上院も危なくなったようです。
いわゆるみせみせおじさんが出ました。
私は見てないけどちゃんが被害にあったらしいです。
ああ、やっぱり狙われちゃうんだ!
だってちゃんたら色が白くてぱっちりした瞳にピンク色の唇なんだよ、格好の餌食じゃない。
とりあえずショックを受けているだろうちゃんを慰めて、警察に通報して、そうだ、これからは私ががんばるねちゃん!

「気持ち悪いもの見ちゃったね、悪い人はお姉さんがやっつけてあげるからね!」

がんばります。
こんないたいけな子供を襲うなんて気持ちはわからなくもないけど、小汚いものはしまうべきです。
そこで感極まってちゃんをぎゅうぎゅうと抱きしめた。
やだかわいい!
違う!
何か慰めの言葉をかけないと……そんなことをぐるぐる考えていたらぽふぽふと腕を叩かれました。
腕を緩めると苦しそうにしていたちゃんがぷはぁといった。
なにこの可愛い生き物。

「奈緒子お姉さん、何もなかったし、撃退したから大丈夫」
「撃退?ちゃんが?」
「うん」

え、えー……。
でも警察には通報すべきだよね。
ちゃん以外の子が狙われるかもしれない。
もしかしたら男の子にイタズラするかもしれない。
男の子にイタズラ……美形御殿の裕介くんをなぜか連想したけど、彼なら問題ない。
放っておいても支障はないのです。

「本当に大丈夫?」
「大丈夫だよ」

ちゃんがそういうなら仕方ない。
だけど心配なので送らせていただきました。
そのあとはしっかり派出所に行って怖面の三田村さんに事情を話しました。
警察のお世話になったことはないけど、三田村さんは元ヤン警察で有名です。
ちなみに話したことはなかったのですが、みせみせ破廉恥男の話を真剣に聞いてくれました。
この人見た目より怖くないんだ!
小学生が懐く気持ちがわかります。
そしてあれから数日立ったころ、バイトに行こうとした私の目に妖精が飛び込んできました。
シフォンを何枚も重ねたかわいらしいドレスワンピース。
スカートが揺れるのと一緒に髪もふわっと揺れて、そしてにこっと笑った。

「奈緒子お姉さんこんにちは」
「……ちゃん」
「はい?」

必殺上目遣いスマイルに意識を奪われかけました。

「か……かわいい!」
「美麗ママのデザインかわいいですよね」
「ああ、美麗さんの、でもちゃんがかわいいと思うよ」

似合ってるね。
鼻血もんだね。
いいもの見たとご満悦の私は上機嫌でバイトにいきました。
あまりにもご機嫌だったので彼氏でもできたの?とからかわれたけど、そんなものよりいいものを見たんです。
妖精だよ!妖精!
でもそれは秘密ということにしてオーダーを取るのをがんばりました。
浮かれすぎて店長の靴を二回踏んだのは申し訳なかったです。
すみません。
その日、るんるん気分で帰宅したら美麗さんと同じエレベーターになりました。
洋服の撮影の後にまた打ち合わせがあったらしいです。
さすが売れっ子デザイナー。

「あ、ちゃんを見たんですよ!美麗さんのワンピースを着た!」
「あら!可愛かったでしょう!ちゃんが一番好きっていうから嬉しくてプレゼントしちゃったの」

そのあとうっかりエレベーターで盛り上がって、家の前で20分ほどお喋りをしました。
裕介くんがあきれた顔で美麗さんを迎えにきたので謝っておいた。
ごめんね!話が終わらなくてさ!
そして今度、ちゃんの写真を貰うことになりました。
美麗さん大好きありがとうございます。