|
結論から言うと、テティスさんはカノンさんの彼女ではないらしい。 どきどきしながら訊いてみたら、両方にものすごく嫌そうな顔をされてしまった。 テティスさん美人だし、お似合いだと思うのだけれど……。 「私の忠誠はポセイドン様だけのものなの!」 「あーそうかよ」 「確かにそうだよな」 私の背中にひっついたままのテティスさんが、憤慨したように主張する。 それにカノンさんがめんどくさそうに答えて、ついでにひらひらと手を振った。 「じゃあお前、もうポセイドンの守りに戻れよ。いつ起きるかわかんねえぞ」 「まだ1月は余裕で起きないわよ!今はジュリアン様がソロ家の御用で忙しいんだもの」 噛みつくように答えたテティスさんは、すねた表情でそっぽを向く。 本当にポセイドン……ジュリアンさん?が好きなようだ。 それにしてもジュリアンって、一体どこからきた愛称なんだろうか。 もしやポセイドンって、実は女性? 「さ、。あなたの部屋に案内するわ」 「あ、カノンさん 「シードラゴンにはさばいてもらう仕事がたくさんあるのよ。 矢継ぎ早にカノンさんに向かってそう言うと、正に言い捨てというのが正しい様子でぐいぐいと背中を押される。 「おい、テティス!」 「たまには海界にも貢献しなさい!」 ぴしゃりと言ってのけたテティスさんは、もしかしたらこの海界で最強なのかもしれない。 うきうきと私を部屋に案内したテティスさんは、扉を閉めるなり目を輝かせて振り向いた。 「ねえ、。地上の化粧品って、どんなものが流行ってるの?」 そうきましたか。 今までの話を総合して考えるだに、どうやらテティスさんはずっと海の底にいるらしい。 人魚姫もびっくりの暮らしぶりだ。 そんな生活だからこそ、おしゃれにも興味津々なんだろう。 「うーん……私も聖域から出ないから、よくわからないんですよねえ」 申し訳ないけれど、化粧品は今まで使っていたものを、沙織さんがずっと用意してくれているのだ。 ただそれを使っているだけの身としては、答えられないのが心苦しい。 「そうなの……。それじゃあしょうがないわね」 少し残念そうにそう言ったテティスさんは、気を取り直すようににっこりと笑った。 笑顔がとてもまぶしいです、テティスさん!(美人さん!) 「じゃあ、女同士の話をしましょ」 おしゃれの話とかメイクの話とか、テティスさんの振ってくる話は本当に女の子らしいものばかりだ。 私もそれなりに身なりには気をつけるから、話していて楽しい。 どういうメイクが自分に似合うかなんて、女同士じゃないと滅多にしないし。 ……アフロディーテさんは言えば相談には乗ってくれるだろうけれど。 そんな中、不意に放たれた一言は、右フック並みに私を襲った。 「は好きな人、いるの?」 「はい!?」 「好きな人!」 うふふ、と笑ったテティスさんは、まるっきり恋バナ大好きな女の子だ。 彼女がポセイドンにぞっこんだというのはもうわかっているから、この場合つついても意味はないだろう。 となると、こちらの話をするしかなくなるんだけれど……。 「あの……おもしろい話、全然ありませんよ?」 「まさか!いるでしょ、あんなに顔だけはいいのが揃ってるんだから」 おそるおそる申告してみたら、笑顔と共にばっさり切られてしまった。 本当なのに……! どこからこんな自信があふれてくるんだろうか。 「あの、本当にいないんですってば」 「いるでしょ!確か魚座のところにいるんでしょう?顔は絶品だし、くらっときたりしないの?」 「いや、そりゃあ、あんな絶世の美形を間近で見たらなりますけど」 気を失いそうにはなりますよ。 とは、口が裂けても言えそうにない言葉だ。 「魚座じゃないんなら……シードラゴンの双子の兄は?シードラゴンと同じ顔だもの、なかなかでしょ」 「サガさんですか……。確かに、あの人も美人さんですけど」 どちらかというと、真面目すぎて何度か泣きそうになりました。 とは、口が裂けても以下略。 「んもう!じゃあ、星矢は?瞬は?氷河でもいいけど!」 「……すいません、その人達、誰かすら知りません……」 ポセイドンはぐっすり眠っているらしく、会えないままに一晩が過ぎてしまった。 何故かぐったりと疲れ果てているカノンさんと並んで挨拶をすると口々にまた来いと言ってもらえて、嬉しさに笑顔になる。 「また来ます!」 (さくっと終了!何となく、地位が関係なくなったら、一番強いのはテティスだと思います。ちなみにヒロイン、テティスのことは普通の女性だと信じています) |