の言葉に小さくうなずいたセフィロスが、すぐさま後方へ鋭い一閃を繰り出した。
バイクを破壊されて転がる神羅兵に拍手を送り、も不敵に笑って剣を構える。


「エアリスやティファ達には、指一本触れさせないからね?」


安心させるように女性陣に笑いかけると、クラウドに合図をしてsA-37式から離れる。
次々と追っ手のバイクを破壊しながらザックス達の方を確認した限りでは、そちらも問題ないようだ。

神羅関係者の前にセフィロスを出しても大丈夫だろうか。
そんな若干の心配もあったものの、再び変化させた髪の色と夜の闇、そしてこの超高速カーチェイスが相成って、どうやら気づかれてはいないようだ。


「大丈夫!?」
「全然オッケー!!」


風に負けないように叫べば、ザックスがにかりと笑って親指を立てる。


ああ、こいつはこういう男だった。
私たちの空気は、こんな感じだった。


埋もれていた感覚が鮮やかによみがえってきて、こらえきれない笑みが浮かぶ。
同じように親指を立てて返すと、大きくうなずいた。


「もうすぐ夜明けだ!このまま逃げきるぞ!!」
「了解!」


クラウドの言葉に一斉に返し、3人それぞれが気を引きしめる。
残り少なくなってきた追っ手を見据え、とセフィロスは武器を、クラウドとザックスはハンドルを握りしめた。
握りしめて、異変に気づく。




   ん?」




バックミラーで後方を確認したザックスが、不意に声をあげた。
それと同時にバイクをまた一つ破壊した2人も、顔を上げて眉を顰める。
さらには、前方でブレーキ音。


「クラウド、道路が切れてる!もうこれ以上は行けないわ!」


ティファの焦り声にうなずいて、クラウドが荒っぽくバイクを停車させる。
運転席から飛び下りるやいなや、バスターソードを構えた。
ほぼ同時に、も全く危なげなく飛び降りる。


「見覚えがあるような、ないような……」
「前に採用してたやつの強化版だよ、多分。このタイプは見たことない」


眉を顰めたザックスに、が昔の記憶をひっくりかえしながら呟いた。
これと同じようなプロトタイプがいくつかテストされていたが、おそらくは完成していたのだろう。
こんなところに無駄な予算を使いよってと内心で呟いたに、クラウドが声をかけた。


「こいつは俺達がやる。は他のみんなを誘導してくれ」


モーターボールを睨みつけながらそう言ったクラウドに、も一瞬迷っただけでうなずく。


「幸運を」
も」


小さくうなずきあったあとはもう、互いに振り返りもせずに背を向ける。
厳しい表情で行こうとうながすに、反射的にティファがクラウドを見た。


「でも……っ!!」


クラウドが心配だと全身で訴えるティファにうなずき、も苦笑する。

心配する気持ちはよくわかる。
自身とて、彼らが心配でないはずがないのだから。

けれど、それでも。


「クラウドを信じてあげて。私はそんな弱い男に鍛えたつもりはないし、セフィロスもザックスもいる。何より、1stの称号は、力ない者には与えられないものだから」
……」


気をつけて見れば無理をしているとわかるその笑顔を見て、ティファもようやくこの行動が彼女の本意ではないと気づいた。
それでもしばらくためらった後に、小さくうなずく。

崩れかけた鉄骨を伝って下に降り、ナナキの先導でミッドガルを抜け出した一行は、ようやく足を止めて後ろを振り向く。
クラウド達の姿はおろか、あのハイウェイすら見えなかった。


   クラウド達、大丈夫かしら」
「あいつらなら死なねぇだろ。ちょっくら休んでようぜ」


小さく呟いたティファの不安を吹き飛ばすように、バレットが大きく息をついてどかりと座りこむ。
もナナキと寄り添うように座り、つられるようにしてティファもおそるおそる腰を落とした。


「だあああ……やっっと休めたぜ」
「怒濤の一日だったもんねえ。徹夜だよ、徹夜」
「あら嫌だ、お肌に悪いわ」
「宿に着いたら、ゆっくり休まなきゃ、ね?」


くすくすと笑いながら伸びをしたエアリスが人影に気づき、ぱっと顔を輝かせる。
人影もこちらに気づいたらしく、大きく手を振った。


「ザックス!!」
「エアリスー、無事かー!?」


ザックスの大声に大きく手を振って答えるエアリスは、疲れなどどこかへいってしまったようだ。
微笑ましく思いながらナナキの背中にもたれかかったの耳に、小さな小さなささやきが届いた。


「……、大丈夫?」


記憶にあるよりも少しだけ大人びた声は、けれど確かに懐かしいもの。
笑みをこぼして首筋に抱きつき、そっとささやき返す。


「大丈夫。心配してくれてありがとね、ナナキ」


一緒に帰ろう、コスモキャニオンへ。
きっとみんな、君を待ってる。


そうささやくと、ナナキも甘えるように頬をすりよせてきた。
カームに行くのどうのと話し合いがされているが、それは華麗にスルーだ。


「じゃあ、とレッド13は   ?大丈夫か?」


話が終わったらしいクラウドが、2人を振り返って目を見開いた。
どうやら、傍目には彼女がぐったりとしているように見えたらしい。
内心苦笑しながら身を起こし、仲間にむかってひらひらと手を振る。


「平気平気、軽い任務明けみたいなものだし。早く移動しなきゃ、ね?」


どっこらせと立ち上がってにっこり笑うと、まだ心配そうな目をしていたクラウドも、ゆるくかぶりを振って言い直した。


とレッド13は、俺と一緒に来てもらう。いいな?」
「……ごめん、他のメンバー聞いてなかった。誰?」


いいなと言われても、メンバーがわからなければうなずきようがない。
何とも情けなく眉を下げたに、クラウドが小さく苦笑した。


「俺と、レッド13、ティファ。いいな?」
「ちょっと偏りすぎだけど……OK」


今度こそしっかりとうなずいて、は魔晄都市を振り仰ぐ。
   またここに戻って来る時も、誰一人欠けていないことを誓って。