ジェームズの言っていることが理解できなかった。
だって、こんなに綿密で難しい呪文の続きなんて、作れるわけがないじゃない!
「あの……ミスター・ポッター?あなた、自分が何を言ってるのかわかってる?」
「もちろんさ、!考えただけでもわくわくするじゃないか!!」
どうでもいいけど、こんなに騒いで大丈夫なのかな。
そりゃ、石造りだから音は響きにくいけど、どんな音でも絶対に響かないって訳じゃないと思うんだけど……。
リディも同じことを考えたらしい、ばっしぃ!とジェームズの頭をはたいた。
「うるさい!ここがどこだと思ってんの」
「もちろん、女子寮さ!」
「高らかに言わないでよ!どういう神経してんのよ」
もう1発。あ、今度は本だ。
あーあ、呪文学の教科書だから、あれは痛いなあ……(今習ってる教科の中で3番目に分厚い本だ)
「でも私、ここに書いてある理論を解読するだけで精一杯だよ」
「大丈夫、僕たちがなんとかするさ」
ぼ く た ち ?
ちょっと待って、今の複数系は一体何だ。
私か?私も含まれてるのか!?
「さ、そうと決まったら我が友に知らせねば」
意気揚々とジェームズが(勝手に)出ていった時点で初めて、私は重大なことに気づいた。
「……あ、断り損ねた」
やられた。
「、どうするのよ」
「どうしようね……」
困ったように訊いてきたリディに困って返し、今更断れないんだろうなあとぼんやり思う。
「とりあえず、やれるとこまではやってみるよ。興味があることは確かだし」
「悪戯仕掛け人と一緒っていうのが、私としては一番心配なんだけどね」
「とばっちりを受けないように気をつけるよ……」
リディの心配してることは当たり前すぎるほどわかっていたから、うなだれながら小さく答えた。
明けて翌日、他のメンバーとの顔合わせ。
はっきり言ってしまえば、彼らは私の顔も見たことはないだろう。
その予想通りぽかんとしているリーマス(とピーター)に小さく笑っていたら、寝坊してきたらしいシリウスの大声が正面からぶつかってきた。
「おまっ……お前だったのか!」
「おそよう、シリウス。寝坊だよ」
向かい合う形だった私でさえちょっとびっくりしたのに、何事もなかったかのようににっこり笑って振り返るリーマスって、本当にすごいと思う。
もっと繊細な人だと思ってたんだけどなあ……。
「で、シリウス。何が『お前だったのか』なんだい?」
こちらも全く動じていないジェームズが、不思議そうに首を傾げた。
やっぱり悪戯仕掛け人って、神経図太くなきゃやってけないのかな……。
その割には、ピーターなんて心臓ばっくばくみたいだけど。
「お久しぶり?いや、昨日ぶりか。その節はどうも」
どうでもいいけど、シリウスの鳩尾には昨日の青タンが残ってるのかなあ。
え?青タンって普通言わないの?言うよね?
「あれ、マジで痛かったんだからな!」
「あれ?が昨日のじゃじゃ馬だったの?」
まあ、あの素晴らしい回し蹴りじゃ、納得もいくけどね!
HAHAHAHAHA!と、何故かアメリカンな表記で笑ったジェームズは、そのままばっしばっしとシリウスの背中を叩く。
うん、冗談抜きで痛そう。
「痛ぇよ!」
「そんなセリフは軟弱者の言うことだよ、パッドフ 」
「ジェームズ!」
何かを言いかけたジェームズを、リーマスが鋭い声で遮った。
パッドフ?
多分、スペル的にはpad fooかpad fuuか。
何だそりゃ。
「どうしたの?リーマス」
「何でもないよ、。びっくりさせてごめんね」
「いや、驚いてはいないからいいんだけど……さっきジェームズが言いかけたこと、忘れた方がいい?」
首を傾げてそう訊くと、何故か4人揃ってびっくりしたように私を見た。
……だから、どうしたってのさ。
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