『!?今どこにいるんだよ!』
たった一言で私だってわかるなんて、さすがはリョーマだ。
これってやっぱりあれでしょうか、愛の力ってやつ なわけないか、そうだよね……(しょんぼり)
超早口でまくしたてるリョーマの後ろで、おそらくレギュラー陣なのであろうざわめきが集まってくるのが聞こえる。
多分休憩中なんだろう、そうでなければ部長の一喝が飛んでいるはずだ。
あ、英二が「代われえ、おチビ!」とかわめいてる。
「あー……千葉」
怒られるだろうなあと思いつつそう答えたら、案の定音量が倍になった。
『千葉ぁ!?』
「ごめん、寝過ごした。今、駅の近くの中学で電話借りてる」
ああ、青山になんて出かけるんじゃなかった……。
出なきゃ今頃、青学でマネージャー業(もどき)にいそしんでたのに!
でも、でも、どうしてもキルフェボンのケーキが食べたかったんだよ……!
『携帯は?』
「で、電池切れた……」
ごめんなさい……(ガクリ)
うなだれて謝ると、受話器の向こうからそれはそれは深いため息が聞こえてきた。
『……あのさ』
「う……うん」
ああ、嫌な予感がびしばしと。
向こう側で、すうっと息を吸う音が聞こえて。
『何で電池確認しとかないんだよ!!』
アイターっ!!
キーンってきたよ!キーンって!
あらかじめ受話器から耳を離しておいても、この破壊力。
そのままの状態でいたら、一体どうなっていたことか……(ガクブル)
サエさんもびっくりした顔で私(というか受話器というか)を見ている。
「ごめんなさいいいいいっ!!」
『何やってんだよ、前にも同じようなことあっただろ!?電池やばそうだって思ったら、ちゃんと充電くらいしといてよ!』
全くもってその通りなので、返す言葉もありゃしない。
けれど、こちらにも言い分はあるもので。
「だって、だって、昨日しようとは思ったんだよ!でも忘れちゃったんだもん!こんなことになるなんて、思ってもみなかったし……」
それに、私は元々あまりお金を持ち歩かない主義なのだ。
だって、下手にお金があると、衝動買いしちゃうし……(主に本)(しかもハードカバーとか、高いやつ)
『それでも !!』
そのまま長々と続くお説教に、さすがに気の毒になったんだろう。
苦笑したサエさんが、「ちょっと貸して」とひょいと受話器を取り上げた。
「あ」
ちょっと待ってと言う暇もない。
ちゃっかりと耳に当てる方(何ていうのかわからない)を手で塞いで、サエさんは気楽な声で一言。
「もしもし」
途端にぴたりと止む怒声。
お そ ろ し い ……!
『…………誰、アンタ』
長い沈黙の末に、ものすごく不審そうなリョーマの声が聞こえてきた(サエさんとく っついて音を拾った)
「え、俺?さ 」
プツッ。ツーッ、ツーッ、ツーッ。
……え?
「……切れたね」
「……切れましたね」
うわーんリョーマの馬鹿ー!!
残り交通費ジャストだっての!
「結局俺、名乗れなかったなあ……」
「や、別に名乗んなくてもいいと思うよ」
ちょっぴり残念そうなサエさんにさらりと突っ込んで、さらに帰った後のことを思ってブルーになる。
きっとあの男は誰だとか、一体何してたんだとか、浮気してた恋人を問い詰めるような詰問(もはや質問ではない)をされちゃうんだよ……。
「それじゃ、ちゃんはもう帰った方がいいかな と言いたかったけど」
そう言いかけて、サエさんはにっこりと笑った。
「無理みたいだね」
「は?」
言われた意味がわからなくて首を傾げると、それとほぼ同時にぽんと肩に手が置かれる。
……すっごく嫌な予感がするんですけ ど !!
ぎぎぎ、と振り向くと、例の六角メンバーが超笑顔で勢揃いしていた。
……もう、どうでもいいや……(ほろり)
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