だらだらだらだら。

ものすごい冷や汗でそんな音が聞こえてきそうだ。
今からダッシュで逃げたとしても、すぐに追いつかれてつかまるのは目に見えている。








仕方がないから、じいっとシリウスを睨みつけてみた。


「……何だよ」
「……何よ」


ぱったり出会ってしまったが運の尽き。
そのままスルーしてしまえばよかったんだろうけど、思わず足を止めたらもうアウトだった。
睨み合い、両すくみ。

「あの理論、協力はしないし、してもらうつもりもないからね」
「うっせぇな、こっちから願い下げだ」
「じゃあジェームズに言ってよ!」
「あの状態になったあいつに何言っても無駄なんだよ!」


ちーびちーびちーび!!

5歳児か!
あんた男子の主席だろ!?


「ちびで悪うございました!どうせちんくしゃですよ!」


ていうか、みんなの身体発達が速すぎるんだよ。
ハーフなだけでこんななら、生粋の日本人ってかなり童顔なんだろう。
お母さんがそうだしね!

あ、でも、年とってもあんな外見なら、童顔もなかなか捨てたものじゃないかも?
ちょっと思考がずれていた私は、だから次の攻撃に備えることができなかった。




「ああちんくしゃだな!お前なんか、山猿の合いの子だもんな!」




   何、て ?





「や ま ざ る ?」





自分でもびっくりするほど低い声が出た。
シリウスがしまったって顔をしたけど、もう遅い!



「……っ、ふざけんなああぁぁぁぁぁっ!!」



ひねりこむように拳に回転をかけて、全身の体重を乗せて突き入れる。
この間はまっすぐ入れたけど、今度は鳩尾から斜め上にあげてみた。

「が……っ!!」

シリウスが悶絶してるけど、そんなの知らない!
お母さんを、お母さんを。


「人のお母さんを馬鹿にしちゃいけませんって、あんた習わなかったの!?」
「おい、   
「馬鹿!!」


にじんだ視界でシリウスがうろたえてるのがわかった。

へん、せいぜいうろたえてろ!!
デリカシーマイナス500め!

最後に1発平手をお見舞いして、後はもう一目散。

談話室にリーマスがいた気がしなくもないけど、女子寮に駆け込むので必死だった。
どばんと乱暴にドアを開けると、リディが大きく目を見開いて振り向く。



!?」
「最悪だよ!」



シリウスなんか大っ嫌い。
あんなやつ、サイテーだよ。