半生半死の状態までルーファウスを叩きのめした後、もクラウドも晴々とした表情でエレベーターに乗りこんだ。
いい仕事しましたとばかりに汗を拭うに、クラウドが小さく笑う。


「やっぱり、は強いな」
「クラウドも強くなったね。あの頃とは、本当にケタ違い」


間のとり方がうまい。
呼吸を合わせやすい。

実際に一緒に戦ってみてわかったその事実に、は心の底からそう返す。
だが、ふと地上を見下ろした瞬間、その顔が曇った。


「クラウド、下」
「……集まってきてるな」


言われて同じように下を見たクラウドも、思わず眉根を寄せる。

この上空からでもわかるほど、神羅ビルが包囲されていた。
しかも警備の兵だけでなく、2ndクラスのソルジャーまでもいるようだ。


「出口からは出られない、か……だとすれば、突破口は   


一番警備の薄そうなところを探すクラウドに小さく笑い、があれ、と指し示す。




「あそこから、きっと出れるよ」
「…………




長い長い沈黙の後、それを見つめながらクラウドが口元を引きつらせた。


「俺の見間違いじゃなきゃ、あれは高速道路に見えるんだが」
「うん、ハイウェイだね」
「ここのどこからも、あそこにはつながってないよな?」
「バイクとか車とかパクればいいじゃない。加速してばひゅんって」
「100mは離れているように見えるのは、俺の目の錯覚か?」
「いや、当たってるんじゃない?初速度が100キロもあれば余裕だと思うけど」


ええと、




「……わかったよ。飛べばいいんだろ、飛べば」
「そうこなくっちゃ!!確か3階に展示ルームがあったよね。2階だっけ?」
「いや、3階のはずだ」




やけくそ気味に言うと同時にクラウドが3階のボタンを押し、止まると同時に並んで飛び出す。
一度覚悟を決めたら、彼の行動はそりゃあもう速かった。


「ラッキー!!デイトナが2台ある!あ、sA-37式も!」
、乗れるか?」
「一人では無理。後ろ乗せて!」


言いながらはsA-37式のドアを開け、スターターの鍵を壊して配線をむき出しにする。
器用に手早くショートさせてエンジンをかけると、ためらわずにクラウドの後ろに飛び乗った。
けして丁寧とはいえない運転で階段を降りても全くお尻が痛まないことに、はもう大はしゃぎだ。


「デイトナ最高!サスペンション半端ない!!」
「はしゃいでないで、しっかりつかまってろ!!」


舌を噛むぞと怒鳴って、クラウドがさらにスピードを上げる。
瞬く間にエントランスまで駆け下り、正に外に出て行こうとしているバレットに叫んだ。


「こっちだ、早く来い!!」
「クラウド!?」


驚くティファにうなずき、そのまま乱暴にUターンをして階段を上り始める。
前輪を容赦なく上げられて、危うく落ちそうになったが、慌てて目の前の腰にしがみついた。


「クラウド、安全運転!」
「こんな無茶な計画を立てた張本人が何を言う!」
「そうでした、ごめんなさいー!!」


もう一台のデイトナにもソルジャーズがタンデムし、残りの面々は次々とsA-37式に乗りこむ。
最後にナナキがひらりと荷台に飛び乗ったところで、クラウドがエンジンの爆音に負けない大声を張り上げた。


「みんな、アクセル全開だ!!」
「メーターぶっちぎるぐらいの勢いでね!!あの高速道路に飛び乗るから、衝撃にも備えといて!!」
!?そんな、無茶よ!!」


悲鳴を上げたティファを振り返り、は無言でぐっと親指を立てる。


問題ない、いける。


彼女のいい笑顔を見て、ティファはもう何を言っても無駄だと悟った。
そんな彼女はさておき、は右手にマテリアを握りしめて声を張り上げる。


「強化ウィンドウの方は私に任せて!!」


彼女がそう言うと同時に、右手に持ったマテリアが強く輝く。
あまりの強さに不安になったクラウドがそれは何だとささやくと、炎マテリアだと返ってきた。


「熱でこっちから吹き飛ばせば、破片を被る危険性はほぼゼロだからね。てなわけで   クラウド、ゴー!!」


準備OKとゴーサインを出したにうなずき、クラウドはエンジンをフルスロットルにする。
がくりという衝撃と共に激しいGを感じつつ、は全員に強化済のマバリアをかけた上で右手を突き出した。




「ファイガ!!」




すさまじい熱量がピンポイントで強化ガラスを襲い、一気に爆発する。
激しい破壊音と共に次々と踊りだしてくる黒い影に、眼下から泡を食った神羅兵達の叫び声が聞こえてきた。
それが妙に愉快で気持ちよくて、思わず笑いがあふれてくる。


「盗んだバイクで走り出す、ミッドガルハイウェイー!!やっほーうっ!!」
「何なんだ、それ……」
「えー、やっぱりこういう時はこれでしょう!」


やたらとハイテンションなに苦笑したクラウドは、しかしすぐに表情を引きしめた。


「すぐに追っ手が来る。頼んだぞ、
「OK、任せて!ね、セフィロス」


が視線を向けた先には、ザックスの後ろで正宗を構えるセフィロス。
   さあ、逃走劇の始まりだ。