少し前までは冬は寒くて冷えて嫌いだったけれど、今では大好き。
だって、お父様とお母様と一緒にいられるんだもの!


というわけで、親子3人で川の字になって眠ってみている今日この頃です。


大の大人が3人で寝てもまだ余裕があるあたり、お父様のベッドの大きさは半端ない。
本当は別に私の部屋もあるし、お母様の部屋もあるんだけれど、美人さんのお二人に囲まれて眠るこの幸せ、一度味わったらたまらなくなってしまった。

も、もう少ししたら、ちゃんと自分の部屋で寝るもの……!


「おはようございます、お父様」
「……おはよう」
「おはようございます、お母様!」
「おはよう、


お父様に抱きつくと、ちょっぴり低血圧なお父様はぼんやりとしながら頭をなでてくれる。
次にお母様に抱きつくと、とろけそうな微笑みで抱きしめ返される。

寝癖がついて変な部分が変な風に跳ねている私とは違って、お二人とも寝起きでもしっかりきっちり髪型が決まっていた。
私が起きるといつも両側から目が合うから、もしかすると先に起きてこっそり身支度を整えていたりするんだろうか。
私だけいつもみっともないところを見せているのは少し悔しいので、今度頑張って早起きしてみようかと考えて、やっぱり無理だと諦める。

こんなに居心地のいい空間で、目覚ましもなしにお二人より先に起きるなんて、私には絶対にできない芸当だ。


「ふふふ、寝癖が可愛いわね」
「え!?そんなところにも寝癖が?」
「ぴょんって跳ねてるわ。ねえ、あなた」
   は、いつも可愛い」


何だか絶対に噛み合っていない話のように思えるけれど、この夫婦の間ではこれで会話が成立しているんだろう。
伊達にお父様の奥さんをしていませんね、お母様!


とか現実逃避をしてみたけれど、ぶわりと顔が赤くなるのを止められるわけもない。

うふふと笑ったお母様に頬にキスされ、お父様には微笑ましそうに額にキスされ、もう朝から血圧が上がりっ放しじゃないだろうか、私。
えいや!ともう一度ベッドの中にダイブしてお布団に潜りこむと、おかしそうなお母様の声がした。


「あら、はもう一度寝てしまうの?」
「……今朝は、ハニートーストを用意させたんだが……」
の大好きな苺もあるわよ」


まるで子供をあやすような扱いだけれど、そこにあるのがただただ純粋な愛情だと、わかってしまうからたちが悪い。
ずっとお子様がいなかったから、余計に構いたくなるんだろうか。


「……ハムエッグもほしいです」
「すぐに作らせる」

「紅茶はミルクとお砂糖入りじゃないと嫌です」
「それじゃあ、ブレックファーストにしましょうね」

「……もっかい、ちょっとだけ寝たいです」
「あらあら、はお寝坊さんね」
   朝食は、一時間後に」


子供のように扱ってくれるから子供のように駄々をこねれば、全部真綿にくるんで受け入れてくれる。
それがくすぐったくも幸せで、お布団の中でだらしなく笑み崩れてしまった。

お父様もお母様も両脇にもう一度入って来てくださって、お父様の腕が頭の下に差し込まれる。
背中側からはお母様に抱きしめられて、本当にすっぽりと囲まれた状態だ。


「おやすみなさい」
「お休み」
「お休みなさい、いい夢を」


お母様にゆっくりと頭をなでられて、いい香りに包まれながら、ゆるゆると意識を沈めていった。












次に目が覚めた時も、やっぱりお二人とも起きていて。
微笑ましいことこの上ないと言わんばかりの表情に、もう拗ねる気すらなくなってしまう。


「おはよう」
「おはよう、


さっきと同じように声をかけてくれるお二人に、赤くなる顔をごまかして笑った。


「おはようございます。お父様、お母様」


始めにお父様の頬に、次にお母様の頬にキスを。
それだけで思い切り幸せそうな表情をしてくれるこのお二人が、私は大好きだ。

お母様自ら丁寧に髪を梳かしてもらって、寝癖もきちんと直してもらって。
ニンフの皆さんに身支度を整えてもらっている間に、お父様もお母様も着替えて。
少し遅すぎる朝食に並んだのは、本当に私のリクエスト通りのものだった。
お料理の出てくるタイミングがぴったりすぎるのは、いつものことすぎてもう慣れてしまっている。


バターと菩提樹の蜂蜜がたっぷりと塗られたハニートーストにハムエッグ、グレープフルーツと苺がたくさん盛られたデザートのお皿。
いつも通りの気遣いに、思わず顔がほころんだ。

果物が好きだと何かの拍子にもらしてから、冥界でのお食事には必ず果物がたくさんついてくる。
皆さんの気遣いがありがたくて、本当に感謝しきりだ。





お父様に促されて、テーブルに歩み寄る。
いただいたお食事はもちろんどれもとてもおいしくて、ついでに口の端についた蜂蜜をお母様に優しく拭われるというオプションつきでした。

私、やっぱり冬が大好きだ。











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紫月凛さんからのリクエスト、「親子3人の家族団欒」のお話。
お茶会でもいいとおっしゃっていただけましたが、こう、リクエストを斜め45度くらい外している気が…。

どうもうちのヒロインはお茶ばっかりしているイメージが強いらしく、じゃあお茶以外のことをしてやんよ!と意気込んだらベッドシーン(語弊あり)になりました。
川の字になって寝るって、ヒロインあんたいくつなんだよ!と突っ込んであげてください。あえて。

お持ち帰りは紫月凛さんのみとなります。
リクエストありがとうございました!