に俺らが行く必要あんのか?」
「さあ?士気を高めたいんじゃないの」


あっさりと首を傾げたザックスにやはりあっさりと返し、は襲いかかってきたモンスター(機械系)を一刀両断した。
爆風を頬に受けて目を細めるは、そのまま闇に溶けこみそうな色彩だ。


エアリスとは正反対だよなあ、こいつ。
会わせたらおもしろいかも。


そう思いつつも、彼女達がタッグを組んだ時の恐ろしさを想像して、その考えを宇宙の彼方へとすっ飛ばした。




マジ怖えって……!(ガクブル)




そうして同時に、目の前の相手を(色々な意味で)慕っている金髪チョコボに思いを馳せて、そっと遠い目になる。

あのチョコボも、これから色々苦労するだろう。
惚れてるんだか単に師匠として慕ってるのかはいまいちよく判断がつかないが、こいつは任務や鍛練に手なんて抜かない奴だ。絶対に。

こうして一緒に(仮)任務を行うのは初めてだったが、それだけは自信をもって断言できた。


(……それに、目茶苦茶鈍そうだし)


こっそりと横目で白い顔を見ながら、そんなことも思う。


「どうかした?」
「や、何でもない。それより、もうすぐじゃね?」


モンスターの巣窟と化した、洞窟内の掃討作戦。

ミドガルズオルムのいる沼地を通らなければいけない辺りがやや危険だが、チョコボをつかまえれば危険はなかった。
徒歩に飽きたが早々にチョコボを捕獲し、タンデムでここまで来たのだが……。


何のためらいもなく男とタンデムをするに、ザックスは思わずいいのかよと突っ込みたくなった。
本人が気にしないならいいのだとは思うが……仮にも年頃の娘だろうに。


どうしたもんかなーと考えていたら、それに気づくいたのかが真っ黒な笑顔で拳を固めていた。


「何か余計なこと考えてない?」
「いや全然全くちっとも」



コンマ2秒で笑顔を返し、これだからこいつは恐ろしいと冷や汗を拭う。

はチョコボの操作は苦手なようで、乗った瞬間から手綱はザックス任せだ。
呑気に金色の首筋をなでていた彼女が、不意に楽しそうにザックスを振り返った。


「やっぱ似てるね、クラウド」
「ぶふぉっ!!」
「そうかそうか、やっぱり思ってたのは私だけじゃないか」


完全な不意打ちに、(ある意味)シリアス思考に入っていた頭がついていかなかった。
気管に変なものが入ってむせるザックスの肩を叩きながら、はうきうきと声を弾ませる。




「あれって意識してやってるのかな?それとも無意識?」
「む……無意識じゃねえの?昔っからあんな髪型だったらし……ぷぷっ」
「うっわー、可愛いなあクラウドチョコボ」
ぶっ!!ちょ、マジやめろって……笑い死ぬ……!」




目的地までそんな調子で笑いが止まらず、騒がしいソルジャー1stの登場に、一般兵の気がおおいに抜けたとか。
そしてその報告を受けたラザード総括から、何故かザックスだけ怒られたとか。




「何で俺だけ……!」
「人望人望。後は太いパイプと巨大なコネ」
「パイプ?コネ……あー!マズラディのおっさん!!ずりーぞ!!」











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コロポックル様からのリクエスト、「MCの2nd時代でCCのイメージ、任務で元気に」でした。
CCのイメージはトレーラーのしかなかったので(しかも電車に飛び移るところ)、そこから広げていったらこんなんなりました。
元気…っていうか、ギャグ?(笑)
エアリス最強説は確定しているので、ヒロインとタッグを組んだらさぞ素晴らしいことになるでしょう!


ザックスは気のいい兄ちゃん!というイメージが強いですね、やっぱり。
機種の関係でBCはプレイできていないんですが、やっぱり気のいい兄ちゃんなんでしょうか?
そうだったらときめくな!!
あ、DCはプレイしていません。
元々シューティングゲームが超苦手なのと、周りの評価があんまりよくないのとで…。
MCの設定は本編からACまでだと思ってください(ヘコー)

コロポックル様のみお持ち帰り可となっております。
リクエストありがとうございました!