がくと達とお昼食べて、そのまま木陰でうとうとしてたらチャイムが鳴った。
授業だって事はわかってるけど、次の授業は先生が大っ嫌いなんだよね。
寝てると怒って頭叩くし、やたらひいきするし。
…………。
寝てよ。(ぐー)






あるがままに






「あ、起きた」

ふわふわしてあったかいものが手に触れて起きたら、目の前にちゃんの顔があった。
「おはよう、ジロちゃん」

俺が握ってたのはちゃんの手で、俺のと違って小さくて柔らかい。
俺を見る、ちょっと細めたちゃんの目も、いつもと同じように柔らかい。
「どうしているの?」
「侑士からメールがあってね、今日は天気がいいから、多分ジロちゃんサボって寝ちゃってると思うって。場所教えるから起こしてあげてって言われたの。でもジロちゃん、すっごく気持ちよさそうに寝てたから」

もう少しだけって思って。

そこで膝枕してくれるのが、さすがちゃん。

俺はちゃんが大好き。
いつも優しいし、あとべから守ってくれるし、あったかくて気持ちいいし。
俺がいくら寝てても、仕方ないなあって笑って見ててくれる。

「ね、ジロちゃん。今からでもいいから授業出よ?」
「やだ。あの先生嫌い」

ほっぺたをふくらませたら、ちゃんは困った顔になって俺の髪をなでた。
ゆっくり動く手が気持ちいい。
「だってね、寝てると頭叩くんだよ。それに女子ばっかひいきするし」

「あちゃあ……ひいきはよくないよね。先生だって人間だからしょうがないのかもだけど、それでも職業上生徒みんなに公平に接するのが当然だもんね」
苦笑して、ちゃんはくるくると俺の髪を指にからめだした。

「でもね、寝たら怒られるのは当たり前だよ?叩くのはさすがにやりすぎだけど、ジロちゃんだって自分が一生懸命話してる時に寝られたら、悲しくなったり嫌な気分になったりしない?」
「うん」
「だからね、おうちとか休み時間とかにいっぱい寝よう?どうしても眠い時は、今みたいにサボってお昼寝するんじゃなくって、理由こじつけて保健室で寝ようよ」

「えー……」
でも、外の方が気持ちいいのに。
そう言ったら、ちゃんは笑いながら俺のほっぺたに触った。

「確かにジロちゃんは、お外でお昼寝ってイメージがあるなあ」
そうなのかな?でも確かに、部活中に寝てるよね(だって眠いんだもん)
どこで寝たって同じだと思うけどなあ。
でも、大好きなちゃんが言うことだから、本当なのかも。

「そうなの?」
「うん。地面は固いからね、普通はそのはずだよ。   とは言っても、私は理系じゃないからそこら辺の理屈はよくわからないんだけどね」
えへへと笑ったちゃんは本当に可愛くて、俺はちゃんの腰に手を回してぎゅって顔を押しつけた。

「かわEーvv」
「ジロちゃんジロちゃん、お願いだからやめてたもれ」
「変な言葉ー」

わたわた慌てると、ちゃんって変な言葉遣いになるんだよね。たのC☆

「変でも何でもいいからやめてヒィ!」
「やだよーだ」
ぐりぐり頭をお腹に押しつけたら、ちゃんが変な声だした。ちゃんのお腹って、ちょっとぽっこりしてて気持ちいいんだよね。
俺のお気に入り!でもちゃんは嫌らしくて、いっつも怒るんだ。
今だって、ぺしんて俺の頭をはたいてくる。

「ジロちゃん、めっ!」
「えー……。ちゃんのけち」
「けちでいいもん。めっ」

ちょっと俺を睨んで(でも全然怖くない)、ちゃんは手でお腹をガードした。ちぇっ。
「別にいいじゃん」
「ジロちゃんはよくても私がよくないの。恥ずかしくて死んじゃうよ」
そんなものなのかなあ?俺にはよくわかんないや。

「そうなの?」
「うん。   ジロちゃん、今度頭洗ってあげるね」
「え!?なんで!?」

いきなり何の関係もないことを言われてびっくりした。
俺って頭洗ってないように見えるの!?

「ジロちゃんの髪、金色でふわふわでとっても気持ちいいんだけど……ちょっと痛みすぎなの。私が使ってるダメージケアのシャンプーあげるから、もう少し髪に優しくしてあげてね」
髪に優しくかあ。考えたこともなかったや。
「頑張ってみるー」

「頑張らなくていいよ?ただ、ほんの少しシャンプー変えて、ほんの少し洗い方を変えるだけでいいの」

今度お手本やってあげるねって笑って、ちゃんは俺の頭を持ち上げた。
「さ、お昼寝はおしまい!授業行ってらっしゃい」
「ちぇー……」

ちゃんがぐいぐい押すから、仕方なくもぞもぞ起き上がる。
やだなあ、授業。
でも、ちゃんって怒ると怖そうだし……。

あれ?


「俺、頑張んなくていいの?」


「うん。ジロちゃんはジロちゃんらしく、のほほんマイペースが一番似合ってるよ。今はたっぷり寝たから、残りの15分は起きてられるでしょ?」
「え?もうそれしか残ってないの?」
びっくり。

ちょっとしかたってないみたいな気がしたから。でも、それぐらいなら起きてられる。

「うん。5分でも授業に出てれば、欠課にはならないもんね」
「……えへへへー」

だからちゃんって大好き。

もっかいちゃんをぎゅってして、俺は大っ嫌いな授業に出るために歩き出した。