「 俺は……」
「何?クラウド」
ここ数日、クラウドが何かを言いかけては口をつぐむという事が繰り返されている。
その度に聞き返すのだけれど、今のところクラウドが最後まで言ってくれた事はなかった。
何かを言ってくれようとしているのは、痛いほどよくわかる。
それがとても言いにくいものだという事も。
打ち明けようとしてくれているのは嬉しいけれど、何がそんなに迷わせるんだろうか。
「クラウド、無理に話さなくてもいいよ?」
「ああ……いや……」
口ごもったクラウドは、困ったように頭をかいた。
首を傾げて見守っていると、しばらくして決心したように私を見る。
「なあ、。どうして俺と一緒にいるんだ?」
「 は」
「俺はそんな、誰かに気にしてもらえるような奴じゃ 」
「ないとか言ったら、本気で殴るからね」
手加減しないよと棍を握りしめると、クラウドもぴたりと口を閉ざした。
それでも納得していないような様子に、たまらず苛立ちがつのる。
「あのね、クラウド。私が、クラウドといたいの。クラウドが自分をどう思おうと、私が一緒にいたいの」
「どうして、そんなに……」
「どうしてって……」
そんなことを言われても、いたいんだから仕方がない。
というか、そこまで言わせるつもりなのか、クラウド。
そんなことを思ったけれど、本気で途方に暮れたような表情をしているクラウドに言うのは忍びなくて、ひとつため息を落とす。
大きく息を吸って、気持ちを落ち着かせて。
「 私、クラウドが好きだよ」
「 ?」
「クラウドが好きなの。だから、一緒にいたい」
意味がわかっていないように首を傾げるクラウドにそう繰り返し、まっすぐに目を見る。
そこでようやく驚いたように目を見開いたクラウドは、ゆるりとかぶりを振った。
「、俺は 」
「私はザックスの昔なじみ。幼馴染み、じゃないけどね」
クラウドが何かを言おうとするのを遮って、わざと声を張り上げる。
細身の肩がびくりと震えるのを見ながら、ゆっくりと続けた。
「ゴンガガで会った時から、クラウドはザックスと違ったよ。今もそう」
そう。あの時から、クラウドはクラウドでしかなかった。
そりゃあ、今とは少し雰囲気は違うけれど、あれは確かにクラウドだったのだろう。
「旅をしてきて、ずっと見てたよ。クラウドが苦しんでるのも、廃人みたいになっちゃったのも、全部見てた」
それでも私は、この脆くて弱い人が愛しいと感じたのだ。
「ねえ、クラウド。君はもう、充分苦しんだんじゃない?」
2年前からずっと苦しんで、引きずって、もう解放されてもいいんじゃないだろうか。
もうそろそろ、セフィロスの影におびえなくてもいいんじゃないだろうか。
「もう誰も、クラウドを責めたりなんかしないよ。自分が許せないならそれでもいい、だけどいつかはそれを冷静に受け止められるようにしなきゃ」
「それでも俺は、罪が重いんだ」
苦しそうに吐き出して、クラウドが何度かかぶりを振る。
顰められた眉が痛々しかった。
「罪って、何?」
クラウドの言う『罪』は、一体何なんだろうか。
セフィロスに黒マテリアを渡してしまったこと?
みんなをだましていたこと?
それとも、エアリスを死なせてしまったこと?
星痕症候群を止められなかったこと?
何が罪で、誰に許しを乞えばいいのだろうか。
わかるならば誰にだって、私が何万回でも謝りに行くのに。
こんなに苦しんでいるクラウドを許してと、頼みに行くのに。
何がクラウドを苦しめているのかが知りたくてそう訊くと、クラウドは思いもつかなかったというように目を見開いた。
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