部長はどこだ?
あの真面目な部長が部活中に行きそうな場所っていったら、それなりに限られてくると思うんだけど……。


テニスコートにもいない、部室にもいない、マザーと話してるわけでもない。
見渡してもどこにも見えないってことは……。

どこだ?


歩き回ったせいでちょっと疲れた脚を叩きながら首を傾げ、今日は休みなのかと思ってみる。


いやいやいや、それならもっと雰囲気がだれてるはずだ。
部長がいるだけで、全体の雰囲気がぴりっとしてるもん。


さてどうしたのかと途方に暮れかけた時、どぎついピンクも見当たらないことに気づいた。


   ん?スミレちゃんもいないぞ?
ってことは……もしかして、数研か?(入ったことはないけど、アニメでよく出てくるるあの部屋は、きっと数研に違いないと思う)(だってスミレちゃんの机しかないって変だよ!!)(窓際族かよ!!)


そうとわかれば、さっそく許可許可。


「リョーマ、私校舎に入りたいんだけ」
「迷子になるから駄目」




言い終わる前に即行で却下された。




「何さ、迷子になんてならないもん!」


野生の勘をなめるなよコンチクショウ!
青学より絶対氷帝の方が入り組んでるんだからな!(関係ない)

憤慨して抗議すると、リョーマはあからさまな半眼で反撃してきた。


「信じらんないね。第一、何しに行くのさ」
「手塚君に会いに行くの。   あ、じゃあついでに、あんたもおいでよ。そうすれば文句ないでしょ?」
「……まあ、それなら……」


うーわー、すっげしぶしぶだあ。
顔のしかめ方がまた王子だね!(どこがだよ)


「よし、じゃあ行くよ!ほら、早く早く」
「うわっ、ちょ   
「あ、大石君、リョーマ借りるねー」


慌てるリョーマも何のその。
がっちりと手をつかみ、問答無用でずんずんと校舎に向かう。

途中ではち合わせた朋香が何やら騒いでたけど、それは美しく無視(だってあの子うるさくて、あんまり(というかすごく)好きじゃないんだヨ!)


「リョーマ、数研どこ?」
「はあ?   こっちだけど……」


思いっきり訝しそうな顔で見られたけど、それでもちゃんと教えてくれるリョーマはいい子だよ。
リョーマが指差した方向に足を向けて、野生の勘で数研を探し当てる(私すごい!)


「失礼しまーす」


ノックをしてドアを開けると、案の定部長とスミレちゃんがいた。


「おや、どうしたんだい」
「手塚君に用がありまして。お話、もうすぐ終わりますか?」


びっくりした様子のスミレちゃんにそう訊くと、にっこり笑ってうなずいてくれた。


「ああ、ちょうど終わったところだよ」
「よかった!あのね、手塚君」


これ幸いと近寄ってくいくい袖を引っ張ったら、なぜか部長に止められる。

……んー?


「わざわざここで話すことでもないだろう」
「んー……別に違うとこでも平気だけど、ここが一番安全かなあ」
「安全……?」


どういうことだ、と部長の眉間にしわが寄った(最近やっとしわの寄り方で感情の区別がつけられるようになってきた)


「イエス!ザッツライト☆」


ぐっ!と親指を立てて元気いっぱいにうなずいたら、リョーマに呆れた目で見られた。


「中途半端な発音、やめたら?聞き苦しいよ」


……これだから帰国子女は!(自分の耳が肥えてるからって!!)




「I see. Then, are you satisfied with it?」




むかついたから、ネイティブに近いと定評のある学校仕込みの発音で答えてやった(どうだ!!)
するとリョーマは、軽く目を見開いて口笛を吹く。

そういう仕草も様になるのも、やっぱりネイティブ仕込み?(違うって)


「You bet. 何だ、ちゃんとできんじゃん」


いや、さすがに5年以上もネイティブに授業受けて、LLでみっちり発音やらされると、ね?
嫌でもある程度はできるようになるって。

ああ、訳もわからずにネイティブのマシンガントーク(だと当時は思ってた。今思うとかなりゆっくりだったけど)を浴びていた中1の頃が懐かしい……(遠い目)


「まあ、それなりにね。リョーマには全然及ばないけど」


実は高3だしね!(これぐらいはできなきゃやばい!!)


「……それで、。結局何の用だ?」


あ、そうでした。


「ごめんごめん、実は薫君の誕生日パーティーをやりたいと思ってさ。それで、用意してもらいたいものがあるんだ」


頼むものリストのメモを探していたら、部長が納得したようにうなずいた。


「なるほど、それなら確かに、ここが一番聞かれにくいな」
「でしょ?我ながらナイスアイディア☆だと   お、あったあった」


殴り書きのメモ発見。どう頑張っても、私以外の人には読めないシロモノ。
万が一薫君に見られても心配なし!(え?何か違うって?)(お黙り!)

それを見ながら部長と、ついでにリョーマにもに指示をしていたら、何故か突然スミレちゃんが笑いだした。


「楽しそうだねえ!」
「はい!!薫君はともかく、私は今めちゃめちゃ楽しいです!!」


握り拳で熱く返事をしたらスミレちゃんはさらに爆笑し、リョーマは心底呆れたようにため息をつく(失敬な!!)


「あのさ……」
「何さ。文句ある?」


めちゃめちゃふんぞり返って訊いてやった。
リョーマがさらに大きなため息をついて、かぶりを振る。




「……何でもない」
「ん。よろしい」




頭をなでたら、やはりというか何というか……ちょっとむっとした顔になったけど。
それがまた可愛いんだよコンチクショウ!(今ここに誰もいなかったら抱きしめたい……!)


「じゃあ、そういうことで。リョーマ、行こう」


爽やかに部長に手を振り、リョーマの手を取って数研を出る。
帰り道でリョーマに詳しいことを伝えながら、頬がゆるむのをおさえられなかった。


ああ、心の底から明日が楽しみだ!!