「うーわー……悪趣味ぃ」
コルネオの館を見たの第一声に、クラウドが小さく苦笑する。
必要な限り歯に衣着せぬ物言いは、あの頃から変わってはいないようだ。
「行ってくるね」
軽やかな足取りでエアリスが門番のところに行き、二言三言交わして戻ってきた。
困ったような迷ったような、何とも微妙な表情だ。
「コルネオ、夜の相手、探してるんだって。今日はあと2人って言ってたから……」
「1人は間違いなくティファだね。もう1人は私が行くからいいとして、あと1人は 」
「「駄目だ!!」」
やっぱりクラウドに女装をさせるべきだろうかと考えこんでいたに、セフィロスとクラウドが同時に怒鳴る。
「何が?」
むうとむくれて金髪コンビ(セフィロスの髪はラピスの力で変化済み)を見ると、クラウドにがっしと肩をつかまれた。
真剣な顔で詰め寄られ、が思わずのけぞる。
「、夜の相手ってのが何だかわかってるのか?」
「それぐらいわかってるって。大丈夫、デブハゲオヤジくらいぶっ飛ばせるよ」
ぱたぱたとのんきに手を上下させるに、セフィロスが無言で詰め寄った。
「却下だ。」
「じゃあ、どうしろってのさ!」
ティファ1人ではどうにもならない。
それは誰もがわかっているだろうに、どうして認めてくれないのだろうか。
かたくなに拒否する男達に、苛立ちがつのっていく。
そんな時、鈴を転がすような声が割って入った。
「、私も行く」
「エアリス!?」
驚いたザックスがすっとんきょうな声をあげたが、それを無視してエアリスがにっこりと笑う。
「私となら、大丈夫だよ」
「そっか……そうだよね!」
もうこの際、クラウドが来なくてもいいや!!
エアリスもシナリオ通りのメンバーだし、女の子ばっかりの方がきらきらしていて嬉しいかもしれない。
自分的に。
明るくうなずいたの肩を、骨張った手ががっしとつかんだ。
振り向くと、眉間に深い皺を刻んだセフィロスが、不機嫌で不本意そうなオーラを放出している。
「……クラウドも、連れていけ」
「はあ!?」
「え、クラウドって男じゃん」
苦々しげに言われた言葉にクラウドが妙な声をあげ、も首を傾げた。
何故ここで、あえてクラウドを加える必要性があるのか。
「それに、もう人数、足りてるよ?」
エアリスも首を傾げたが、セフィロスは気にした様子もなく続ける。
「1人くらい増えても構わんだろう。奴は好色だ、候補が増えれば喜ぶだけだ」
「あー……うん。確かにそうだな」
納得したザックスにうなずき、とどめの一言。
「この中で潜入しても一番違和感がないのは、間違いなくクラウドだ」
「……女装!?」
エアリスがきゃあ、と歓声をあげた。
反対に、クラウドは真っ青だ。
助けを求めるように、勢いよくを振り返る。
「なるほどね」
しかし、そのもにやりと笑うに至って、クラウドの運命は決定した。
「さ、洋服屋さんにレッツゴー!」
「嫌だ!!絶っ対、嫌だ!!」
嫌がるクラウドはソルジャーコンビに両脇をがっしとつかまれ、ずーるずーると引きずられて行く。
抵抗らしい抵抗もできないまま服屋に着くと、エアリスがものすごく楽しそうな表情で中に入って行った。
「おじさんをその気にさせれば、ドレス作ってくれるって!!」
喜々とした彼女の言葉に、クラウドの頭ががくりとうなだれる。
シナリオ通りに服屋のオヤジを言いくるめ、細々とした小物(もちろん全て最高ランク)を手に入れて、レッツ着替え。
「クラウド、準備はいい?」
「……覚悟は決めた」
悲愴な表情でに答えると、クラウドが試着室に入っていく。
しばらくごそごそとやっていたが、ややして情けない声が聞こえた。
「……、着方がわからないんだが……」
ぶは、とザックスが吹き出すのを背後に聞きながら、も苦笑して試着室に入る。
「入るよー」
下着を手にして途方に暮れた表情のクラウドに微笑むと、一つ一つ丁寧に着付けていく。
「うーん……。本当は、胸パットもあった方がいいんだけど……ちょっと待ってね」
服屋からもらったタオルを丸めて下着に詰め、ふくらみが服の上からでもきちんと出るようにした。
ドレスを着せて、ウィッグを着けて。
「……クラウドの髪って、くせっ毛だったんだっけ」
「ワックスで補強してるけどな」
長い別離ですっかり忘れていた事実を思い出し、ちょっぴり感動を覚えたりして。
(本編では三つ編みだったけど、別に違ってもいいよね)
肩幅の広さを隠すために、ブロンズをふんわりと巻いてそのまま散らす。
耳の後ろだけほんの少し編み込んで、真珠のピンで軽く止めた。
「はい、できた。下にソルジャー服を着てるからちょっと不自然だけど、コルネオくらいなら充分だませるよ」
後はお化粧だね、と笑うと、女性姿のクラウドがげんなりとした表情になった。
「勘弁してくれ……」
「さすがにすっぴんじゃ、男だってわかっちゃうもの。エアリスが許さないんじゃないかな」
「げ……」
クラウドの顔から、みるみる血の気が引いていく。
「俺、ずっと女装してるわけじゃないんだぞ?それ、わかってるのか?」
「さあ?エアリスは、自分が楽しいのが大好きな人みたいだからね」
確かに、ソルジャー服を着て化粧をした姿は、どう贔屓目に見てもおかしいだろう。
その様子を想像してしまって、不謹慎ながらも吹き出してしまった。
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