断崖絶壁と呼ぶにふさわしいような場所をロッククライミングし、やってきました神羅本社。
「うわあ、久しぶり」
皓々とライトで照らし出されたビルを見上げて、がぽつりと呟く。
しみじみとしたその様子に、そういえばとセフィロスが見下ろした。
「は6年振りか」
「俺らは毎日見てるようなもんだったけど、は違うもんなあ」
「うーん……実はもっと長いんだけど」
納得した様子のセフィロスとザックスに苦笑して、がこっそりと呟く。
ただ一人それを拾ったクラウドが思わず振り向くと、気づいたと目が合った。
どういうことかと目で問いかける前に、が静かに人差し指を唇の前に立てる。
「……内緒ね」
こそりと苦笑されては、クラウドももう何も言えない。
彼女にも色々あるのだと納得して、こくりとうなずいた。
「どこから侵入する?」
「正面突破だ!」
「大騒ぎになるでしょ、それじゃ。余計な犠牲を出したくないし、私は裏から行きたいわ」
気を取り直して訊いたクラウドに、バレットが勢い込んで主張する。
それに対して、ティファが顔を曇らせながら口を挟んだ。
クラウドとしてはどちらでもいいのだが、双方全く引く気はないらしい。
どちらにしようとセフィロス、ザックスを見るが、2人はお前が決めろとばかりに笑うだけ。
困ったように眉根を寄せて見つめられたも、同じように軽く笑った。
「あんたが決めなさい、クラウド。アバランチと私たちをつなぐのはクラウドなんだから」
「……」
それでもまだ迷うように瞳を揺らしていたクラウドは、しかしすぐに口元を引きしめる。
人の死に敏感になっている今、アバランチの2人に過剰な戦闘はさせない方がいい。
「ティファの言う通り、裏から行こう。60階までは行けるはずだ」
「ろくじゅ……」
ケタ違いの階数にバレットが絶句し、言い出した本人のティファも顔を引きつらせた。
普通に考えて、上り切れる自信など微塵もなくなる階数だ。
しかしもう撤回できるはずもなく、しおしおとうなだれながら非常階段に向かう。
「さーて、軽いトレーニングだね」
屈伸や前屈をしながらがそう言うと、ザックスも肩を回しながら笑う。
まるで楽勝だと言わんばかりのソルジャーズに、アバランチ組の顔がますます引きつった。
「みんな、行くぞ」
あまりはしゃぐなとため息をついたクラウドの合図で、ソルジャーズは軽やかに、アバランチ組はひいこらと上り始める。
上りに上ってもうすぐ60階というところで、が何かに気づいたようにぴたりと足を止めた。
「クラウド、まだマズラディさんはいる?」
「え?ああ 俺達が出ていくまではいたな」
「例の事件でラザードも失脚したし、また引っ張り戻されてるんじゃねえの?」
「あれ?ラザードさん左遷されちゃったんだ。うさんくさいとは思ってたけど 」
笑っているようで笑っていない統括の顔を思い出しながら、が小さく首を傾げる。
少なくとも、そう簡単に腹の底を見破られるほど浅い人物には見えなかったのに。
一体何があったのかと見上げたに、セフィロスが簡単に告げた。
「ラザード統括は、ルーファウスの異母兄弟だったんだ」
「兄弟!?」
信じられないというように叫んだは、頭を抱えて小さくうめく。
「あんなデブハゲが2人も女を引っかけるなんて……!うちのセフィロスの方が絶対いい男なのに……!!」
確かに正論だが、驚くポイントが絶対に何か間違っていた。
しかし、ソルジャーズで気にしたメンバーは特にいないようだ。
いい男と表されたセフィロスがうっすらと表情をゆるめ、その横のザックスが苦笑している。
反対にティファは口元を引きつらせた。
バレットに至っては、べしゃりと床につぶれている。
どうやら、今までの疲労とのダブルパンチに撃沈したらしい。
「あ……あのなあ、……。旦那に女がいないのは、言い寄ってくるのを全部切り捨ててるからだぞ?」
「え?何で?彼女持ちはザックスだけみたいだし、てっきりもてないのかと……」
「今は女など必要ないし、が一番だからな」
またバレットが吹いた。
「あら嬉しい。いい子ね、セフィロス」
全く動じずに、しかもあろうことかセフィロスの頭をなでる。
特に抵抗もせずに(むしろ密かに喜んで)それを受け入れるセフィロス。
その光景を普通に見ているザックスとクラウド。
何かもう、色々カオスすぎた。
「……あなた達って、やっぱり少し変よね」
色々と言いたいことを飲み込んで、ようやくティファが言えたのはそれだけだった。
少しどころか、かなり変だ。
こんなのがトップクラスの精鋭でよかったのか、神羅。
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