ホグズミードの何がいいかって、お菓子の補給ができるところだ。
冬に向けて小物の買い足しもできるし、女の子にとっては欠かせない1日だろう。
「そりゃそうだけど!あんたちょっと落ち着きすぎよ!!」
べりっと布団をはがされて、反射的に身体を縮こまらせた。
寒いよ、リディ!!
「まだ11月よ、11月!!朝から顔洗ったぐらいで引きこもりじゃないの!」
「朝食は食べたよ」
「あたりまえじゃない、何言ってるのよ今更!もう、髪も梳かさないで……」
さっさか髪を梳かされて、ついでに芸術的に結い上げられる。
やってくれるのは嬉しいけれど、これだとベッドに寝っ転がれない……。
どうしようかとしばらく悩んで、そもそもうつぶせだから髪型は関係ないことに思い当たる。
いそいそと元の状態に戻ろうとしたら、怖い顔をしたリディに思いっきり肩をつかまれた。
「まさか、また逆戻りしようとなんてしてないわよね……?」
「…………はい……!」
リディの怖さに、思わず反射的にベッドから飛び下りる。
その隙に羊皮紙を奪われて、さっさと着替えを渡されてしまった。
「、これ。下はこれね ううん、やっぱりこっちの方がいいわ。ソックスはグリーンのハイニーソがあったでしょう、それ出してくれる?」
私の服なのに、何故か私よりもよく把握しているあたり、やっぱりリディは女の子だなあと思う。
言われなきゃきっと、ハイニーソのことなんて忘れ去っていた。
「寒いなら談話室よ!今日ならあのうるさい連中もいないだろうし、思う存分やりなさいな」
「はあい……」
のそのそと着替えてリディに少し顔をいじられ、寒さに震えながら談話室に向かう。
いそいそと暖炉の影のソファに身体を沈めたところで。
「あ、!」
あまり(というかとても)嬉しくない声が聞こえた。
リディと2人で顔を見合わせて、無言でうなずきあう。
「……帰ろっか」
「そうね。今日は1日中、ベッドに潜ってていいわよ」
「うわあい、やったあ」
セリフがちょっぴり棒読みなのは気のせいだ。
気のせいだ。
暖かいソファからそそくさと立ち上がって帰ろうとした瞬間、左肩をがっしとつかまれた。
ぴしりと固まって横を見れば、やっぱり右肩をつかまれているリディ。
さらにぎこちなく後ろを見ると、満面の笑顔を浮かべているジェームズがいた。
「どこに行くんだい?来たばっかりじゃないか」
「うん、だけどやっぱり、部屋の方が落ち着くから」
「それより、君が持ってるのはあの羊皮紙じゃないか!」
人の話を聞いてよ。
「持ってきてくれたんだ、はいい子だね!」
せっかくリディが整えてくれた髪、ジェームズがなでまくったせいでぐしゃぐしゃになってしまった。
逃げようともがいていたら、絶賛不機嫌御礼中のリディに救助されて、急いでその背中に隠れる。
ミシッって痛そうな音がしたけど、大丈夫かな、ジェームズ……。
「せっかく可愛くしたのに、何してくれるのよ!」
「痛い痛い!があんまり可愛すぎて……!!」
叫ぶジェームズが真顔で手をわきわきさせているのを見てしまって、思わず小さく悲鳴をあげてしまった。
「ジェームズ!」
どうしようと途方に暮れていたら、リーマスが走ってきて壁になってくれる。
ほうと小さく息をついて、乱れすぎた髪に手櫛をいれた。
「君、ちょっとやりすぎだよ」
「でもリーマス、は妹にしたいくらい可愛いじゃないか!ちょっと手の1本や2本滑ったところで 」
「腕はそもそも2本までしかないだろ。それにね、その言い方は変態っぽいよ」
2人の言い合いを背後な聞きながら、リディと視線を交わし合う。
帰るわよ、。
うん、もちろん。
ばれないように静かにね!
無言でそんな意思の疎通をして、そろりと6歩ほど歩いたところで、心底不思議そうに……ええと、誰だっけ?小さい男の子が首を傾げた。
「あれ?2人とも、どこにいくの?」
その瞬間にリディの握り拳に血管が浮いたのを見てしまって、一生後悔するほど怖かった。うん。
|