俺も俺も皆さんが教えてくれた話によると、何とアイオリアさんとシャカさんとアルデバランさん(!)も同い年らしい。
思っていたのと年が変わらなかったのは、サガさんとアイオロス様くらいだ(この2人は思っていたよりも年が上だったけれど)。

予想外の年齢を聞いて愕然としていると、ムウさんが小さく笑いながら頭をなでてくれた。


「全くもう……年齢なんてどうでもいいじゃありませんか。はこんなに可愛いんですから」
「ム、ムウさ、そういう問題じゃ」
「そうだな。今更態度を変えるべきほどじゃないだろう」
「アフロディーテさんまで!?」


子供扱いをしていたなら大人の女性らしく扱ってください、と言おうとしたんだけれど、どうも何だか雲行きがおかしい。
扱いが変わるどころか、変える方がおかしいという流れになってきている。


「あ、あの、ちょっと待って――」
「そうだな、特に問題はないか!」


必死に主張しようとしたけれど、豪快に笑ったアルデバランさんにあっさりと遮られてしまった。
大きな手でひょーいと持ち上げられて、子供のように高い高いをされる。
アルデバランさん自身がとても背の高い人だから、本当に半端なく高くて皆さんが見下ろせた。


た、高い!楽しい!!
皆さんのつむじが見える!


「楽しいか?」
「はい!」


満面の笑みで返事をしてから、はたと我に返った。


……これ、思いっきり子供扱いじゃないか……!


アルデバランさんは微笑ましそうにいかつい顔をほころばせているし、アフロディーテさんやムウさんはものすごく温かい目をしているし……シュ、シュラさんまで……!


「もういいです、下ろしてくださいー!!」
「何だ、怖くなったのか?すまなかったな」
「違います!!」


仕方がないなと言わんばかりに微笑まれて、たまらずばちりと大きな背中を叩いても、アルデバランさんは豪快に笑うだけでちっとも効いた気配がない。
悔しいけれど、私の力ではちっともダメージを与えられないようだ。
面白がったデスマスクさんに頭をグシャグシャにされ、ミロさんに痛いくらいになでられ、後はもう誰が誰やら。

せっかくアリッサさんが綺麗に結ってくれた髪も、見るも無残な状態になってしまった。
忙しい時間をぬって、丁寧に仕上げてくれたのに……。


痛いやら切ないやらで泣きたくなっていると、珍しくシュラさんがアルデバランさんから下ろしてくれた。


「もうやめてやれ。泣きそうだぞ」
「――あ、悪い!」
「すまん……!」


慌てて謝るミロさん達からつんと顔を背けると、サガさんが苦笑しながら髪を整えてくれた。
思いっきり絡み合った髪を一つずつ丁寧にほぐして、手櫛で丁寧に梳いてくれる。
時々ぴんと引っかかる度に、「すまない」と微笑みながら謝ってくれた。

意外にも優しくて気持ちいい手の感触に、思わずうっとりと目を細めてしまう。
その間にもシュラさんが服の乱れを直してくれて、ついでに埃も払ってくれた。


「ありがとうございます、シュラさん」
「いや、止められなくてすまなかったな」
「いいえ!助けてくださっただけでもう充分です」


あのタイミングでシュラさんが手を出してくれなかったら、きっといまだにいじられまくっているに違いない。
どんな悲惨な事態になっていたのか、もう想像もしたくなかった。


「アフロディーテさんもムウさんも、笑ってないで止めてくださいよ!」
「ごめん、があをまり可愛いから、つい」
「そんなうまいこと言ってもだまされません!」


とろけるように微笑んだアフロディーテさんにびしりと言い放って、サガさんの後ろに隠れる。
紺色のローブをぎゅうと握りしめると、苦笑するように優しく眉を寄せたサガさんに頭をなでられた。


「結い直してやるから、前に出てきてくれないか」
「……サガさんが、やってくれるんですか?」
「私では不満か?」
「滅相もない!!」


器用に片眉をつり上げたサガさんに即答すると、おかしそうにくつくつと笑われる。
からかわれたのだと気づいた時には、もうサガさんの笑いは止まらなくなっていた。
叩いても揺さぶっても笑い止んでくれなくて、思わず目を丸くしてしまう。




「サガさん、からかうなんてことできたんですね……!!」
「こら待て、どういう反応だ」
「だって、サガさんってドがつくほど真面目じゃないですか!」




人様をからかうなんてとんでもない!と言わんばかりの人だと思っていたので、正直ものすごく驚いた。
心外のようにサガさんが顔をしかめるけれど、カノンさんはさもありなんとうなずいている。
双子の弟にうなずかれるんだから、やっぱり意外だというのは間違いないんだろう。


「カノン貴様、何をうなずいている……!」
「当然だろ?」


2人の言い合いが続くにつれて、肌がばちばちするような感覚がしてきた。
何だろうと思っていると、ため息をついたアフロディーテさんに小さく手招きをされる。


、危ないからこっちにおいで」
「危ない?」
「そこの馬鹿2人の小宇宙が高まってきている。技でも放たれたら、が危険な目に遭うよ」


技と聞いて反射的にサガさんを見上げると、確かにちょっぴり怖い笑顔を浮かべていた。
カノンさんも飄々としているけれど、実はこっそり拳が固められている。
――本当に危ないかもしれないと一気に血の気が引いて、急いでアフロディーテさんのところに走った。


「お帰り、


優しくアフロディーテさんが抱きしめてくれるのとほぼ同時に、サガさん達に文字通りの雷が落ちる。
ぴしゃん!と光った後にいた黒焦げの2人に、沙織さんが怖い微笑みを浮かべて首を傾げた。


「サガ。カノン。さんを危険な目に遭わせるつもりですか?」
「も……うしわ、け……ありませ、」
「……頭に、血が、上って……ついうっかり……」


雷はゼウスの技だった気がというよりも沙織さん明らかに私が離れたタイミングで落としたっていうか。
……まさかアフロディーテさん、これを見越して私を呼んだんだろうか……。












(サガは超ド器用だと思う。アフロはもちろん、沙織が雷を放つのを知っていましたとも!)