そうと決まれば、ひんやり涼しいコンビニへ。
みんなの好みは少し把握できるようになってきたけれど、ピンポイントでこれというまでにはいかない。
あれかこれかと迷いに迷って、結局リョーマ用のファンタ以外は独断と偏見でチョイスした。
そんなわけで、ちょっぴり時間がかかって到着した大会会場。
場所を訊くのをすっかり忘れていたけれど、青学はどのコートだろうか。
「 あ!!」
いい人発見!
「桔平さん!」
わーい、不動峰集団だー!!
この人達についていけば、自動的に青学のところに行ける!!(時間的にも、きっともう2試合くらいで決勝戦のはず!!)
「か。久しぶりだな」
「ええ、本当に。みんなも久しぶり」
「お久しぶりです、さん」
ああ、この子達ってば、本当にいい子ばかりだ。
元気よく答えてくれる石田君に、思わず頬がほころんだ。
「今日は杏ちゃん、来てないん あ、来た」
「ちゃん!やだ、すごく可愛い!!」
私を見るなり歓声をあげた杏ちゃんに、もはや乾いた笑いしか出てこない。
「この格好、あまりテニスを見にくる格好じゃないと思うんだけどね……」
「そんなの関係ないわよ。ほんと、よく似合ってるわ」
褒めちぎってくれるのは嬉しい。
嬉しいけれど、これはどちらかといえば、デート用の服だと思うんだ……(ガクリ)
それに、あんまり似合ってると思えないし……。
密かに落ち込んでいたら、杏ちゃんが可愛らしく小首を傾げた。
「一緒にいられる?」
「うん!!」
超 即 答 。
可愛い杏ちゃんのためなら、どこまでも一緒にいたくなるのが当然だろう。
お互い超ご機嫌で、杏ちゃんと手をつなぎながら会場内を歩く。
リズムが時々うらやましそうに見てきたから、輝かんばかりの笑顔を向けてやった。
どうだ、うらやましかろう。
もっと悔しがるがいい!(鬼)
「さんは、今日はどうしてここに?」
こっそりリズムをいじめて楽しんでいたら、石田君に首を傾げられる。
それに私が答えるよりも早く、橘さんが思いだしたように声をあげた。
「お前、お世話になっている人達の試合を見に来たんじゃないのか?行かなくていいのか」
どうやら、以前遊びに行った時に話したことを覚えていたらしい。
至極もっともなことを指摘されて、気まずさに頬をかく。
「それが……迷子になっちゃいまして。まだ勝ち残ってるかどうかわからないんで、どうせなら桔平さん達といようかなって……。その様子だと、まだ試合はあるんですよね?」
「ああ。次は決勝だ」
橘さんがそう言った時の、不動峰のみんなの少し誇らしげな顔が、とても印象的だった。
ああ、いい顔だ。
こちらまで嬉しくなるような、そんな顔だ。
それにしても、次が決勝か。
意外にも時間を食ってしまったようだ。
心配してるかな、リョーマ。
「決勝!すごいですね!」
「……ありがとう」
声のトーンをあげて言うと、橘さんがはにかんだ笑顔を浮かべる。
珍しい……!
そして何だか可愛い!
あまりにも珍しすぎて、ちょっとはしゃぎすぎてしまった。
勢い余って深司にタックルをかましてしまう。
「……さん、危ないです。ったく、これから試合だってのに、怪我したらどうしてくれんだよっていうか、あんたの方が怪我したら危ないだろ。それくらい気づいてくれよなあ、まったく」
「あ、ごめんごめん」
ぼやきながらもきちんと受け止めてくれる辺り、やっぱりいい子だ。
苦笑して謝りながら離れ、でもと口をとがらせる。
「桔平さんがはにかんだんだよ?珍しくってつい……」
「まあ、それはそうよね」
さすが妹。
誰もが言いにくいことを、ものすごくあっさりと認めてくれました。
橘さんが瞬時に耳まで真っ赤になって、杏ちゃんに怒鳴りつける。
「杏!!」
「怖い怖い」
けれどそれも慣れているらしく、杏ちゃんは茶目っ気たっぷりに首をすくめて笑っただけだった。
それと同時に、何かに気づいたように足を止める。
「兄さん、ここじゃない?」
コートのナンバーを確認すると、確かにリョーマからちらりと聞いたものと同じだ。
「そうだな。 、俺達のベンチに来るか?さすがに選手の控えベンチというわけにはいかないが……」
はい、とは言えなかった。
「 !?」
ひどく驚いた顔のリョーマに、発見されたから。
|