ジュノンの見張りに「アバランチの残党を捕らえた。ルーファウスに報告する」と大嘘をつくと、至極あっさりと上に登ることができた。
セフィロス(金髪仕様)含め、4人でソルジャー服を着ていると、やはり効果は絶大だ。
「ちょろい」
「後は運搬船に忍びこむだけだな」
にやりと笑ったに、ザックスも悪戯をする子供のような笑顔を浮かべる。
都合上縄で縛られていたバレットとティファも、すでに自由の身だ。
だが、肝心の運搬船の周囲には、警備の兵がうじゃうじゃといる状態。
一体どうするのかとティファが眉を顰める。
「、どうやって忍びこむつもり?」
「ああ、それはね あ、帰ってきた。おーい!」
彼女が朗らかに手を振るその先には、セフィロスとクラウドがいた。
そういえば2人とも、いつの間にか姿が消えていたと気づく。
一体何をしていたのかと首を傾げたティファは、彼らが小脇に抱えているものを見て、思いっきり脱力した。
「待たせたな、。一応、似通ったサイズのものを選んで持ってきた」
「人数分はあるけど……サイズが合わなかったら言ってくれ、別のものを盗ってくる」
窃盗。
天下のソルジャーが、窃盗。
しかも、一着だけ違う服が混じっているのは気のせいだろうか。
この状況を見て、誰も何も言わないのかと周囲に視線を巡らせると、早速着替えようとしているザックスとエアリスがいた。
バレットは盗み云々の前に、自分だけ水兵服なのが不満らしく、クラウドに文句を言っている。
「おい!何で俺だけこんな格好しなきゃなんねえんだよ!!」
「仕方ないだろ、あんたに合うサイズの服がないんだ。特注でもない限りないだろ、そのサイズ」
「ぐぬぬぬぬ……!!」
あ、何かもう、誰も頼りにできないかもしれない。
切なさいっぱいでそんなことを考えながら、ティファも兵服を手に取った。
そんな彼女の内心などつゆ知らず、は上機嫌でナナキを従えていく。
「ついでにレッド13も着替えさせてくるねー」
「あ、!あんまり不用意に??」
「平気平気、お偉いさんの護衛でここにはよく来てたから。人気のないビルは把握してるよ」
呼び止めようとしたクラウドにひらりと手を振り、そのまま手近なビルに入る。
雑居ビルのようなそこは、ずいぶん前からろくに手入れがされていないらしく、どのフロアも無人だ。
「 さて、ナナキ。着替えよっか」
「……ほんとに着なきゃ、駄目?」
二足歩行が嫌なのか、神羅の服を着るのが嫌なのか。
おそらくは後者の割合が強いが、どちらもだろうと苦笑しながら、は赤い毛並みをそっとなでる。
「着ないと、ナナキだってすぐにばれちゃうよ。嫌なのはわかるけど……ちょっと我慢して、ね?」
「……うん」
不承不承うなずいたナナキに手早く服を着せ、尻尾の部分は目くらましをかけた。
歩き方が少しおかしいことを除けば、特に不自然なところはないだろう。
「これでよし、と」
満足げに笑ったは手慣れた様子で自分も着替え、先程の場所に戻る。
もう他のメンバーは全員揃っていて、ザックスが軽く手を上げた。
「お、揃った揃った。んじゃ、行くか」
「セフィロスの髪、黒にした方がいい?金でもまだ目立つ気がするんだけど……」
歩き始めようとしたザックスを制して、がセフィロスを見上げる。
心配だと書かれたその目を見て、セフィロスもしばらく考えた後にうなずいた。
「頼めるか?」
「うん」
がうなずくのとほぼ同時に、頭布からこぼれ落ちていた長い金の髪が黒に変わる。
そのついでというように、ソルジャーの証である瞳も茶色に。
「これなら問題ないよね?」
「ああ、助かる」
「あっ、ずりー!!俺らも!!」
微笑み合った2人に割り込むように、ザックスが大慌てで手を上げた。
いくら一般兵の格好をしていても、この瞳はやはり目立つ。
できるのならば隠しておきたいのが本音だ。
「はいはい。ちょっと待ってね」
できるならそうと言ってくれと恨めしそうなザックスに呆れたように笑い、は指先一つ動かさずにソルジャー2人の瞳の色を変える。
ザックスは藍色に、クラウドは緑に。
自分では何の自覚もない2人とは反対に、周囲は一様に感嘆の息をもらした。
「へえ……瞳の色、変わるだけで、ずいぶん違うんだね」
「すげえな、こりゃ」
エアリスがザックスの瞳を覗きこみながらにっこりと笑い、バレットが小さく口笛を吹く。
居心地悪そうに身じろぎしたザックスが、それを振り切るように歩き出した。
「ほら、行こうぜ!船が出ちまうぞ」
「あ、待って、ザックス!」
エアリスが慌ててその後を追い、残された達も苦笑しつつ歩き出す。
パレードの音が遠くから聞こえるところからして、確かにあまり時間がなさそうだった
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