そんなこんなで、引き続き氷帝学園中等部に滞在しております私、ただいまコートのベンチでジロに膝を貸しております。
逃げようにも、お腹にガッシリ腕でホールド状態では、どうにもこうにもできやしない(ちっ)
それにしても。
「ほんとに幸せそうに寝るんだもんなあ……」
ゆっくりとふわふわした髪をなでていた手を止めて、つんと頬をつついてみる。
柔らかくて気持ちいいけど、やっぱりほんの少しだけ荒れていた。
「、後で携帯教えてくれよ!」
「オッケー」
通りぎわに声をかけてきたがっくんに笑って手を振って、もう1度ジロちゃんを見下ろす。
「こんなに可愛いのに、男の子……なんだよねえ……」
のほほんふにふにとしてるくせに、試合の時の豹変振りといったらすごい。
このギャップもきっと、ジロちゃんファンにとってはたまらないんだろう。多分。
「ジロちゃんの見る夢、どんな夢かな?羊さんが出てくる、ふわふわした夢?」
羊みたいにくるくるしてる髪に指を絡めてもてあそぶ。
ほんとにジロちゃんは可愛いなあv
「羊は出てこないよー?」
うっふふふふふと悦に入ってたら(危険)、不意にジロちゃんの口が動いた。
「ジ……っ!」
ジロちゃんあんた起きてたんかいっ!?
酷いよ酷いよ騙し討ちだうわーん!!
「ジロちゃんでいいよ?俺もちゃんって呼んでるし」
あっさりと言ったジロちゃんは、こしこしと目をこすって私に笑いかけた(可愛い)
「俺の夢はねー、よく覚えてないけどすごく楽しいよ。今日のはふわふわしててあったかくて気持ちよかった」
にこーっと無邪気に笑うと、ジロちゃんは再びすとんと眠りに落ちていった。
その後もがっくんやちょたや、何故かべったまのメアドなどを教えられて、(半強制的に)こちらのアドレスも教えさせられて。
てか練習しろよ!お前ら!!
「おー、よぉ寝とるな、ジローは」
「侑士」
試合を終えて汗ぐっしょりの状態で、通りかかった侑士がジロちゃんを見て苦笑した。
「もうそろそろ起こしたり。ええ加減ジローも練習せんと、跡部が怒るやろ」
服の裾でいいかげんに汗をぬぐいながら教えてくれた侑士にうなずいて、ゆっさゆさとジロちゃんを揺さぶる。
「ジロちゃん、練習の時間だよー」
「むー……」
ジロちゃんはいやいやと首を横に振って、私のお腹に顔をうずめた(ギャア!)
かわいいけどかわいいけどヤメテー!
腹が出てんのがバレるべさ!
「ジロちゃーん」
「やー」
「頑張るって言ったでしょー?」
「……やー」
「……ムースポッキーいる?いちご味」
「いる」
むくりとジロちゃんが起き上がった隙にさっと立ち上がり、ジロちゃんの口の先にポッキー(ちょうど鞄の中にあって助かった……!)を近づける。
「わーい、嬉C−v」
ジロちゃんがあーんとやった瞬間を狙って、さっと手を引く。
もちろん、ジロちゃんの口はすかっと空振り。
「いじわる」
「ちゃんと立ったらあげる」
ふふふ、可愛いなあv
結局ポッキーでジロちゃんを操作して、侑士に預けて連れてってもらった。
「ばいばーい、またねー!」
コートに向かって力いっぱい叫ぶと、レギュラー達がこっちを向いた。
「あっ!くそくそ、帰んのかよ!今度遊ぼうな!」
「オッケー、じゃあね!」
ぶんぶかぶんぶか手を振っているがっくんに振り返して、よっこらせとギャラリーによじ登ろうとする。
だって、階段に行ってると遠いんだもん。
テニスバッグもあるし。
「階段を使え!」
えー、べったまが怒ってるー。めんどくさいなあ。
「どうして?」
「お前、女だろうが!」
「え?」
女だから……なんだろう?
うーん……?
あ。
「スカート?」
「当然だろうがっ!!」
やーん、こわぁい。
「ゆーしー」
持ち上げてvと目で訴えたら、侑士は少し呆れたように苦笑してうなずいてくれた。
侑士優しいv
「仕方あらへんなあ」
侑士は私の腰を支えて、一気にギャラリーの上まで持ち上げる。
ちょうど少し力を入れれば、ギャラリーの塀の上に腰をかけることができる位置だ。
「よいしょっと」
無事に侑士の手から離れると、頑張ってそのまま方向転換をしてコートに手を振った。
「ありがとね、侑士」
「気にすんなや」
「みんなもばいばい」
ていっと飛び降りる。
今日はふわっとしたスカートだから中が見えないかちょっと心配だけど、はっきり見える位置にいるのは侑士だけだから、まあいっか。
それより、ヒヨにも挨拶していきたいなー。
準レギュラーのコートどこだろ?
あそこにはいないし、あそこにもいないし……どこだー、ひよひよー。
「 あ、いた☆」
あの特徴的なプレースタイルは、ヒヨをおいて他にない!
「ヒヨ君、ヒヨ君」
ヒヨのコートの近くまで行ってそっと呼びかけると、ヒヨはすぐに気づいて近づいてきてくれた。
「どうかしましたか?」
「あのね、私もう帰るから、その前にありがとうって言おうと思ったんだけど……ヒヨ君って呼ばれるの、嫌?」
何か、振り向いた瞬間に、一瞬だけ眉間にしわが寄ってた気がしたんだけど。
あれは気のせいかな?
でも世間では、ヒヨはヒヨって呼ばれるの嫌がってたよね?確か。
「…………いえ」
うーわ、すっげ無理してるー。
「……ほんとに?」
「はい」
きっぱりうなずくヒヨ。
漢だ!
「 そか。じゃあヒヨ君、今日は本当にありがとうね。今度遊べるといいな」
「そうですね」
ほんのちょっとだけ笑みの形に目を細めて、ヒヨは小さくうなずいた(可愛すぎ!)
「うん、それだけ。 あ、もし万が一連絡をとりたくなったら、侑士かがっくんかちょた君か景君に訊いてね」
そう言って見たら、ヒヨはすっごく微妙な表情になった。
「 あ、い、今教えとく?」
「……お願いします」
……ほんっとに下剋上の相手には物を頼みたくないんだね、ヒヨ……。
でもくじけるな、未来の部長は(きっと)君さ!!
メモに携帯の番号とメアドを書き殴って破り取り、ヒヨに手渡す。
「はい、これ。頑張って解読してね」
「普通に見ても読めますよ」
呆れた顔で突っ込んだヒヨと別れて、無事リョーマ帰宅前に家に帰りました☆
……ところで私、今日だけで何回可愛いって思ったんだろ?
げに恐ろしきは、ホスト達の意外な可愛さでしたとさ。
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