星の祈りが聞こえる。
セトラの最後の民、彼女の祈りに星が共鳴している。


薄れゆく意識の中、はそれを感じて小さく微笑んだ。




!!」




らしくもなく切羽詰まった、金髪チョコボの声が聞こえる。
今にも泣きそうなそれに、こんな状況だというのに笑顔がこぼれた。


「行きな、クラウド!リーダーはあんただ、仲間を全員殺す気!?」
だって仲間でしょう!?」


こちらはすでに泣いている、心優しい少女。
厳しく辛い旅の間、彼女の笑顔に何度救われただろう。


「いいから!一足先に星に還るだけだよ。元々死ねない身体だったんだから、かえってもうけものだし」


ジェノバの影響を受けすぎて、私の身体はルクレツィア同様不老になってしまった。
外的要因でしか死ねないこの身体は、うとましいものでしかない。


「こらー!!マテリア、あんたがほとんど持ってるでしょ!早くこっち来いよ!!」
「無理だって、両脚イってるんだし。   ナナキも来たら駄目だよ、巻きこまれちゃうから」


やっぱり半泣きのくのいちの少女に苦笑し、ついでに赤い獣にも釘をさすと、船長にむかって叫んだ。




   最期の力を振りしぼって。




「シド、行って!!私は自分で何とかするから!!」
「船長、もうこれ以上はもちません!!」


操舵士の悲鳴のような声が響いてもためらうように停止していた飛空艇は、本当にぎりぎりの瞬間に飛び立って行った。




……ここで、私の旅は終わりか……。




この世界に降り立った頃からの記憶が駆け巡り、小さく苦笑する。
人って、本当に走馬灯が起こるんだ。


正直、楽しい事よりも辛い事や苦しい事、悲しい事の方が多い。
それでも、ただ一つを除いて、思い出すのは笑っている事ばかり。




「エ   アリ、ス   




銀の英雄に貫かれて死んだ少女。
彼女の器は今、彼女の一族が栄えた都の泉にある。


そして、その祈りは今ここに。




「ホ……リー、を   






解き放って。






強く願うと、それに呼応するかのように白い光が押し寄せてきた。


   あの光の奔流に呑まれたら、死がやってくる。

すさまじい恐怖が襲ってくるけれど、逃げられるはずもないとわかっていたから、そのまま静かに目を閉じた。















白い光に包まれ、熱いと感じる間もなく意識が解き放たれる。
その瞬間懐かしい声に呼ばれ、は弾かれたように叫んだ。


「エアリス!?」
「そ、私。お疲れ様、


独特のしゃべり方。
独特の声。

彼女に間違いないと悟った瞬間、酷く泣きたくなった。


「クラウド達は   
「みんな無事だよ。大丈夫」


母のように優しいその声に、どっと安心感が押し寄せる。
もう身体もないというのに、涙がこぼれそうになった。


「そ、か……」


ぼろぼろになりながらも必死に前に進み続けた彼は、無事だったのか。


「死ぬのは怖いけど、エアリスもいるし。ザックスもいるし。そんなに寂しくな   
「ううん、は還れない」


寂しくないと続けようとした矢先にそう言われ、一瞬脳が理解を拒否した。


……何だって?


、この星の生まれじゃないから、ライフストリームには還れないんだよ」
「そんな   !」


生まれた世界から引き離され、それでもやっとこの星を故郷と思えるようになったのに。
私にどうしろというの?


「だから、他の世界に送ってやるよ」


頭に温かな手が置かれ、思わず振り向くとやはり懐かしい顔が笑っていた。
   自分の身体が再び存在していると知覚できる事に、今更ながら気づく。


「もうすぐ、ホーリーとライフストリームがメテオを相殺する。その時のエネルギーを使えば、お前をどっかに翔ばす事ぐらいはできるはずだ」
「やっ   やだ!!そんなの   みんなと一緒にいたい!!」


必死にすがりつくの背を抱きしめるように軽く叩き、ザックスは寂しそうに笑う。


「しゃーねえじゃん、無理なんだもんよ。俺ら、お前に生きててほしいし」
「生きて……?私、死んでるんじゃないの?」
「生きてるよ。私とセフィロスで、を守ったから」


「セフィロス!?」


憎みたくても憎めないかつての仲間、そして敵となった青年の名前を叫んだ瞬間、すぐ傍に銀の化身が顕現した。
驚くに以前のような微かな微笑みを浮かべ、彼女の肩をやや強く握る。


「行け。ジェノバを持ち、ライフストリームに触れたお前なら、いつかここと接点を持つ事もあるだろう」
「そゆこと。だいじょぶ、離れてても、ずっと一緒。ね?」
「てなわけで   いくぜっ!!」


3つの手に押し出され、力のうねりに巻きこまれ、遠ざかる人影に懸命に叫ぶ。




「みんなに会えて幸せだった!それと   クラウドに会えたら伝えて!!」




不安定で危なっかしい、私達のリーダー。
君の事が、誰よりも好きだった。




苦笑するエアリスの横で、ザックスが両手で大きな丸を作った気がした。