呼ばれた気がして目を開けると、またライフストリームの中だった。
一度は敵同士になったはずの3人が、笑って並んでを迎える。
「お帰り、!」
「ただいま、エアリス」
飛びついてきたエアリスに笑い、は隣に立つセフィロスの髪を思いっきり引っ張った。
「痛いだろうが!」
「痛くしてんだ馬鹿!ジェノバ細胞なんかに狂いやがって、この軟弱者!!」
言葉だけ聞いていれば罵詈雑言だが、今にも泣き出しそうなその表情に、セフィロスは返す言葉を失う。
「どんなものを埋めこまれようと、あんたはあんたでしょ?今まで私たちと一緒にいたのはあんたじゃない!宝条なんかの思惑に、どうしてはまっちゃったのよ……!」
血を吐くようにして叫ぶ彼女の身体は、5年前のあの事件から時を止めてしまった。
これからどんなに時を重ねても、ここにいる3人同様姿は変わらないだろう。
それを引き起こしてしまった己を省みて、セフィロスは微かに顔を歪めた。
今ならばわかる。
彼女がどんな思いで、あの時の自分を止めていたのか。
どんなに必死にとめていたのか。
すがりついてくる細い手を振り払ったあの腕の、なんと非情だったことか。
「……すまない……」
血のにじむような謝罪を受けたも、ますます苦しそうな顔になる。
「……セフィロス、あんたに剣を向けたりしたくなかったよ……」
ザックスは死んでしまった。
再会したクラウドは、様子が全く違っていた。
そしてセフィロスは 狂ってしまった。
抱えきれないほどの想いがこぼれてしまわないように必死に抱きしめて、引き裂かれそうな気持ちを必死に押し留めて。
そうしてこの5年間を生きてきたのだ。
クラウドの持つバスターソードを見た時の、あの絶望。
きっと一生忘れない。
それでもなお、直接再会するまで、の中でセフィロスは昔のままだったのだ。
あれは悪い夢だったのだと、心のどこかでそう思っていたのだ。
唇を噛みしめてうつむくを、セフィロスが強く抱きしめる。
密やかな嗚咽が響く中、エアリスがそんなの肩にそっと手を置いた。
「、メテオは消えたよ。みんな無事」
「パーティー自体は解散したみたいだけどな、まだコスモキャニオンでぐだぐだ集まってるぜ」
続くザックスにほら、と示された先を見ると、いつかのようにコスモキャンドルを囲む仲間が映っていた。
驚いて瞬くに、ザックスがにかりと笑う。
「便利だぞ、ライフストリームは。こっちででエアリスに会うまで、こんな使い方があるなんて知らなかったけどな」
「……本当に便利だね」
会話の内容まで伝わってくる。
皆一様に沈痛な面持ちなのはどうしてかと思ったが、耳を傾けたの肩が強張った。
「 の時、オイラが無理にでも行ってれば……」
「いや、ナナキのせいじゃない。俺がちゃんとをつかんでなかったから !!」
「クラウド……」
頭を抱えて苦悩するクラウドに、ティファがそっと寄り添う。
それに胸がちくりと痛むのを感じながら、は小さく呟いた。
「誰のせいでもないのに……」
誰かがそうやって、責任を感じるような問題ではないのだ。
あの時自分は、どうなるかを全て理解した上で、それでも自分で残るという選択肢を選んだのだから。
クラウドが自分を責める必要など、どこにもない。
「みんな、不器用だから」
「エアリスがいなくなってから、みんな極端に『誰かを失う』ことが怖くなったんだよ」
苦笑してフォローをしようとしたエアリスの額を小突き、はそういえばと気まずそうな表情をしているセフィロスを仰ぎ見る。
「ジェノバは?もう消えた?」
「……完全には消えていない。ライフストリームに流れた分は、できる限りこちらで抑えてみるが……」
「そっか」
小さく息を吐いて、は周囲を見渡す。
一見穏やかに見えるこの中に、ジェノバは今も息をひそめているのだろう。
位置までは把握できないもののそれを感じとり、澄んだ目をしたセフィロスを見上げる。
「よろしくね。私はもう、こちらには干渉できないから……」
厳しい表情になったセフィロスに、は精一杯微笑んだ。
きちんと笑顔を作れたと思っていたのだが、ため息をついたザックスにぐしゃりと頭をなでられる。
「無理すんなって。別に俺らしかいないも同然なんだし、泣きたいんなら泣いちゃえよ」
そのままとんとんと頭を叩かれ、セフィロスにも再び軽く抱きしめられた。
胸元に顔を押しつけられ、なだめるように背中をさすられる。
限界だった。
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