ひとまずアテナに報告をということで、カノンがひとっ飛び教皇庁に知らせに行った。
その間にお茶を出したサガは、の様子にそれとなく気を配る。
何かをするのではないかという警戒ではなく、不安になっているのではないかと。


そんなサガの心配をよそに、はいたって冷静に紅茶を飲んでいる。


「……は、冷静だな」
「え?ええ、まあ、今更これくらいで騒ぐような年でもありませんし」


のほほんと微笑む
この状況がわかっているのだろうか。


「こちらの紅茶は美味しいですね。あちらではもう、こういうものは高級品になってしまって……」
「荒れているのか?」


あえて何が、と特定しなかったサガに、もあっさりとうなずいた。


「世界が滅びかけていますね。あと一月もないでしょう、きっと」


順調にいけばの話ですが。


何でもないことのように話すは、まるでそれがどうでもいいと言うかのようだ。
さすがに苛立ったサガに気づいたのか、は困ったように微笑んだ。




   もう、ね。この年まで生きたんですから、いい加減死んでもいいかと思うんですよ」




私には元凶を滅するほどの力はないし、そんな権利もない。
ただ静かに、時を過ごすだけ。

達観した老人のような目をするに、サガの眉根が寄った。


「……お前は一体、何歳なんだ?」
「んー?女性に年齢を訊くのは無粋ですよ?」


おかしそうに笑ったが、何かに気づいたかのように顔をあげた。


「貴い方がいらっしゃいますね。とても清浄な気配……」


呟くかのような言葉に、サガがぎくりと身体をこわばらせる。

聖闘士にははっきりと感じられるアテナの小宇宙だが、一般人にそうそうわかるものではない。
なぜわかったのか、いっそ薄気味悪いほどだ。

そんなサガに気づいたのか、が悪戯っぽく笑みを浮かべる。
ほぼ同時に、アテナがシオンとカノンを伴って現れた。


   これは……。珍しい方がお見えになりましたね」


軽く目を見開いたアテナに、が優雅に席を立って跪く。


「この度はご迷惑をおかけします。しばしの滞在、ご容赦いただけますでしょうか」
「もちろん。貴女のような方をお迎えできて、私共も嬉しい限りですわ」


微笑んでうなずいたアテナは、ふとシオンを見上げて爆弾発言をした。




「シオン、くれぐれも丁重に。数少ない年長者です、貴方も学ぶところが多いでしょう」
「は   は?」




思わず間抜けな声を上げたシオンを咎めもせず、アテナは笑うばかりだ。
もただ笑っている。


「ア……アテナ、それは   
「見た目ではありませんよ?」
「あら嫌だ、そちらの方も同類ですか?」


のほほんと笑ったを、黄金達が穴の開くほど見つめまくる。


同類?
年長者?
いやいやまさか、何かの間違い   




ガンゴンガン!!




「いい加減になさい。失礼ですよ?」


満面の笑顔でニケを握るアテナに、黄金(+教皇)が頭を押さえてうなずいた。
痛さで声も出ないらしい。


「さすがは地上を統べる神、おわかりになりましたか」
「ええ、それはもちろん」


お互いわかりきったような顔でうなずきあう女性陣に、勇気ある(無謀すぎる)カノンがおそるおそる口を挟んだ。


「お前……年は」
「カノン?」


またもやニケを握り締めたアテナを、が手で制する。




「そうですねえ……途中で飽きてやめましたけど、ひとまず500は過ぎていますねえ」
「ごっ……!!」




黄金、絶句。
教皇、妙な敗北感。


「とにかく、帰る方法は時間をみて何度も試しましょう。うちの双子座がご迷惑をおかけしたようですし……」


真っ黒なアテナに双子が命の危機を感じたが、そこはが年の功でうまくとりなした。


「今更私が戻っても、もう力が及ばないところにまで行ってしまっていますからね。社会見学と思って、のんびり構えますよ」


セルフでサガの淹れた紅茶をおかわりしつつ、が寂しそうに笑う。


「守人なんて、所詮名前だけですね」


セトラの長として、星を見守り続けてきた。
たいした力もないくせに。
同胞が絶えてもなお、使命を果たすためだけに。


   正直もう、生きるのに厭いていたのかもしれない。


「魔力だけはガッツリありますから、救急箱代わりに使っていただければ」


ここって怪我人多そうですものねー。
そのくせ、治療設備はいまいち。
舐めときゃ治るとか、そんな感じ。


正にその通りだ。
的確な指摘に、もはやぐうの音も出ない。


「それでは、よろしくお願いします」












と、いうわけで。


まさしく救急箱よろしく駆け回っているうちに、も何となく聖域になじんできた。




ー、頭割れた!」
「明るく言うようなことですか!喧嘩も自重しなさいな!」
「アイオロスの奴がマジで殴るんだって!」
「ああもう、ケアルガ!!」

、この予算申請だが   
「それは運営上絶対必要な経費です。ビタ一文負けませんよ」
「そこを何とか」
駄目です。治療にどれだけ機材と手間が必要だと思ってるんですか!」

「おい、勝負しろ勝負!!」
「デスマスクさん、今取り込み中です!この子達と遊んでてください、ナイツオブラウンド!!」
「うっぎゃあぁぁぁぁあああ!!

「見つけた……セトラ   
「ああもう、次から次へと!!W召喚、ナイツオブラウンド×2、ついでに追加効果でMP吸収、ものまねものまねものまねものまね!!
うがあぁぁぁっ!!か……かあさ…………」




「……ん?何か今、全然関係ないのが混ざっていたような……」
「あ、こいつこいつ。何か空間切り裂いて出てきたぜー?」
「何だこの銀髪」


ぺしゃりとつぶれている銀髪をつつくミロを、アルデバランが止めている。
というか、侵入者を止めなくていいのか、黄金。

まじまじとそれを見やったが、不意にぽむと手を打ち合わせた。


あ。この人、星を滅ぼそうとしていた元凶ですね」
「は?ということは   
「うん、多分もう、帰っても平和かも」


開きっ放しの空間の歪みを覗き込んで、向こう側にやっほーと手を振る


「あー!!長様!!クラウド、あの人、セトラの長様だよ!!」


若い少女の弾んだ声。
苦笑して顔を引っ込めたが、その場にいた黄金達にひらりと手を振る。


「帰り道もこの子が開いてくれたことですし、帰りますね。反抗期真っ最中みたいなので、みっちり躾け直します」


輝かんばかりの笑顔でセフィロスの首根っこを引っ掴み、は裂け目に身を踊らせた。
止める間もないその行動のあと、歪みは音もなく消え去る。




「……嵐のようだったな」
「あっけなく平和になったな、あっち」
「…………言ってやるな…………」




呆然と呟き合う黄金達にとって、(ある意味)忘れられない短い思い出となった。
























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ものっそい楽しんで書いてました、魔術師ヒロイン。
とか言いつつ、ほとんど魔術師っぽいのは現れてませんが(笑)
リクエストの原型は「FF7っぽいの」と「年齢」と「召喚」だけです、すいません。


この後FF7の世界では、エアリスとヒロインがセフィロス更生計画を発足させてたりします。
厳しい躾!躾!躾!!
英雄、もう涙目。
グレててごめんなさい、反省してます!みたいな。
だから母さん、もうやめて!みたいな。
結局セトラはセフィロス達ジェノバっ子のお母さんなんですね!(違う)

黄金達との交流はもうありませんが、きっとヒロインの方でも(色んな意味で)忘れられない思い出だと思います。
喧嘩で頭が割れる連中なんて、黄金くらいしかいませんて。

20万打のリクエストでした。ありがとうございました!
リクエスト品ということで、今回はフリーではありません。
お持ち帰りはご遠慮くださいー。