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あれから1年。 英語で言うと、1 Year Later。 あ、現在進行形でもLaterって使ってよかったんだっけ? 確かあれは、過去の出来事にしか使っちゃいけなかった気が……。 ぼんやりとそんなことを考えながら、犬のぬいぐるみをぎゅうと抱きしめていると、ノックと共に沙織さんが入ってきた。 ここが沙織さんの来るべき場所じゃないとか、そういう突っ込みはもうなしだ。 「さん、今から冥界に行きませんか?」 「お父様のところに?」 「ええ。今、タナトスが来ていて……可能ならば、あなたと共に戻りたいと言うんですけれど 「行きます!」 反射的に答えて、しかしどうしてタナトスさんが急に呼びに来たんだろうかと首を傾げる。 いつもなら、プレゼントを持ってきてくれておしまいなのに。 身支度を整えて沙織さんと一緒に行くと(相変わらず石段は心臓破りだ)(これを涼しい顔で上りきる沙織さんが信じられない)、タナトスさんが喜色満面で出迎えてくれた。 「様」 「こんにちは、タナトスさん」 笑顔で挨拶を交わしあうと、タナトスさんが「では それに沙織さんも笑顔でうなずいて、ぎゅっと私の両手を握った。 「さん、行ってらっしゃい。何かあったらすぐ呼んでくださいね、冥界だろうとエリュシオンだろうと殴りこみをかけますから」 「滅相もない!大丈夫ですよ!!」 今一瞬、ものすごい笑顔で殴りこみをかけてきた沙織さんが思い浮かんだ。 お父様が悲鳴をあげそうな顔で震え上がるのも思い浮かんだ。 お父様、可哀相……。 「さあ、参りましょう」 「え、あの、でも、おもたせ 「そのようなもの、お気になさらず」 いつになく強引なタナトスさん(でもものすごく嬉しそう)に腰を攫われて、そのまま沙織さんの笑顔の見送りで冥界へ。 ああ、今日の薔薇への水やり、まだやってなかったのに……。 アフロディーテさん、代わりにやってくれるかしら。 冥界に着いた先は、何故かエシュリオンではなくラダマンティスさん達がお仕事をしている場所だった。 「どうして今日は、ここなんですか?」 「皆、様にお会いしたいと願っているからですよ」 にこやかに答えてくれたタナトスさんが(文字通り)姿を消すのとほぼ同時に、いつもの3人が現れた。 「皆さん、こんにちは!」 久しぶりの顔に、思わず笑顔になって駆け寄ってしまう。 そんな私をやっぱり笑顔で出迎えてくれた皆さんは、何故か手に手に箱を持っていた。 「様、お久しぶりです」 「お会いできる日を、我々一同指折り楽しみにしておりました」 「さあ、どうぞこちらへ」 用意された椅子に座ると、まずはミーノスさんが足下に跪いた。 格好よくて様になるけど、そんなことやめてください……! 「様、どうぞお受け取りください」 「え……?」 「私からの、ささやかな贈り物です」 贈り物。プレゼント。 何かもらうような理由があっただろうか。 首を傾げながら受け取ると、中を開けるように促される。 言われるままに開けてみて、思わず声がもれた。 「うわあ……!」 プリザーブドフラワーの、綺麗な薔薇の花。 背が高かったのは、ボリュームがあったからか。 「お気に召していただけましたか?」 「素敵!素敵です、ミーノスさん!」 はしゃぐ私に、今度はアイアコスさんが跪いた。 そうして渡されたのは、打って変わって小さな箱。 やはり促されて中を開けると、大人っぽいピンブローチが現れた。 「綺麗……」 「お気に召していただけたようで何よりです」 「ありがとうございます、アイアコスさん!」 「様のためならば」 にこりと笑ったアイアコスさんは、日頃のヘタレっぷりなんかどこかへやってしまったように格好よかった。 「様、私からはこちらを」 やっぱり跪いたラダマンティスさんが、大きな手に似合わない小さな箱を差し出す。 そっと受け取って開けてみると、重ねづけできるピンキーリングが2つ。 プラチナ製だろう、サファイアとアメジストがきらきら輝いて綺麗だ。 「お気に召していただけましたか?」 「可愛いです、ありがとうございます!!」 でも、どうして?と首を傾げると、「今日は特別な日ですから」と返された。 特別な日。 確かに、今日は1年目だけれど……そんなにお祝いしてもらうほどのことなんだろうか。 さらに首を傾げると、「様はどうぞそのままで」とアイアコスさんに言われてしまった。 まもなくやってきたヒュプノスさんに連れられて、今度はエリュシオンに。 「姫君、我々からはこれを」 「どうぞお納めください、様」 ヒュプノスさんからはヒールの高い靴を、タナトスさんからはこれでもかというほどに豪華な首飾りを。 そのまま促されてお父様のところに行くと、無言でラベンダー色の豪華なドレスを渡された。 「……これ、プレゼントですよね?」 こくり。 「……着てみても、いいですか?」 「 と、いうわけで。 せっかくなので、先ほどからプレゼントされたもの全て、身につけてみた。 示し合わせたように全部が全部ぴったりと合わさって、化粧もきちんとされた私は別人のようだ。 「、こちらへ」 「はい」 タナトスさんにエスコートされて(そうしないと慣れないヒールに足下が危うい)(ただでさえ、ドレスの裾が長くて大変なのに!)歩いて行くと、お父様にぎゅうと抱きしめられた。 「 そう言うと同時に頭に豪華な髪飾りがつけられ、額にキスがおりてくる。 「、私達の愛しい娘」 「ハーデス様のご息女となられて、今日で1年」 「ご生誕、おめでとうございます」 口々に言祝ぎの言葉を言われ、やっぱりと目を閉じる。 今日はお誕生日。 お父様の娘としての、私のお誕生日。 それを皆さんがきちんと覚えてくださっていたのが、とても嬉しかった。 「ありがとうございます、お父様!ヒュプノスさんもタナトスさんも!」 お父様に抱きつき返して笑顔で言うと、優しい笑顔が3つ返ってきた。 やっぱり私、ここの人達が大好きだ。 ----------------------------------- 「冥界陣(可能ならばVS黄金)でヒロインにプレゼントをする話」でした。 黄金勢は入る余地がなかったので、冥界陣だけで。 これでもかなりがーりがーり削りました。すみませぬ…!! 冥界勢のプレゼントは、もちろん示し合わせています。 三巨頭とか、頭付き合わせて「お前これにしろよ!俺これにするから!」「私は花束を差し上げたいんです!」とか言い合ってたりして。 綺麗に着飾ったヒロインは、その後記念撮影をされて、冥界陣の気力の源(笑)となりました。 お持ち帰りはリクエストをして下さった方のみとなります。 リクエストありがとうございました! |