向日に発見されて部室へと案内(という名の半強制拉致)されたは、すこぶる機嫌が悪かった。

連れてくるだけ連れてきて、あまつ部活中は放置とは、一体どういう了見か。
仕方がないので宿題を一気に終わらせていると、ちょうど休憩に入ったらしい日吉達が入ってきた。


「あ?じゃねえか、どうしたんだ?」
「向日先輩に文句を言ってちょうだい」
「……あー、あいつか……」


悪ぃ、と拝むように片手をあげた宍戸にひょいと肩をすくめ、手元の宿題を示してみせる。


「別に。宿題もはかどるし?」
「あいつにはよく言っておく」
「そうしてちょうだい、本当に」


皮肉たっぷりな言い方が伝わったのか、宍戸が苦笑しながら頭をかいた。
そんなに、今度は日吉が声をかける。


「お前、律義にここにいたのか」
「……まあ、いろって言われたしね。帰りはどうせ亮と一緒だし、別にいいかと思って」
「……そうか」


確かに図書館や教室で待つよりは、ここで待っていた方がずっと効率的だろう。
だがしかし、ここは一応、レギュラー達が着替える場所でもあるのだ。

微妙な表情になった日吉に気づいたのか、が軽い調子で笑う。


「着替える時は隣の部屋を使わせてもらうから。それにしても、ここの設備ってすごいねー」
「跡部さんと榊監督の私費だそうだ」
「なるほど……道理で」


ぐるりと辺りを見回したは、不意に隣の部屋を示した。


「ねえ、ちょっとあのパソコン使えないかな?ネットで調べたいことがあるんだけど……」
「ああ……じゃあ、ちょっと待ってろ。俺のをログインする」


当然のように言った日吉に、しかしは違和感を感じる。


ログイン?
俺の?
随分たくさんのパソコンがあるとは思っていたが、これはもしや1人1台なのか?




「ありえない……」
「気にするな、気にしたら負けだ」




呟いたに、日吉が軽くため息をつく。
俺もレギュラー入りした当初はそう思ったと呟く日吉は、こころなしかぐったりしているようだ。

やはり、1人に1台は確定のようだ。
そして、ほぼ最新型の機種なのもオプションのようだ。


「俺のでもいいけどよ……日吉の方が多分、デスクトップとかすっきりしてそうだよな」
「余計なショートカットは作りませんからね。宍戸さんはフォルダをたくさん作っていたように思いますが」
「よく覚えてんな、お前……」
「あれだけフォルダを作っていれば、印象にも残りますよ」


そう言いながらも日吉は手早くパソコンを立ち上げ、ログインパスワードを入力する。
どうやら単に、休止モードにしていただけのようだ。


「日吉……電気の無駄遣い」
「点けっ放しよりいいだろ。向日さんや芥川さんなんかいつも点けっ放しでどこかに行くから、俺達が消して回る羽目になるんだ」
「それは……また」


因果な役割だ。
思わず同情の目を向けたに肩をすくめ、日吉が席を立つ。


「ほら。   テニスのフォルダさえいじらなければ、どう使ってもいい」
「ありがと。大丈夫、IE使うだけだから。後は、使うとしてもWordかメモ帳?」
「プリンターを使うならあそこだ。デフォルトで接続されるようになってるから、適当に使ってくれ」


手際よく説明するところは、さすが日吉といったところか。
その様子をしげしげと見ていた宍戸が、ぼそりと呟く。




「こいつら、これで何で付き合ってねえんだよ……」




「ん?何か言った?」
「いや、何でもねえ。日吉、そろそろ休憩終わるぞ」
「はい」


首を傾げたには即答し、あれこれと使い方を説明している日吉に声をかけ。
早くくっつけよと、宍戸は心の中だけで呟くのだった。











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「日吉・ヒロイン・宍戸が仲良くしている話」でした。
仲良くしているというよりは、日常風景を切り取ったような話になりましたが…(苦笑)


何気に仲のいい日吉とヒロイン、もういい加減くっついちゃえばいいのに!と(私も)思っています。
最近の宍戸は、私の心の代弁者です。
ちなみにこの間、ちょたは外でクールダウンしてます。
だから久々に、3人のお話。


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