私の生きがいは、お隣の椎名さんちの息子さんとそのお友達のプリチーなちゃんを見ることです。
こんなくそ高いデザイナーズマンションに住んでることを最近ではラッキーと思えるようになりました。
だってちゃんが遊びにくるんだぜ!
ちゃんは礼儀ただしくて、しっかりしていて、なにより見上げてくる大きな瞳がかわいい。
知り合ったきっかけは自治会の回覧板を椎名さんの家に届けたときでした。
「こんにちはー、隣の吉井です−」
椎名さんのお家は美形揃いで、近所では美形御殿と呼ばれています。
名付け?
そこらへんのオバサンと私だよ!
美麗さんはモデルじゃないかってくらい綺麗で、さらに行動や仕種は可愛らしい人です。
美人に目のない私にはよだれものの美女なのです。
旦那さんの聡さんは作家で、あまり見かけないけど物静かでどっしり構えている人。
そしてその息子である裕介くんは、切れ長の瞳がちょっと冷たい印象を与えるクール美人。
今日は誰がでてくるかな!
わくわくして待っていたら、幼い声で「ちょっと待ってて」と言われました。
どうやら裕介くんらしい。
でかした私!
そして開いたドアの向こう、サンダルをひっかけた裕介くんと同じくらいの背格好の女の子がいました。
「こんにちは」
「こんにちは」
返事が返ってきた……!!
思わずしゃがんで自己紹介。
「初めまして裕介くんのお隣りに住んでいます。吉井奈緒子です」
「吉井さん?」
かわいらしく首を傾げたあと、彼女は名前を教えてくれました。
ちゃんというらしいです。
なんだこの生き物!
超かわいい!!
頬をゆるせて裕介くんのお友達?と聞いたら、二人はなぜか一瞬だけ目配せをした。
「うん」
その「うん」は嬉しそうでも楽しそうでもなく、強いて言えば友達だよねうんのうんでした。
え?
最近のちびっこってそうなの?
こんなにクールなの?
悩んでいると裕介くんがさっと手をだす。
「回覧板」
「あ、忘れてたごめんね」
「年上だろ。しっかりしてよ」
「サーセン」
ちなみにだけど裕介くんは私にため口です。
敬語が使えないわけじゃなくて、使う相手を選んでるとか。
そんな裕介くんの多分初めての友達であろうちゃん!
「ちゃん、これからもいっぱい遊びにきてね」
あわよくば私とも仲良くして欲しい。
そして二人の姿を見かけるたびに声をかけるのが私の生きがいになりました。
ちなみに、ちゃんが裕介くん並にクールだと知ったのは後日です。
|