翌日クラウドが目を覚ますと、すでに他の2人の姿が見当たらなかった。
……ということは、はともかくセフィロスにも、自分の寝顔をさらしたわけで。
「……うわあ……」
何やってるんだ俺。
ちょっぴり自己嫌悪に陥っていたら、ドアが開いての顔が覗いた。
「おはよう!こっちにおいでよ」
妙に弾んだその声に首を傾げながら、素直にうなずいてベッドを降りる。
誘われるままにリビングに足を踏み入れて、見えたものに大きく目を見開いた。
「……、これ……!」
「メリークリスマス、クラウド」
思わず振り仰いだは、とても穏やかに微笑んでいる。
ツリーの根元に、プレゼントが3つ。
誰も手をつけていない、クラウドへのプレゼント。
反射的に駆け寄って確かめると、やはり彼らからのものだった。
「薄着だと風邪をひくぞ」
フリースを肩にかけられて振り向くと、セフィロスが苦笑している。
てっきり帰ったとばかり思っていたクラウドは、慌てて寝起きのままの髪に手をやった。
そんな彼に笑いながら、がプレゼントを示す。
「開けてみなさいな。みんな、結構気合い入れたみたいだから」
ほら、と湯気のたつマグを渡されて、温かいココアを飲みながら丁寧に包装をはがしていく。
まずは癖のある文字のカードが挟んである、ザックスのプレゼントを。
小さな箱を開けると、以前ほしいと呟いた記憶がある、高くて手が出せなかったタフネスリング。
慌ててカードをひっくり返すと、裏に「体力つけろよ!」と走り書きがあった。
余計なお世話だと小さく毒づきながらも、ゆるむ頬はおさえられない。
続いてやや分厚めの包みを開けると、武術の体系書が出てきた。
きっちりとした文字のカードには、セフィロスのサインが入っている。
「……あまり、他人に物を贈ったことがなくてな。そんなものしか思いつかなかった」
すまないと苦笑されて、クラウドは慌ててかぶりを振る。
「そんな……嬉しいです、ありがとうございます」
ひょいと覗きこんだが、タイトルを見て目を見開いた。
慌ててセフィロスに近寄って、耳元でささやく。
「ちょっと、あれどこで手に入れたの?前にクラウドに買おうと思ったんだけど、絶版でどこにもなかったんだけど!」
「つてを使った。俺も昔使っていて、重宝したからな」
「うわあ、うらやましい……!」
心底うらやましそうなの肩を、クラウドに見せてもらえとセフィロスが叩いた。
そんなこそこそとしたやりとりを背後に、クラウドはいよいよ最後の包みを開ける。
綺麗な筆記体で書かれた見慣れた文字は、クリスマスを祝う言葉があるだけ。
いっそそっけない感じが、かえって自分達の親密さを表しているようだ。
大きさの割に軽い箱を不思議に思いながら開くと、紺と茶色の洋服が1枚ずつとジーンズが入っていた。
どれも有名なブランドのもので、一目でセンスと値段のよさがわかる。
「最近また、サイズが合わなくなってきたでしょ?もうそろそろ、新しいのを買ってもいいかと思って」
「ありがとう……!」
どれも自分には過ぎたものばかりで、思わずお礼を言う声が震えた。
そして同時に、昨日渡しそびれたプレゼントを思いだし、一気に焦りが押し寄せる。
「あ……あのっ!」
「ん?」
「俺も…その、にプレゼント……」
用意したにはしたが、比べ物にならないほど貧相すぎる。
しかも、の分だけ。
他の2人からももらえるとは夢にも思わなかったから、用意すらしていない。
尻すぼみになってしまった言葉に、けれどはぱっと顔を輝かせた。
「プレゼント!?私に!?」
ありがとう!とはしゃぐを、セフィロスも目を細めて見ている。
「でも、あの、サーとかザックスの分は……」
「気にするな。俺達が贈りたかったから用意した、それだけだ」
お前が無理をして買うことはないと言われ、懐具合まで正確に把握されていることを悟ったクラウドは頬を染めてうつむいた。
その横で目を輝かせて待っているに、意を決してプレゼントを引っ張り出す。
鞄に入ったままのそれは少しくたびれていて、また頬が熱くなった。
「……安物、だけど……」
「値段なんて関係ないよ!もらえるだけで嬉しい」
きゅう、と箱を抱きしめたが、大事そうに包装をほどいていく。
何のロゴもない箱をぱかりと開けて、彼女は一層目を輝かせた。
「可愛い!!」
ふさふさとした毛並みのテディベア。
ふっくらと丸顔のそれは、パーツも配置もの好みにジャストミートだった。
「子供っぽいかと思ったんだけど、、こういうの好きだろ?」
「よく知ってるね!私物で置いてないのに」
「ぬいぐるみ屋の前を通る度にじっと見てれば、誰だって気づくよ」
反応のよさにほっとしたクラウドも、ようやくいつもの笑顔を浮かべる。
「ザックスもセフィロスも素敵なものくれたし、本当に嬉しいや」
テディベアの頭頂部にキスをしながらが笑って、テーブルにちょこんと座らせる。
「後でどこに置くか考えなきゃ」
うきうきとキッチンに入った彼女は、当社比3割増しの速度で食事の支度をしていく。
その様子を見ながら、ソファに座り直したセフィロスにこそりと訊いてみた。
「あの、サー達はに何をあげたんですか?」
「俺はリーフティーを。ザックスは髪留めだったぞ」
……本当に、値段とは関係ないらしい。
心底ほっとしたクラウドは、元気よくのもとに駆けて行った。
「!何か手伝うことあるか?」
|