今日も普通に部活が終わり、男くさい(失礼)(だって本当だもん)部室の前でリョーマを待つ。


桃と英二はハンバーガー食べに行くー!とか言って部活が終わるなり飛び出して行ったし、マザーはそれに引っ張られて行った。
ちゃんとシャツを着れてなかったけれど、街中で恥ずかしい思いをしてないだろうか。


タカさんはお店の手伝いだって言うし、乾はデータの整理がどうこうとかぶつぶつ言ってた。

タカさんはともかく、乾のは別にどこでもできると思うのは私だけだろうか。
さっさと人に部室の鍵を押しつけてくんだから、まったくもう!


フジコと部長は例の高架線下のテニスコートに行くらしい。


……見に行きたいと言ったら、ちゃん?」とフジコにものすごい笑顔ですごまれた……。


あれ怖いよ、逆らえないよ。
桃も英二もガクブルしてたもん。
部長もちょっぴり顔青かったもん。


とにかくまあそういうわけで、めいめいが勝手に先に帰ってしまっている(薄情者!)


着替え中は部室に入るなんてはしたないことはできないから、ドアの前で待ちぼうけ。
ちゃりちゃりと鍵を回してみるのにも、もういい加減飽きてしまった。


「リョーマー?もう帰ろうよ」
「はいはい。   そうだ、海堂先輩」


待ってましたと言うように、ドアがすんなりと開く。
もうすでに、2人とも着替え終わっていたらしい。


……早く出て来てよ!1人は寂しいんだよ!!


ぽすりと帽子をかぶったリョーマが、テニスバッグをしょった薫君を振り返って見上げた。


「ちょっとうちで打ってきませんか?」
「…………」


フシュー、と肯定だか否定だかわからない息を吐いて、それでも無言でついてくる。
……やっぱり、どいつもこいつもテニス馬鹿だ……。


「おい」
「何スか」

「どこ行くんだ」


   おい。


「リョーマん家だってば。さっき言ってたじゃん」


思わず突っ込むと、薫君はちょっぴり目を瞬かせてから思いだしたようにうなずいた。
……テニスできれば何でもいいんかい。

どうやら、場所についてはよく聞いていなかったらしい。












リョーマと薫君に挟まれて、並んで歩く帰り道。
ちらりと時計を見ると、まだ帰るには早い時間だった。
もう半分以上来ちゃったし、今更戻るのもめんどくさい。


……どうしよう。


「リョーマー、部室にお財布忘れてきちゃったみたい」


だから先に帰ってて。


「駄目。」


言い置いて学校に向かおうとしたら、即行で駄目出しされたヨ。(そんなに信用ないんか自分!)


「行くよ。海堂先輩もいいっスよね?」
「おう」


か……薫君まで即答ですか……!
ちょっとショック……。


結局3人で学校に戻って、私だけ部室に入ってしばらくごそごそする。

   うん、ちょうどいい感じ。


「お待たせ。帰ろ!」


並んで待ってた2人(普段絶対ありえない組み合わせだから、お互い少し気まずそうな様子なのが何だか可愛かった)の腕を軽く叩き、そのまま腕をからめる。
リョーマは普段からよくやってるから別段慣れたものだけど、薫君はそうはいかなかったみたいで。


「なっ   !」


真っ赤になって硬直してしまった。
歩き出そうとしたリョーマがくん、と抵抗を受けて迷惑そうな顔をしていたけど、まあ薫君のこの反応もよくわかる。


女慣れしてないもんね、君……。


「行こ?」


あまりに可愛らしかったので、知らないふりでくいくいと腕を引っ張る。
そうしたら何故だかリョーマが拗ねたような顔になったので、とりあえずハグをしてみました。


「どしたー?」
   別に」


あ、機嫌なおった(早っ!)


「……そう?じゃあ行こうか」


特に追及するほどのことでもなかったので、そのまま放置して。
そうして着きました、越前家。


「コートは奥のお寺の方にあるの。荷物は家に置いてって   あ、ついでに着替えた方がいいよね。上がって上がって」
「え、あ……」


戸惑っている薫君の背中をぐいぐい押して、自分の家であるかのように玄関に入る。
だってリョーマ、絶対自発的に案内なんてしてくれないし。


「ただいまー」


大きな声でそう言うと、リビングの方で少し慌ただしい気配がした。
うるさいなあ、静かにしろよ!


「荷物はリビングに置いといて。リョーマ、案内よろしく。私もすぐに行くから」


案内役はリョーマに任せて、私は急いで下駄箱の上の小物入れに手を伸ばす。
薫君がこちらをみていないことを確認して、素早く中身をひったくった。

見られちゃたまったもんじゃないからね!


「リョーマ」


後ろからこっそりリョーマに片方を渡して、準備完了。


「そこっス」


やる気なさ気にドアを指差したリョーマにうなずいて、薫君がノブに手をかける。




   せえのぉっ!!