時の流れというものは、時に酷く残酷なもので。
過ぎ去ったそれに気づいた時、人は初めて愕然とするのだ。




   なんてかっこいいこと言ってみても、今の状況が変わるわけじゃないけどネ!(やけくそ)




というわけで、現在千葉に来ています☆
いやあ、ついうっかりと寝過ごしちゃいましたよ。
それでずんどこ千葉まで来ちゃった自分に乾杯!(ちょっと待て)


こちらの世界でも都内の主要路線は変わらないから、すっかり油断してたよ。
まさかJR線で普通に千葉まで来れると思わなかった……。


いや、確かに中央線とか横須賀線とか、直通があるのは知ってたけど。
京葉線が東京始発なのも知ってるけど(だってあれはネズミの国に行く唯一の交通手段だ)
それでも、それ以外の路線から行けるとは思わないじゃないか……!


「うーん……どうせだから、六角でも覗いて行こうかなあ……」


記憶に間違いがなければ、確かここが最寄り駅だったはず。
違ったらわざわざここで下車した意味がない……!


爽やかサエさんとか漫才コンビとか機関車とか猿部長とか、あそこも結構個性派揃いだ。
しかし、自分にプレッシャーをかけるのはどうかと思っていたら、横断歩道の向こうに高校生らしき人影が見えた。




   ん?」




あれに見えるはもしかして。
ちょっと着るのが恥ずかしい、真っ赤な学ランインナーは!!(多分脱ぐとノンスリーブ!)


六角のメンバーやん!


あのサラサラヘアーは……激似の高校生じゃないとすれば、サエさんか。
そんなことを考えながらぼーっと見ていたら、向こうがこっちに気づいたみたいだった。
不思議そうに首を傾げたあと、にっこり笑って手を振ってくれる。


……さては慣れてやがるな、こういうこと。


こちらも思わず笑顔で手を振り返してから、はたと我に返る。


「って、ちっがあああぁあう!!」


私が、私がやらなきゃいけないのは、サエさんを見送ることじゃなくて!
頭を抱えて絶叫していたら、何故かサエさんの方から近づいてきてくれた。


「……大丈夫?」


ああ、たとえちょっぴり引き気味だったとしても。
それでも声をかけてくれた君が天使に見えるよ……(ほろり)

とりあえず、サエさんの制服をがっしとつかんで。


「公衆電話、どっかにありませんか?」


真顔でそう訊いた。


そう。
そもそも私がどうして六角に行こうと思ったかといえば。


携帯の電池が切れそうな上に(学習しようよ自分)、返りの電車賃を差し引いたら100円しか残っていないからなのだ。


主要な学校の最寄り駅はデータマンのマル秘ノートで見て知っているけれど、100円しかないんじゃ動きようがない。
公衆電話1回分だしね、100円。


「公衆電話か……最近どんどんなくなってきてるからなあ。学校まで来てもらえれば、絶対あるけど……」


来れる?と訊かれて、迷うことなくうなずく。
当然っスよ!(イエス!)


「お願いします」


というわけで、サエさんと2人で六角に向かうことになりましたとさ。


「東京から?ずいぶん遠くまで来たね」
「自分でも思う。寝すぎだよねえ」
「いや、でも、うちの奴もやったことあるよ。天根って奴なんだけど、バスで寝過ごして練習試合に遅刻してた」


……何だろう、何だか今、ものすごくワカメっ子が脳裏に浮かんだ気がする。
特徴的な頭同士、やっぱり共通点があるんだろうか。

まあ、遅刻なだけダビデの方がましだけど。


そんな無駄話をしながら歩いていたら、いつの間にか六角の中に入っていた。


「ちょっと待ってて、部長に断ってくるから」


猿の許可……別にもらわなくてもいいような気もするけど(酷)
サエさんが敷地の奥の方に歩き出そうとしたら、向こうからその部長が走ってきた。


「あっ、いた!サエさ      ん!……って!」


ききっと音がしそうな勢いで急停止した葵は、目を丸くしながら私とサエさんを交互に見る。


「……新しい彼女?」


新しいんだ。
もしやサエさんって、結構遊び人?

生温い目でサエさんを見ていたら、多分考えていることがわかったんだろう。
サエさんが苦笑しながらかぶりを振った。


「遊んでないからね。この間別れた子とは、1年間付き合ってたし」
「へえ、意外」


悪戯っぽく笑って言ってやると、サエさんも苦笑を深くする。


「酷いな。   剣太郎、この人はさん。俺の彼女でも何でもなくて、単に困ってたから連れてきただけ」
「こんにちは、初めまして」


とりあえず初対面なので、お行儀よくぺこりとお辞儀。
葵もつられるようにお辞儀をし返してくれた。


「あ、どうも。葵剣太郎でっす!」
「うちの部長。1年」


横からサエさんが口を挟んできたのに、一応驚いてみる。


「え!?部長って3年がなるものじゃないの!?」
「うちはおジイが決めるからなあ。それに、剣太郎が部長っていうのは、俺達もそれで納得してるしね」


あははははと爽やかに笑ったサエさんは、そういうわけでと葵を見る。


「俺はこの人を案内してくるから。バネに少し待ってるように言っといて」
「あ、うん」


葵が走っていくのを少し見送ってから、サエさんがくるりと踵を返した。
うるさい奴でごめんねと謝られ、軽くかぶりを振る。


「元気でいいじゃない。そんなにうるさくもなかったよ?」
「よかった。電話はこっちだよ」
「はーい」


公立中ってすばらしい。


青学とか氷帝みたいに(それにきっと、山吹・ルドルフも)敷地が馬鹿でかくないよ!
迷う心配が皆無だよ!(万歳!)


特に氷帝、慣れないうちは何度迷ったことか……(そして毎回捜索隊が組まれていた)(ありえなく恥ずかしかった……!)


万一のために控えておいたリョーマの携帯番号を押すと、コール2回ですぐにつながった。


『はい』
「あ、リョー」


マ、まで言えなかった。