「あーあ、ばれちゃった」
「シリウスも、もっとうまくやればいいのにね」
「本当だよ。まったく、どうやったんだか」
「これじゃ、僕達が協力した意味もないみたいだね」








くすくすと苦笑しあうジェームズとリーマスの下に、何故かしきりに背中を気にしながらシリウスが帰ってきた。


「やあ、色男!そんなに後ろ髪引かれるかい?」
「馬鹿野郎!リディアに思いっきり叩かれたんだよ!!」


ひりひりするとぼやいたシリウスは、不機嫌な表情を隠しもせずにどかりとソファーに腰かける。


「で?どうやったら、あんなに死にそうな声を出させることができるの?」
「知るか。ただ声をかけただけだ」
「その声のかけ方が問題だと思うんだけど……」


シリウスにはそこらへんがよくわかっていないらしい。
ぶすっとした表情で呟いたシリウスに苦笑して、リーマスは一風変わった同級生を思い浮かべた。

大方、いきなり声をかけたに等しいのだろう。
しかも、透明マントを脱がないままで。


姿の見えなかったジェームズを、気配だけを頼りに回し蹴りでとらえた子なのだ、おそらくシリウスも同じような目に遭っているに違いない。


「あの野郎、せっかく人が謝ろうとしてやったのに……」
「こらシリウス、は女の子だよ。野郎とは失礼じゃないか」
「うるせえな」


シリウスの前に紅茶を置きながら眉を顰めたジェームズに、うるさそうに手を振る。
あ、いらないんだねと下げられそうになって、慌てて取り返していたが。

そんな親友を見つつ、リーマスは呆れたようにため息をついた。


「シリウス。君、謝ろうって姿勢が伝わってないんだよ」


ざっくり。


遠慮呵責ない指摘に、思わずシリウスが胸を押さえて前屈みになった。


「だって、君を見るだけで逃げてくじゃないか。普段もすれ違わないようにものすごく気をつけてるみたいだし」
「そうだよ!だから僕までになかなか会えないんじゃないか!」


ー!!と叫び出したジェームズの足を踏みつけて黙らせ、もう一度小さく息を吐く。


「大体、謝ろうって奴が、目が合う度に睨みつけるんじゃないよ」


とどめの一撃とばかりに放たれたその言葉で、シリウスは完全に沈黙した。


睨みつけるのが反射的な行動だったとはわかっているが、には余計に警戒心を煽らせるばかりのものだ。
まずはそれをどうにかさせなければと、死んでいる親友を見ながらリーマスは苦笑した。