ぐったりしているクラウドはさておいて、は自分のドレスを物色し始める。
「どれがいいかなあ……」
デザインが可愛いものは、サイズが合わずに断念。
色が気に入ったものは、デザインがいまいちで却下。
なかなかしっくりくるものがなくて悩んでいると、手早く着替え終わったエアリス(コーディネートはザックス)が横からひょいと手を出した。
「これは?絶対に似合うよ!」
「これ?うーん……」
彼女が楽しそうに引っ張り出したのは、背中が大きく開いたドレス。
確かにの黒髪には映えるだろうが 。
「ちょっと派手すぎない……?」
そう、やや派手だった。
背中の開き具合が激しすぎる。
「えー……?」
不満そうなエアリスにが苦笑していると、セフィロスがその横から腕を伸ばしてきた。
「これがいい」
純白の、下品にならない程度に胸元がやや大きく開いたドレス。
ウェディングドレスとは全く趣の異なる形で、は一目で気に入った。
試しに当ててみると、サイズもぴったり。
「着てみる!」
試着室に飛び込んで着替えると、派手すぎず地味すぎず、さらに少し手を加えれば暗器を仕込むこともできそうだ。
何よりも、デコルテが綺麗に見えるのがいい。
「セフィー、これにする」
「そうか」
が自分のチョイスしたものを選んだので、セフィロス密かにご満悦。
ほんの僅かに頬をゆるませるセフィロスにうなずいて、は足取り軽く試着室から降りた。
「うん。派手すぎないし、武器とか暗器とかも隠せるし」
選ぶポイントが明らかに間違っているが、それでも女の子。
エアリスと一緒に髪型などをきゃあきゃあいじって、すっかり化けた3人が、いざコルネオの館へと出陣した。
「何かあったら、すぐに連絡を」
「うん。携帯、持ってるよね?」
「ああ」
館の前でそんな会話を交わして、いざ潜入。
すぐにおしおきでティファと合流したのはいいのだが 。
「ティファー……化粧、ちょっと濃くない?こっちおいで、直そうよ」
「いいのよ、ちょっとぐらい濃い方が。あのオヤジ、派手好みだし」
ずっぱりと言い切ったティファが(確かにこの内装を見る限り、コルネオはセンスの悪い派手好きだ)、それより、と首を傾げた。
「はどうしてここに?それに、その人達は……?」
視線の先のエアリスがそれに気づき、にっこりと微笑む。
その右手の先には、こっそり逃げ出そうとしていたらしいクラウドの腕ががっちりとつかまれていた。
「私、エアリス。あなたは?」
「あ ティファよ、よろしく」
にこやかに握手を交わした後、エアリスはぐいとクラウドを引っ張る。
ソルジャーのはずのクラウドがよろめいていたのは、きっと油断していたせいだろう。そうだろう。
「ほら!ちゃんと、挨拶!!」
「エアリス っ!!」
反射的に叫んでしまったクラウドが、はっとしたように口元を押さえた。
ティファが大きく目を見開いて、クラウドを見ている。
「……クラウド……?」
「いや、これは !」
騒がしくなり始めた3人を見ながら、はこの後のことを整理した。
(この後斬り落としてすりつぶしてねじり切って、アプスと戦ってプレート落ちて、エアリス助けに神羅本社?)
どうにも記憶が曖昧だが、多分そんなものだと思う。
そうこうしている間に子分に呼ばれてコルネオの部屋に入ると、でっぷりと太ったハゲちょびがででんと座っていた。
その風体は、どう贔屓目に見ても。
「……ピグニー?」
ぼそりと呟くと、聞こえたらしいクラウドが横で小さく吹き出した。
「確かに、豚だな」
「クラウディア、しー」
くすくすと笑っている間にも、コルネオは品定めをする目でじろじろと4人を見る。
不愉快そうに顔を背けたクラウドを心配そうに見ていたら、そのの腕が突然ぐいと引かれた。
「……え?」
「よし!今日はこの、エキゾチックなおなごじゃ!」
「は?」
思わず素で聞き返したを、問答無用で引っ張っていくコルネオ。
その後ろ姿を、クラウドが射殺しそうな目でぎりぎりと睨みつける。
だが、さすがはコルネオ。
そんな視線に気づくはずもなく、上機嫌で歩き出す。
とりあえず抑えろとクラウドに目で合図をし、心配そうなティファとエアリスににっこり笑い、はコルネオの寝室へと入った。
(仕方、ないなあ……)
色の仕事をしたことはないのだが、この際文句は言っていられないだろう。
よし、と気合いを入れて、は凛と顔を上げた。
「コルネオ様、今宵は私をお選びいただき、ありがとうございます」
裾を引いて深々とお辞儀をしながら、ちらりと様子をうかがう。
やはりというか何というか、鼻の下が完全に伸びきっていた。
「ほひー、挨拶なんていいから、はようこっちにおいでー」
……殴り飛ばしたい。
そんな衝動を必死にこらえ、にっこりと笑って数歩近づく。
手を伸ばしてもぎりぎり届かない、しかし剣の間合いには充分入る距離だ。
「ありがたいお言葉です、コルネオ様」
じろじろとなめ回すように見られるのは不快だったが、そんなことはおくびにも出さずにただ微笑む。
伊達に年はとっていないのだと胸を張りかけて、それがけして自慢できることではないと気づいて密かに自分で自分の考えに傷ついた。
「可愛いのー、可愛いのー」
「ありがとうございます」
「キスはしてもらえんかの?」
「…………」
ふ ざ け ん な !!
|