さて、状況を把握してみよう。








ここは女子寮だ。そして、ここにいるのはジェームズだ。
この2つから仮定されることは、

・ジェームズは実は女だった
・ジェームズは女子寮に不法侵入した

のどちらかだ。


ジェームズが女の子というのはあまりにもありえないことなので、やっぱり不法侵入者というところで落ち着いてみる。


「リディ、この人叩き出していい?」
「え!?」

「うーん、私としても大賛成なんだけど」
「ちょっとちょっと!」

「じゃあ、特に問題ないよね」
「僕の話を聞いてよ!!」

「でもね、。彼は彼なりに弁解したいことがあるみたいだから、一応ミジンコの気持ちぐらいは聞いてあげたら?」



「…………ミジンコ…………」



あ、リディの後ろでジェームズがガックリ落ち込んでる。

「まあまあ、肉眼で見れる微生物に認定されただけでもよかったじゃない」
とりあえず肩を叩いてフォローしたら、ものすごい勢いで振り向かれた。



「フォローになってないってそれ!」


がっくんがっくん。


「……気持ち悪……」


うっぷ。

あんまり激しくシェイクされて、キッシュが逆流しそうになった。
せっかくおいしいのに、ここで戻したらもったいない!

私の必死の努力に気づいたのか、リディがべりっとジェームズをはがしてくれた。


!ちょっと、大丈夫!?」
「うん……何とかね」

「ごめん!でもさ、。さっき君が見てたの、あれ何だい?」

申し訳なさそうにうなだれたジェームズは、けれど次の瞬間には好奇心いっぱいに目を輝かせている。


あれ。どれ?
   ああ、羊皮紙か。


「古文書」
「え!?」


「ってのは嘘だけど」


勢いよく身を乗り出したジェームズは、その言葉にがっくりと肩を落とした。



……おもしろい……!



そのまま新しい快感に目覚めるのもおもしろそうだったけど、人として駄目になりそうだからやめておいた。

「誰がいつ置いていったのかもわからないようなものだよ。理論が難しくておもしろくてさ」

この羊皮紙から新しい発明をして、それでお金をもうけたいとは思わない。
だってそんなの、ネコババしたみたいでなんか微妙だし。

それより、これを追試して、その効果のほどを確かめてみたいんですよ!


我ながら締まりのない顔になってるという自覚はある。
でもいいの、それ以上に魅力的だから!!

「僕が?」
「ご冗談を。これがに決まってるでしょ」

即答したら、ジェームズががっくりうなだれてた。
自意識過剰は嫌われるよ?



「でもねぇ……まだ、未完成なんだよねえ」



どうやら変身学の分野らしいってことは、かろうじてわかるんだけど(ずっと前に授業で教わった理論と似ているのが中に含まれてた)
これからどうやってやればいいのか、実は途方に暮れてたりする。

「今はまだ、書いてある理論の意味が全部分かってないからいいんだけど……」

こんなことを彼に言っても、どうしようもないんだけど、ね。


今更ながらそんなことを考えて苦笑していたら、ジェームズにガッツリ肩をつかまれた。
そのままずずいと顔を寄せられて、思わず力一杯のけぞる。


ちょ、近いって!あんた確かリリーにぞっこんなんだろ!!


そんな私の内心など知らず、ジェームズはやけにきらきらした瞳で熱く意気込んだ。



、僕らでその呪文、完成させよう!!」





…………はい?