平々凡々な生活ができれば、それで充分幸せなの。
将来も平凡に過ごすつもりです。
いくらそう訴えても、この人達は全然聞いてくれなさそう……。
リーマスの視線がちょっと気になるけど、それより今はいかにしてジェームズの攻撃から逃れるかということの方が重大。
今にも泣きそうな顔をして、ものすごい勢いで迫ってくるジェームズは、正直ここから逃げ出したいほどに迫力満点だ。
「ジェ……ジェームズ、ちょっと顔が近いかなあ」
「そんな!、僕は悲しいよ!!」
ああああもう、どうしたらいいの!?
泣きそうになっていたら、シリウスがジェームズをべりりとはがしてくれた。
「やめろよ、怯えてるぞ」
「怯えてる?」
ジェームズは心外なとでも言いたげだけど、あれで怯えない方がおかしいよ……!
「てか、お前でも怯えることがあるんだな」
「そりゃあありますよ、人間ですもの」
幽霊も小さい頃はそれなりに怖かったし、お母さんが怒るのも怖い。
ついでに言うと、ネズミも庭小人も雷も怖い。
怖いものがあるのはごく自然なことだからうなずいたら、シリウスが何とも言えない表情をしていた。
その横ではジェームズとリーマスが吹き出しそうになるのをこらえている。
……え、何?どうしたの?
「、今シリウスが嫌味を言ったの、気づいてた?」
「え?」
そりゃあまあ、笑い方が何となく意地悪だったとか、口調が普段とちょっと違ってたとか、そういうのから嫌味なんだろうとは思ってたけど。
「だって、怖いものがあるのは、けして恥ずかしいことじゃないでしょ?」
大の大人だって、たった1人に怯えて暮らしてる。
「ほら、ヴォルデモートとか」
「ヒィッ!」
「、しー!しー!!」
何気なく口にした瞬間、ピーターが飛び上がって悲鳴を上げた。
ジェームズが慌てて手を伸ばしてきたけど、それよりも一瞬早くリーマスに口をふさがれる。
鼻、鼻ふさいでる……!!
「ふーががっ、ふごほごほごっ!!」
「、君、マグル出身じゃないよね?」
「いや、マグルだったら余計に例のあの人は怖いだろう」
そんな話はどうでもいいから、息が苦しい……!
いけない、このままじゃ本気で三途の川とやらが見えてしまうかもしれない(お母さんが死ぬとそこを渡るんだって言ってた)(別に仏教徒でもキリスト教とでもない私は、果たして三途の川を渡るんだろうか)
「リーマス、そろそろ離してやれよ。がそろそろ窒息しそうだ」
じたばたしてたらシリウスに助けられた。
何か意外だけど、助かった……。
「ありがとう、シリウス」
「……おう」
あれ?
ちょっとさっきと態度が違う。
どうしたんだろう、どんな心境の変化?
不思議に思ってシリウスを見上げても、そっぽをむかれるばかり。
これってやっぱり、嫌われてるのかしら。
いや、でも、助けてくれたってことはそんなには嫌ってないってことだし……。
ああ、もう、何なのよ!?
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