小さいノートを買ってプリクラ帳にした。
元々あんまり撮らない方だから、どれぐらい使うのか見当もつかないけど、とりあえず貼る場所がないと失くしかねない……。


「カルピンカルピンカルピーン、おやつだよー!」


あのふわふわほわほわしたカルピン!抱き上げると気持ちよくて可愛いのよvv
全然ひっかかないし、ああもう可愛すぎ。


「カールピーン?」


いつもならすぐにほぁら、って独特の鳴き声をあげながらすり寄ってくるのに、今日はどうしたんだろ?


「カルピン?どこ行ったの?」


リョーマの部屋にも縁側にもお寺の境内にもどこにもいない。




……逃 げ た ー !!




どうしようどうしようどこ行った!?
ちくしょう、休みだってのにリョーマは今日も部活だ!(使えねえ!)

1人で行くしかねえ!!




というわけで、1人でカルピン捜索を開始。





まずは自宅周辺から。


「カルピーン」


呼べども呼べども出てこない。




青学構内。


「ねえ、カルピン知らない?」
「こっちには来てないよー」


発見ならず。
やむなく、捜索範囲を市街地まで拡大。




「カルピ   わっ」


よそ見をしながら歩いていたら、白い学ランにぶつかりマシタ☆
てへv(vじゃない)


「すいません!」
「どこ見てんだよ、あぁ?」


わお、誰かと思ったら、仁とラッキーじゃないか!


「すいません、猫が逃げちゃって……ヒマラヤン、見ませんでしたか?」
「んなもん見てねえよ」
「ヒマラヤン?それ、どういうの?」


けっと吐き捨てる仁とは対照的に、ラッキー(いまだにどう発音すればいいのかよくわからない)が好奇心丸出しで訊いてきた。

てか、ちょっぴり鼻の下、伸びてない……?

それはともかく。 どういうのって……どういうのだろう?


「ええと……ペルシャみたいにふわふわしてて、シャムみたいに顔のところに色があるやつです」


これで合ってる、かな?
猫の種類はよくわからないんだよね。


「ああ、あれか!ごめんねー、見てないや」


ラッキーが理解したようだから、きっと合ってるんだろう。
でも、見てないか……。


「そうですか……」


時間の無駄だったか(ちっ)


「ありがとうございます」


きっちりと頭だけは下げて、即座に踵を返す。




「あ、待ってよ!俺は千石   ってねぇ君!おーい!!」




キヨが何か言ってるけど、とりあえず無視。
こうして私は、再びカルピンを探し始めた。


「カルピーン?」


どこかで車にでも轢かれてるんじゃないかと心配になってきた。
カルピンってば、かなりゴーイングマイウェイなところがあるから……。

一人であわあわしてたら、横から声をかけられた。




「あれ、さん?」




聞き覚えのある声に振り向くと、観月と赤澤と裕太がいた。


「あ、裕太君。部活帰り?早いね」
「これからスクールに行くんです。どうしたんですか?」

「猫が行方不明になっちゃって……。ヒマラヤン、見なかった?」


肩をすくめて苦笑すると、裕太はすっっっごく心配そうな顔になった。


「いなくなったんですか?俺は見てませんけど……観月さん達は?」


くるりと裕太が振り向くと、観月も少し考えこんだみたいだ。


「僕も見ていませんね」
「俺も……みて、ないな」


うーん……この人たちも見てないのか。
どこ行っちゃったんだろ、カルピン……。




「あの……俺も一緒に探しましょうか?」




考えこんでたら、遠慮がちに裕太がそう言ってくれた。


「え?」
「1人じゃ大変でしょうし」




…………っ、いい子だ!!




「ありがとう、でも平気だよ。スクールって、テニスのだよね。いっぱい練習してうまくなりたいんだよね。   だったら、行ってほしい。その代わり、もし見つけたら連絡してくれる?んーとね」


メモはあったかな?あと、ペンも…………。


ど っ ち も な い 。(ノォ!)
てか、そもそも何も持ってきてないヨ!


「裕太君、書くもの持ってますか……」


恥ずかしさをこらえながら小さく訊くと、裕太はすぐにうなずいてごそごそ鞄を漁った。

「どうぞ」


差し出されたメモ帳に、シャーペンで携帯の番号を書きつける。


「これ、私の携帯。もしカルピン見かけたら、ここによろしくね」
「カルピン?」
「ああ、ヒマラヤンの名前。ふいふいしてふわふわして、超!可愛いから、きっとすぐわかるよ」


それじゃよろしくね、と手を振って、再びカルピンを探す。

いくらあちこち探しても、一向に見つからない。
それが焦りに拍車をかける。

家を出たときにはまだ高かった太陽も、そろそろ傾いてきている。
もうすぐリョーマが帰ってきてしまう。


どうにかして、それまでにはカルピンを見つけ出したい。


だってリョーマ、帰って来た時にカルピンが見えないと、ほんのちょっとだけ心配そうな顔になるんだもん(それがまた鼻血もんの可愛さなんだけど!!)
なるべくなら、そんな顔はさせたくないもんね。

ただひとつ、問題があるとすれば。




私が疲れてお腹が空いてるということ。




お姉さんくたびれ果ててるよ!!(だってもう3時間も探しっぱなし!)




そろそろ休憩したいけど、何も持ってこなかったからお店にも入れない……。
なんて思ってたら、携帯が鳴った。

見覚えのない番号(むしろ登録されていない番号)を不思議に思いながら出る。


「はい」
さん、猫見つけましたよ!』


出た瞬間、裕太の弾んだ声が耳に飛び込んできた。


「嘘っ、ほんと!?」
『はい。スクールにいたんでつかまえました』
「ありがとう!今から行くね、どこにある?」


場所を聞いてダッシュで行ったら、確かに観月の腕の中でくつろいでいるカルピンがいた。




「カルピン!」




ほぁら、と気の抜けた鳴き声をあげたカルピン(ああ、その鳴き方は確かにカルピンだ!)を観月から受け取って頬ずりする。


「どこにいたの?すっごく心配したんだからね」


呑気に鳴いてるカルピンを腕に、裕太達に頭を下げる。


「本当にありがとう。助かったよ」


ああカルピン、時々君の行動がわからなくなるよ。
お願いだから、「耳をすませば」のムーンみたいに電車には乗らないでね!(追っかけられなくなる……!)


「あなた達もありがとうございました。ええと……どなた?」
「観月さんと赤澤さんです」


ちょっと慌てたように裕太が紹介してくれた。
まあ、こちらとしては彼らが誰かはわかってるんだけど、訊いておかないと不便だしねー。


「裕太君の友達の、 です。観月さん、赤澤さん、カルピンがお世話になりました」


ぺこりと頭を下げると、観月はちょっと目を細めて笑い、赤澤はちょっと赤くなった……みたいだ。
色黒だからわかんねぇよ。


「裕太君、お礼に今度何かおごるね」


何はともあれ、無事にカルピン発見。リョーマが帰ってくる前に家に戻れてよかった……。