英二の断末魔にはさりげなーく耳をふさぎつつ、いそいそとパーティーのための布石を敷こうと行動を開始する。
色々あるけど、やっぱり一番の問題はどこでやるかだよねー。
部室なんかでやってたら、絶対にすぐばれちゃうし……。
一人暮らしの人なんていないし、カラオケとかでやるのも味気無くて寂しいし。
リョーマの家かフジコの家を借りてやるかな?広さ的に。
あ、でも、部長の家も確か広かった気が……。
いやいやいや、あの部長が馬鹿騒ぎのために家を貸してくれるはずがないでしょう。
こうなったら、いっそのことドッキリの極みで薫君の家でやるとか!!(無理だって)
……やっぱりリョーマんちかな。うん。
私が一番準備しやすいし。(自分がかよ)(そうだよ)
よし!そうと決まれば……。
乾から山ほど押しつけられた仕事はとりあえず放置して(データのまとめとか、明らかに部活の仕事じゃないし)部室を出てレギュラーのみんなを探す。
「あ、いたいた」
まずは水飲み場の横で休憩してるタカさん発見。
「あのね、タカさん」
あれあれこれこれこういうわけで。
と説明して趣旨をわかってもらい、次のターゲットを探しに行く。
レギュラー陣は毎年恒例でやってるみたいで、一を話せば十理解してくれて本当に助かるよ。
リョーマは……帰りがけにゆっくり話せばいいかな。うん。
ええと、マザーと桃と乾には英二から連絡回してくれるって言ってたから、私はあとは……部長とフジコだけか。
……ん?
何かさ、私の担当、あからさまに恐ろしくない?
……英二に謀られた!!(俺、大石と乾と桃に伝えとくー!なんて去り際に言われた)(答える暇もありゃしない)
し、仕方ない、フジコから先に……。
「不二君、どこー?」
いつもならコートで元気に動いてるはずなのに、今日に限って見あたらない。
仕方がないので探しながら歩いていたら、何と告られてますがな!!
どどどどどうしよう告白現場なんて初めて見たよっつーか今練習中だろ告る時間考えろよむしろいつ出て行けばいいんだ!?(落ちつけ)
「 好き、です。ずっと好きだったの、不二君のこと」
あ、声からして一生懸命。
さっき一瞬見た限りでは可愛かったし、さてどう答えるんでしょ?
「ごめん」
へー、そう。
ごめんって即答 。
断るんかい!!(もったいない!)
「……邪魔して、ごめんなさい」
涙目になった女の子が震える声でそう言って校舎に入っていった後ようやく動いてフジコのところに行く。
「可愛かったのに、もったいない」
「見た目はね」
全然惜しくなさそうに、フジコはけろりと答える。
「彼女ね、テニスをしている僕が格好よくて好きになったんだって」
ひょいと肩をすくめたその言葉の意味を数秒吟味して。
ああ、なるほど。
「"天才"故のジレンマ?あと、持って生まれたその美貌」
美貌につられる人はみんな、外見しか見てくれない。
天才・不二周助。
でも、"天才"って何?
「天才は99%の努力と1%のひらめきによって生まれる。 エジソンだっけ?うまく言ったもんだね」
かの"天才"が遺した言葉。
つまり。
「うわべだけで判断されたくないんでしょ?」
にいと笑ってやったら、フジコの目が純粋にびっくりしすぎて開眼してた(珍しい)
「そんなの見てればわかるって。まあ、焦りなさんな。そのうち佳い人が見つかるよ」
肩書きも外見も関係なく、不二周助そのものを見てくれる相手。
きっといつか、そういう人に出会うはず。
肩をぽんぽんと叩いたら、不意にフジコが笑い出した。
な、何だ!?どうした!?
「ありがとう」
くすくすと笑いながらそう言われて、何故笑いだしたかはよくわからなかったけど、とりあえずうなずいておく。
「いいってことよ!気にしない気にしない、困った時はお互い様だしね」
「それ、ちょっと違ってると思うけど」
「突っ込み禁止! あ、そうそう。私ね、今度裕太君とお茶するんだ」
ふと思いついて言ってみると、フジコが意外そうに首を傾げた。
この分じゃ裕太、フジコに私と知り合ったこと言ってないな。
やっぱりまだ、長い間の溝は埋められてないか……。
「あれ?裕太と知り合いだったんだ」
「うん、ちょっとね。優しくていい子だよね、裕太君って」
自分だってスクールがあるのに、一緒にカルピンを探すと言ってくれたことを思い出した。
自然と笑顔になりながらうなずくと、フジコも嬉しそうになる。
「元気そうだった?」
「うん、すごく。何かアヒルと一緒だったけど」
「アヒル……?」
裕太、ペットでも飼い始めたのかな。
そう言わんばかりの表情だ。
意味のわかっていないフジコにうなずいて、くすくすと笑う。
さあ、どんな想像をしてるのかな?
「 まあ、いいや。裕太とのお茶会、僕も行きたいな」
やっぱりな。
予想通りの発言だ(このブラコンめ!!)
「駄目。デートだもん、部外者は一緒にはいられません!」
悪戯っぽく宣言して、即行身を翻す。
が、遅かった……。
「裕太に手を出したら……許さないよ?(超笑顔)」
がしいっ!!とものすごい力で肩をつかまれ、ぎりぎりと締めつけられる。
痛い痛い痛い!
怖い怖い怖い!
真っ黒なオーラが吹き出してるヨ!
毒電波が飛んできちゃうヨ!!(このブラコン!)
「てててて手なんて出さないもん!可愛いけど可愛いけど弟に欲しいぐらいだけど!」
でも弟はリョーマがいるし、第一あんたが怖すぎるんだよ!!
「 で。結局、何のためにこんなところにまで来たの?まさか出歯亀をしに来たわけじゃないだろうし……」
やっと普通のオーラに戻ったフジコに訊かれて、ようやく本来の目的を思い出す。
危ない危ない、ウッカリ忘れるところだったよ!
「ああ、そうだった。薫君のお誕生日パーティーやろうよってことになったんだけどね、用意してほしいものがあって」
これとこれとあれとそれと。
で、こうなってこうやってこうするから。
全部大ざっぱに説明したら、やっぱり慣れているのか理解してくれた。
「わかった。姉さんに頼めば多分用意できると思うよ」
「ありがと、よろしく!」
さて、次は部長だ!!
い……一番の難関だ!!(オッケーもらえるかな……!)
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