「久しぶりだな、ここに来るのも」
「上がってって!ともお話したいし、ね?」
誰にともなく呟いたクラウドに笑いかけ、はしゃいだエアリスがの背をぐいぐいと押す。
抗いきれずに中に入ってしまったを見て、クラウドもため息をついて後に続いた。
エルミナはきっと嫌がるだろう。
「ただいま!」
「お帰り。おや、久しぶりだね そっちの子は?」
予想通り、エルミナがクラウドに目をとめて片眉を上げる。
しかしには見覚えがなかったらしく、すぐに小さく首を傾げた。
「教会に、クラウドと一緒に落ちてきたの。ソルジャーの時の仲間なんだって」
「え?私、そんなこと……ザックスあたりがぺろっと言ったな」
「あたり」
悪戯っぽく笑ったエアリスに呆れたような表情をして、エルミナが彼女を上へと追い立てる。
「ほらほら、お客さんを汚い部屋に入れるつもりかい?」
「はぁい」
ぱたぱたと軽い足音を立てて、エアリスが2階に駆け上がっていく。
それを確認してから、エルミナは2人に向き直った。
「悪いけど 」
「わかってる。なるべく早く出ていくよ」
「エアリスも神羅から追われてるみたいですし、この間まで神羅だった私がいるのはまずいですよね」
彼女が全てを言うよりも早く、2人がうなずいて口々に答える。
エルミナは一瞬だけ申し訳なさそうな顔をしたが、「頼んだよ」とだけうなずいてキッチンに戻った。
そんな彼女に頭を下げて、のんびりと2階のエアリスの部屋にお邪魔する。
もちろん、クラウドは別室に追いやられた。
「はどこで、クラウドと知り合ったの?」
「神羅で。私もソルジャーだったからね」
「へえ!じゃあ、長い付き合いなんだね」
何故かうっきうきのエアリスにが首を傾げると、ひょーいと爆弾を投げつけられた。
「ね、付き合ってるの?」
「げほっ!!」
飲んでいた紅茶が、見事に気管に入る。
激しく咳き込みながら涙目になってエアリスを見上げると、不思議そうにきょとりとした視線を向けられた。
「違うの?じゃ、セフィロス?」
「どっちも違う……!!」
どんな説明をしてたんだ、ザックス。
今度会ったら覚えてろ。
ザックスに怨念を飛ばしつつ必死に訂正をしたは、負けじとエアリスに突っ込む。
「エアリスは、もしかしてザックスと付き合ってるの?」
「え?うん」
……あっさりと肯定されてしまった。
「……もう少し挙動不審になってくれると思ってたのに……」
「だって、もう8年目だもん。今更だよ」
ころころと笑ったエアリスの言葉で、がまだいた時代から2人が付き合っていることを知る。
3年付き合えば「長い」と驚かれるこのご時世、規格外の長さだ。
「ふうん……何だ、あの頃からだったんだ」
つまらなさそうに呟いて、が静かに立ち上がる。
拗ねたように見えるその様子に、エアリスの頬がそっとほころんだ。
「お手洗い、借りるね」
ぱたむとエアリスの部屋を出たは、足音と気配を消して、クラウドのいる部屋へダッシュ。
「クラウド、もう行こう。これ以上長くいるのはまずいよ」
色々と。
そう、色々と。
クラウドの女装姿が見られなくなるかも……!(ものすごく重要!!)
そんなことを思われているとは露知らず、クラウドもうなずいて立ち上がる。
「窓から行こっか。その方がショートカットになる」
ひょーいひょーいと飛び下りて、ついでに花畑の中からマテリアやらエーテルやらをいただいて。
「どこ行くの?クラウド、」
ぎっくうぅ。
「いや、ちょっとお散歩に 」
「じゃ、私も行くね!」
「いや 」
「見くびらないで。これでも長年、タークスと追いかけっこしてるんだから」
えっへんと胸を張ったエアリスに、クラウドはもうそれ以上反論する気がなくなったようだ。
エアリス、最強。
「……じゃ、行こっか。エルミナさんには言ってきたんだよね?」
疲れたように訊いたに大きくうなずき、エアリスは先頭をきって歩き出した。
それについていきながら、がはたと重要なことに気づく。
5番街スラム内を移動するだけでは、公園には行かない。
すなわち、ティファを目撃することもない。
ということは、コルネオの館に行かない。
イコール、クラウドの女装を見れない。
いかん、それだけは避けねば!!
どうしようと知恵をしぼった結果、思いついた案はどうにもお粗末なものだった。
「ね、後でみんなで花火したい!」
あまりにも突発的な提案だったが、したいのも事実だったので気にしないことにしておく。
「花火か……この近くに、できそうな場所なんてあったか?」
意外にもクラウドが真面目に反応してくれた。
口元に手をあてて考えるクラウドに、エアリスがうなずく。
「みどり公園は?あそこ、あんまり人もこないよ」
「ああ……あそこでいいか。それじゃあ、一旦家に戻ったら、セフィロス達も連れて行こう」
「うん!」
これでなんとかストーリー通りに進むと安心しながら、クラウドの提案に満面の笑みで答える。
花火をするなんて、何年ぶりだろう。
ロケット花火もやりたい、ネズミ花火も遊んでみたい、両手に花火を持ってザックスを追いかけるのも面白いかもしれない。
「早く帰ろ、花火!」
ティファのことを半分忘れながら大はしゃぎで家に帰ると、じりじりしながら待っていた2人に出迎えられた。
「うっわお前ら、ぼろぼろじゃねえか!エアリスまでどうしたんだ?」
「、怪我は」
「大丈夫。ね、花火やろ!!」
手を伸ばしてきたセフィロスの腕にしがみつき、期待いっぱいの目で見上げる。
そんなに小さく苦笑して、セフィロスがゆっくりとうなずいた。
「ああ、行こう」
ばんざーい!!と大はしゃぎの(もはや当初の目的はほぼ忘れている)を囲んで、5人揃って公園に向かう。
途中で花火もしこたま買いこんで、バケツに水を汲んで。
「見て見て!!花火文字!」
「あんまり振り回すな、ザックスに向けてやれ」
「え!?ちょっと旦那、何その扱い!!」
きゃあきゃあと楽しんでいたら、7番街からティファの乗ったチョコボ車が出てきた。
それに気づいたクラウドが、花火を選ぶ手を止めて訝しげな声をあげる。
「あれは……ティファ?」
「え?」
つられてそちらを見たは、青いドレスを着たティファを発見してぴしりと固まった。
忘 れ て た ー !!(オマイガッ!!)
「ティ、ティティティティティファったらどこ行くのー!?」
噛みまくりながらあたふたと慌てるの頭にぽむと手を置き、セフィロスがふむとうなる。
「 あちらにあるのは、6番街だな」
「ってーことは、コルネオか?」
コルネオ、と聞いた瞬間に、クラウドの顔色が変わった。
「 行こう」
「だね。コルネオのところに行くんじゃ、何だか心配」
エアリスもこっくりとうなずき、手に持っていた花火の始末をする。
セフィロス達もさっさと花火を片付け、いつでも動けるような状態だ。
最後にの準備が整ったのを待って、5人は静かに走り出した。
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