何で俺様がこんなことをしてんだ?
何度自分に問いかけても、返ってくるのは知るかという答えだけ。






柄じゃないけど






「跡部部長、ドリンクのストックがもうありません。それに、コールドスプレーも……」
「わかった」

1年からの報告を受けてうなずき、手を振って向こうへと追いやる。


ったく、どいつもこいつも使えねえ。
いちいち俺に報告しねえで、自分で判断して行けってんだよ。


「そない言うても、備品の買い足しには部長の許可が必要やん。それに、部活中は勝手に外行けんし」
「あぁん?貴様、何勝手に他人の心読んでやがる」


誰がいつそんなことを許可したんだよ、こら。


いつの間にか横にいた忍足を睨みつけたら、奴と一緒にいた(どうやらしゃべっていたらしい)(練習しろよ)がくすくすと笑った。


「口に出てたよ、さっきの愚痴」
   ちっ」


俺様ともあろうものが、とんだ失態だぜ。


「誰か手の空いている   


1年を行かせろと言いかけて、ふとあることに気づいた。
……一番暇な奴が、今目の前にいるじゃねえか。



   、お前行ってこい」
「私?いいよー、お店の位置とお買い物リストくれれば」



実は多少の嫌がらせを含んだ言葉に思いがけずあっさりと肯定され、いささか拍子抜けをしながらも、とりあえず忍足に指示を出す。


「忍足、書いてやれ」
「へいへい」


肩をすくめて苦笑した忍足が、を連れて部室の方に行く。
しばらくして、心配そうな忍足に見送られながらが元気に出ていった。


「ああぁあ、大丈夫やろか。途中で迷子になったり変な奴に声かけられたり事故にあったりせんやろか」




……うぜぇ……。




はほんまに可愛えからなあ。ナンパされたりしてへんやろか。   はっ!まさか、変態に誘拐されてたり!」




馬鹿だこいつ。




「あかん跡部、俺ちょっと行ってぐえっ
「待ちやがれ」



真っ青になって駆け出そうとした忍足の首根っこをつかんで止めながら、俺は本気で頭が痛くなった。


……何なんだ、こいつは……。


「あいつも子供じゃねえんだ、大丈夫だろう」

練習をしろと言いおいて、自分のコートに戻る。




「遅いなあ……」
「まだ10分だろ」




「遅いなあ……」
「まだ30分だ」





   なあ跡部、ほんまに遅ないか?」
「ああ……」





が出て行ってから、もう1時間近くになる。
店までは女の足でも15分もあれば行けることを考えると、いくらなんでも遅すぎる。


「何かあったんやろか……」
   ちっ」


何してやがる、の奴。



「まさか、ほんまに事故とかに遭ったんじゃないやろな」



青い顔で忍足が呟くのを聞いた瞬間、思わず歩きだしていた。


「跡部?」
「メニュー、消化しとけ」


訝しげな忍足に言い捨て、店の方向に向かう。

ずいぶん行ったところで、派手なオレンジ頭に両腕をつかまれてもがくの姿が見えた。
男の顔には、嫌というほど見覚えがある。

早足になって2人に近づき、拳を固めて千石の頭を力一杯殴った。



「ってえ……!!」

「おい、お前何してやがる」



両手で頭を押さえた千石から解放されたが、驚いたように目を見開いた。


「景君!」
「遅ぇんだよ、

「あれ?跡部君じゃん。この子、ちゃんっていうんだ?」


にいと笑った千石の顔を見て、失敗したと悟った。
こいつの前で名前を呼ぶんじゃなかった……。


「景君、知り合い?」


ため息をついたに訊かれ、不本意ながらとうなずく。

「ああ、Jr.選抜でな」

知り合いたくもなかったが。


千石にウィンクを飛ばされたが、さっと俺の後ろに隠れる。


「おい千石、勝手にこいつに手ぇ出してんじゃねぇぞ」
「え?跡部君の彼女なの?」


何やら妙な勘違いをしている千石を鼻で笑い、これ以上構ってられるかとの手を引く。



「違ぇよ、馬ー鹿。   おい、行くぞ」
「うん。あ、荷物持って」
「何で俺様が持た」
「マネージャーでもないのに、わざわざ買ってきてあげたのは誰かな?」



俺の言葉を遮ってにっこりと笑ったに舌打ちし、袋を奪い取る。
そのまましばらく歩いていると、不意に腕を引かれた。




「ねえ、今日は樺地君、一緒じゃないんだね」
   気分だ」




ちくしょう、何で俺はこんなことをしてんだ?
大体こんなのは、俺のキャラじゃねえだろうがよ。


舌打ちしたい気分を押さえつつ、片腕に妙に上機嫌なを引っ提げて、氷帝に戻った。











、無事やったか!何があったん!?」
「侑士、それ大げさすぎ」


戻ったに忍足ががばりと抱きつく(うぜえ)


「オレンジ色の白学ランにつきまとわれてた」

がそう言った瞬間、忍足の目の色が変わった。
これで、次の練習試合での千石の運命は決まったな。



「……せや。あんなあ、



その忍足がにやりと笑った。
嫌な予感が背をよぎるが、忍足はそんなこっなど構いもせずにに話しかける。



「跡部、俺がは事故に遭ったんやないかって言った途端、血相変えて出てったんやで」
「へえ……」
「忍足!!」



覚えてろ……特別メニュー、組んでやるよ。

背を向けて奴のメニューを考え始めた俺は、だからが嬉しそうに笑ったことは知らなかった。