「はい、お昼」
「ありがと、リディ」








バスケットに入れたお昼(サンドイッチとキッシュだった)(こんなに食べられるんだろうか、私)をテーブルに出してくれたリディに笑うと、ものすごく心配そうな顔で覗き込まれた。

「ねえ、本当に大丈夫なの?さっき、半端じゃなく顔色酷かったわよ」
「実は、獣臭さに酔っちゃってさ……昔からあの臭い、どうも駄目なんだよね」

さあ吐け!今吐け!と言うように詰め寄るリディに白状すると、一転して呆れたような顔をされた。
その表情のまま何故か左の方を睨んで(そういえばあっちの方に男子寮があった)、リディは額に手をあてる。

、あんたね……そうならそうと早く言いなさいよ。あいつらにも、悪戯で喜ぶ奴ばっかじゃないんだって、少しは教えてやった方がいいんだから」
「でも、喜ぶ人が多いのも確かでしょ?いいよ、どうせ部屋であれを考える時間が増えただけだし」


さっきの研究書(多分)!


意気揚々と羊皮紙を広げた私は、背後から気配を感じて振り返った。



「……リディ、そこから動いた?」



リディは私の右側にいる。

いくら死角とはいえ、動けばそれなりにわかる……はず。うん。
案の定、かぶりを振られた。


気のせいかと思い直して、もう1回机に向き直る。


いつからにあったのかも不明な(図書館で借りたふっるい本に挟まってた)(多分ずっと前の先輩か誰かが置き去りにしたんだと思う)羊皮紙は、変色してぼろぼろで、もう散々だ。
それでもそこに書いてあったのは、めくるめく新理論!

ダンブルドアにこっそり見せたら、まだ発表されてないものなんだって。
途中で理論が間違ってることに気づいたからなのか、本に挟んだままなくしてしまったのか、それとも単に飽きたのはわからないけど、私にとってはこの上なく魅力的。

キッシュをフォークでぶっすり刺して頬ばりながら羽ペンにインクをつけたら、リディに「お行儀悪い!」と怒られた。

小姑か、あんたは!



   リディ、やっぱり動いた?」
「いいえ?」
不思議そうに首を傾げてるけど、リディ、口元がちょっとひくついてるよ……。



   やっぱり、何かいる。




   だりゃああぁっ!!」

「ぐっほ……!!」




あ、低くて変な声。
これ、男の子の声だ。

「な……なかなか、いい足を持ってるね……、……!」
「……誰?」

自慢じゃないけど、男の子とは全く交流がない。
だからあの時、ジェームズやシリウスが私のことを知らなくても無理はないんだけど。


「嫌だなあ、もう忘れたのかい?僕だよ、僕!」


ふわりと空間が歪んで、(多分本人的には)颯爽と現れた(つもりなんだろうけど実際にはちょっとよろけていた)のは、さっき大広間で会ったジェームズだった。