次の日、おば様と菜々子さんに連れられて丸1日がかりで服やら小物やら家具やらを買って、持てる分(というより早急に必要な物)だけを持って返ってきた頃には、すでに呆れ顔のリョーマが帰ってきていた。
「何その荷物」
呆れ果てたようにため息をついたリョーマに、おば様がにっこりと笑う。
「女の子には必要な物が多いのよ」
いえ、私としてはこんなにたくさん洋服いらないかなあ……とか。
洋服いっぱいあるのは嬉しいんだけど、ありすぎても組み合わせに困るし、何より申し訳ない。
その上アクセサリーとか小物とかも買ってもらっちゃって……なんていうか、その……世界に向かってごめんなさいって感じ?
家具とかは宅急便(クロ○コヤマト!)で送られてくるから、とりあえずは全部紙袋のままで床に放置。
「すごい数……」
改めてその数を見て、我ながら呆れた声が出た。
下着含めて全部だとはいえ、これはすごいなあ……。
おば様も菜々子さんも、どうしてこんなにやたらと買おうとしたのやら。
「ほんとにね」
独り言のはずだったのに合いの手が入って驚くと、入り口にリョーマが立っていた。
「ノックぐらいしてよ。どしたの?」
「タグ取り手伝えってさ」
肩をすくめてすたすたと。
「入っていい?」なんて訊くはずもない。
さすがリョーマだ(何)
「あ、それならそれとそれとそれお願い」
「多いよ!」
「だって私、もっと多いもん」
ほら、とどいてみせると、そこにはでっかい紙袋が5つ。
それを見たリョーマは何も言わなくなった。
ざまあみろ!(でも1つは絶対に片付けられないんだよね。だって中身全部下着だし)
2人でタグ取りをしながら、黙っているのも何なので(これって日本人特有の習性なんだろうか)ぽつぽつと無駄話をする。
「ね、リョーマ。年いくつ?」
「中1」
「部活は?」
「テニス部」
ふむ、ここまでは原作通りか。
下手に1年未来とかじゃなくてよかった…。
「ふうん、運動神経いいんだ。楽しい?」
「まあね」
そりゃそうか、(多分)レギュラーだもんね。
「強いの?」
「もちろん」
「うっわ、自信満々ー」
「悪い?」
小さく笑ってみせると、リョーマがちょっとむっとしたような顔をした。
や、強いのは知ってるんだけどさ、やっぱり実際に目の前で見てる身としては、そう言いたくなるじゃない。
生意気がリョーマの売りなんだから。
「あんたっぽくていいと思うよ。従順で人に先を譲るようなリョーマなんて、想像もできない」
そう言ったら、リョーマは何故かびっくりしたように私を見た。
そして、口の端をちょっとつり上げる、あの笑い方をする。
「まあね」
変な奴が来た、と思った。
いきなり道に倒れてて、邪魔だったからって声をかけてみたら記憶喪失だとか訳のわからない事言うし。
わがままだらけでいっそ無視して帰ってやろうかとか思ったけど、あそこで見捨てたら俺が極悪人みたいじゃん。
変な奴すぎてちょっとおもしろかったし、なによりめんどくさくなって連れてきたら、やたらと母さん達に気に入られるし(何でこんなに気に入られてるわけ?)
初対面(に近い)相手に、「あんたらしい」なんて言うし。
俺らしいって、そんなのどうしてわかったんだよ……!
でも、まあ。
なんだか気に入った。かな?
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